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『ぼくはアスペルガーなお医者さん「発達障害」を改善した3つの方法』を読んでアスペルガー症候群を考える [障害者]

『ぼくはアスペルガーなお医者さん「発達障害」を改善した3つの方法』を読んでアスペルガー症候群を考える

『ぼくはアスペルガーなお医者さん「発達障害」を改善した3つの方法』(畠山昌樹著、KADOKAWA、kindle版)が、AmazonUnlimitedストアに入っていたので読みました。アスペルガー症候群の弱点を克服した、著者の体験談やアドバイスが綴られています。



アスペルガー症候群とはなんだ


天才物理学者のアインシュタインや、発明王のエジソン、織田信長や坂本龍馬などもそうだったといわれているアスペルガー症候群てご存知ですか。

アスペルガー症候群というのは、知能や言語能力など知的な障害のない高機能自閉症のことです。

対人関係の齟齬、こだわり、「行間」を読めない言葉の使い方の「誤り」などが見られ、周囲からは、自己中心的な人、空気が読めない人と思われてしまうことがあります。

言葉は、辞書に書かれているとおりに認識するので、言葉の裏の「ホンネ」は読みません。

日本のような、ダブスタや“阿吽の呼吸”に満ちた文化は、さぞ生きづらいことでしょう。

いつも同じ行動パターンで生活していることが多く、急に予定を変更したり、今行っている作業を変更することで、脳内が混乱することがあります。

前頭葉のはたらきに障害があるため、他人の身になって考えることも苦手です。

ただし、その「生真面目さ」から、決まった課題を与えられたり、ルールがはっきりしている環境だったりと、パターン化した活動において高い成果を上げることがあります。

もっとも、冒頭に「高機能」と書きましたが、これは「知的障害がない」という意味で、すなわちIQでは支援学級が妥当な70台から、130~140台あるようなまさに高い知能の層まで含まれており、そのふるまいは様々です。

また、「勉強ができる」としても、コンスタントに優秀ではなく、科目によって得手不得手がはっきりした「まだらな秀才」であることが少なくありません。

一部に誤解があるのですが、少なくとも、アスペルガー症候群=天才、という単純なものではないのです。

アスペルガー症候群の頻度は10000人に91人(イギリス自閉症協会の報告)といわれ、自閉症の遺伝子は見つかっていないそうです。

畠山昌樹さんの経験と克服法


本書『ぼくはアスペルガーなお医者さん「発達障害」を改善した3つの方法』で、著者の畠山昌樹さんは、自身がアスペルガー症候群として、子供時代、大学時代、合コンや恋愛、結婚生活(離婚)などにおいてどう生活し、どのような失敗をし、どう克服したかが書かれています。
たとえば授業中に「暑い!」と感じたときに、「今、Tシャツを脱いだら裸になってしまう。裸で授業を受けるのはまずい」という判断を下すためにブレーキ脳が働いているのです。そしてここで我慢すれば、問題は発生しません。
普通の人の脳での意思決定
暑いなあ! → 大脳辺縁系(アクセル脳) → 服を脱ごうかな → 前頭葉(ブレーキ脳) → みんなの前で裸になったら恥ずかしいなあ → 我慢しよう → 問題なし
ところがぼくたちは、先天的に(または生後ごく初期の段階のときに)、何らかの理由によって、ブレーキ脳の前頭葉がうまく働かなくなっているのです。だから、ひとたび「暑い」と感じ、大脳辺縁系がアクセルを踏んだら、場所をわきまえずに授業中でも服を脱いでしまったり、「暑い!」と叫んでしまったりするのです。

アスペルガー的な脳での意思決定
暑いなあ! → 大脳辺縁系( アクセル 脳) → そうだ、服を脱ごう! → 問題発生
畠山昌樹さんは、「目標やミッションを掲げて、それに向かってがんばることが大好き」といいます。

相手の心を理解しなければならない恋愛は苦手で、自身の離婚もそれが原因だったと振り返っています。

こうした失敗談は、たぶんアスペルガー症候群の人が読まれれば、思い当たるところがあるかもしれません。

3つの実践


畠山昌樹さんは具体的には、「食生活改善によるダイエット」「 アスペルガー症候群に詳しい主治医を見つけること」「眼振により、怒りや発作の鎮静を行うこと」などを実践したそうです。

眼振というのは、「イライラしたときに、自分の指を左右に動かしながら、それを目で追い、その状態でイライラしていることについて考えるというやり方で、これによって脳のぐるぐるやイライラも消せるようになりました」と述べています。

典型的なアスペルガー症候群の畠山昌樹さんは、たくさの失敗と経験を重ねる中で、普通の人が行う「共感」「心を読む」「辞書の意味以外の意味を考える」ことができるようになったそうです。

理屈できちんと説明することが大切


畠山昌樹さんは、アスペルガー症候群の人が上記のような行動を取るのは、決して「性格」ではなく「脳の機能が原因」であると述べています。

アスペルガー症候群の人と接する際のポイントを私なりにまとめると、以下の通りです。

1.曖昧な表現を控える
2.穏やかな環境を提供する
3.長所に積極的な評価を行う
4.こだわりを応援する

「1」の場合、畠山昌樹さんは、抽象的な言い回しや曖昧な「空気を読め」ではなく、論理的な説明が解決につながると提案しています。

いやホント、我が国は、建前と本音、虚と実が曖昧で、奥が深いというより、たんに逃げ道だらけの「ずるい」文化なんじゃない? とかねがね思っていました。

アスペルガー症候群であるかないかに関わらず、他者と関わるときには気をつけたいことだと思っています。

ぼくはアスペルガーなお医者さん 「発達障害」を改善した3つの方法
ぼくはアスペルガーなお医者さん 「発達障害」を改善した3つの方法

ぼくはアスペルガーなお医者さん 「発達障害」を改善した3つの方法

ぼくはアスペルガーなお医者さん 「発達障害」を改善した3つの方法

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2015/11/16
  • メディア: Kindle版



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コメント 11

pn

アスペじゃなくてもこのダブスタの世の中は生き辛いよ、右か左はっきり言わないも多いし(^_^;)
by pn (2019-12-22 10:17) 

エンジェル

この病気、聞いたことはあっても具体的にどんな症状があるか知りませんでした。義父がちょっとそんなところがあるのですが、病気だと思えば許容できる事もありますよね。論理的な説明って苦手ではありますが、今後は考えながら他人と関わって行こうと思います。
by エンジェル (2019-12-22 10:17) 

そらへい

「アスペルガー症候群」かどうかわかりませんが
シチュエーションによっては
空気を読めない、言葉の裏を読めないってことはありますね。
by そらへい (2019-12-22 13:34) 

starwars2015

眼振は、普通の人のアンガーマネジメントにも効きそうですね。
by starwars2015 (2019-12-22 15:44) 

Boss365

こんにちは。
以前、アスペルガー症候群のドキュメンターを観て「ある意味天才」と感じていました。特殊な才能・抜き出た能力がある事は実感。畠山さんの「経験と克服法」はアスペルガー症候群でなくても活用可能ですね。「論理的な説明」は難しい作業です。日本の社会には「建前と本音」あるので、健常者でも生きづらい?可能性はあります!?(=^・ェ・^=)
PS.「定期を貸し」貸した経験ありです。
by Boss365 (2019-12-22 15:57) 

yokomi

 誰かさんに読ませたい本。気付いてくれるかなぁ...(>_<)
by yokomi (2019-12-22 16:47) 

mau

アスペルガーについては、