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「チンチロリンのカックン」の由利徹、映画やテレビドラマで活躍 [懐かし映画・ドラマ]

「チンチロリンのカックン」の由利徹、映画やテレビドラマで活躍

今日は由利徹さん(1921年5月13日~1999年5月20日)の命日です。21年前に亡くなったのですが、過去の出演作品を挙げながら在りし日を偲ぶツイートが検索するとたくさん出てきます。1950年代に脱線トリオでブレイクし、60年代以降は単独で映画、テレビドラマなどに出演しました。(画像は上段右が『ゆうひがおかの総理大臣』下段左が『ムー一族』右が『脱線三銃士』より)



由利徹とは誰だ


由利徹は、1956年に南利明・八波むと志と『脱線トリオ』を結成。

大変な人気ものになったそうですが、八波むと志の急死後は単独で、映画やテレビドラマに出演しました。

宮城県石巻市出身の方言を隠さず芸に採り入れました。

そして、「チンチロリンのカックン」「オシャ、マンベ」「どーしてそうなのヨ」 といった言葉のギャグを流行させました。

がっくり来るときとか、ずっこけるときの擬音ですね。



さらに、縫い物をするパントマイムのような小芝居も得意でした。

映画やドラマでも、コメデイリリーフとして重宝されました。

カックン超特急/脱線三銃士


『カックン超特急』(富士映画/新東宝)『脱線三銃士』(日本テレビ映画/新東宝)は、セットになってDVD化されています。

配給会社の新東宝の柱はエロと笑いですが、その「笑い」の看板が脱線トリオでした。

「カックン」というのは由利徹のギャグです。

「脱線」というのは、もちろん脱線トリオの「脱線」です。

それらが映画のタイトルになるほど、由利徹は売れていたということです。

カックン超特急


カックン超特急

カックン超特急』は、トラック運転手と助手の、由利徹と南利明は、映画の撮影所まで荷を届ける、東京行き特急便の乗務を命じられます。

ところが、南利明の恋人の池内淳子を実家に送ったり、
池内淳子を実家に送ったり

自殺しそうに見えた女性(山村邦子)に頼まれてハンドバッグを取ってあげたり、ヒッチ・ハイク娘たち(大空真弓など)を乗せた上に食事を食い逃げされたりして、

大空真弓

大幅に遅れてしまいます。

撮影所では、配役でへそを曲げた俳優の由利徹(二役)が、書生(人見明)を相手にさんざん駄々をこねた挙句結局サボタージュ。

トラック運転手の由利徹が俳優の由利徹に似ているため(そりゃ本人の二役だし…)、撮影所では助監督(平凡太郎、谷村昌彦ら)に「俳優の由利徹」に間違えられ、運転手の由利徹は監督(藤村有弘)を毒づきながらもぶっつけ本番で役をこなすというドタバタ喜劇です。

撮影所のシーンであるため、高島忠夫や久保菜穂子や大空真弓など、本物の新東宝の俳優たちが出てくるのですが、ということは、大空真弓も本人とヒッチハイク娘の二役というわけです。

新東宝の俳優陣

こういう他愛ない短い尺(65分)のドタバタ喜劇は、最近お目にかかれないですね。

脱線三銃士


脱線三銃士


タクシー運転手(八波むと志)、サンドウィッチマン(南利明)、ペンキ職人(由利徹)は、みな食堂の娘・咲(観崎きよ子)に入れあげています。

脱線三銃士

3人はそれぞれの事情で仕事をクビになり、いったんは食堂の店員として雇ってもらいますが、咲の「自衛隊の隊長さんが好き」という話を聞いて、抜け駆けしたつもりで3人とも自衛隊に入隊します。

しかし、咲が話したのは「理想」ではなく「現実」で、実はもう隊長(丹波哲郎)と付き合っていた、というオチです。

脱線三銃士
3人に見せびらかしてドヤ顔の丹波哲郎とがっくり3人組

これまた他愛ない話ですが、44分という短い尺なのであっという間に最後まで鑑賞できます。

映画・テレビに出演



植木等主演映画にも何本か出演しています。

『日本一のホラ吹き男』は守衛の役で、夜中の見回りで、徹夜で仕事をしている植木等を見つけます。

「何だキミか、キミで良かったよ、これが泥棒だったら大変だったよ。オレの空手6段の腕が、バッスンバッスン飛んじゃって、今頃ベッターっと這ってんぞ」とジェスチヤー入りで説明しています。


『時間ですよ』では、近所の定食屋さんで、松の湯の主人(船越英二)と和菓子店の主人(江戸家猫八)とともに、篠ひろ子の店で毎回飲んでいました。


『ムー一族』の出演も好評でした。

人気ドラマだったんですよ。郷ひろみと樹木希林が歌ってましたね。


『ゆうひが丘の総理大臣』では、同僚に見合いをさせたがる子沢山の上条先生を演じていました。

同僚先生の前田吟には、篠ひろ子という恋人がいるのに、見合いを勧めます。

中村雅俊は、2人の関係を知っているので、それを邪魔して見合いを断念させます。

しかし、由利徹が見合いを勧めるのは、仲人になれば盆暮れの付け届けがあるので、いくらかでも生活が助かるからという理由でした。

中村雅俊は、お詫びにおでんをおごります。

紹介しきれないほど、ほかにもたくさんの映画やドラマに出演しています。



面倒見は良かったが……


また、リアルでは若い人の面倒見がよく、ボクサーからコメディアンになった、たこ八郎の師匠としても有名でした。

明治大学替え玉受験で世間から叩かれた、なべおさみの息子も、由利徹は付き人として引き受けました。

ところが、ビートたけしが受け入れるとなった途端、息子はそちらに移ってしまいました。

この世界は、そう簡単に師匠を変更はできないはずです。

当時、由利徹が楽屋のようなところでインタビューを受けていて、憮然とした表情で「たけしンとこがいいって言ってるもの、しゃねわな」とコメントしていたのを覚えています。

詳しい事情は知りませんが、いくら良くしてあげても、相手がそれを受け止めてくれるとはいえないこともあるものですね。

由利徹さん、覚えておられますか。

由利ちゃんの誰にもいうんじゃないぞ - 由利 徹
由利ちゃんの誰にもいうんじゃないぞ - 由利 徹

由利徹が行く

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  • 作者: 高平 哲郎
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2020/05/20
  • メディア: 単行本



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コメント 9

kou

由利徹さんや植木等さんのギャグは父親がよく真似してたのを思い出します。昭和の芸人は偉大です。
by kou (2020-05-20 17:01) 

ヨッシーパパ

脱線トリオとてんぷくトリオが頭の中でごっちゃに成っています。^_^
by ヨッシーパパ (2020-05-20 17:21) 

おっつぁん

飽くまでも、自分や相方の範囲で「バカバカしい」だけで、第三者を誹謗していないところに、お笑いの矜持を感じる。
この方こそ、昭和のお笑い王と信じて疑いません。
by おっつぁん (2020-05-20 17:25) 

ヤマカゼ

カックンルンバを拝聴させてもらいました。音楽自体は昭和ですが、発声されている声はビブラートが効いてよく歌を練習された方の歌声ですね。
カックンというとどこかで聞き覚えはあるのですが。
by ヤマカゼ (2020-05-20 18:32) 

pn

鶴太郎がたこ八郎役やった時本人役で出てましたね確か。
チンチロリンのカックンよかオシャマンベの方が記憶に残ってるな(^^♪
by pn (2020-05-20 19:37) 

mau

地元のスターです
by mau (2020-05-20 23:05) 

ナベちはる

理由は分からないのですが、「オシャ、マンベ」と父が言っているのを聞きます。

一体何なのだろうと思っていたところでしたが、ギャグなのですね。
by ナベちはる (2020-05-21 00:18) 

Rinko

覚えていますよ。一番印象的なのは、やっぱり「ムー一族」です。亡くなって21年も経つんですね・・・。
by Rinko (2020-05-21 08:12) 

そらへい

由利徹さん、いい加減な役が面白い役者さんでした。
by そらへい (2020-05-23 16:17) 

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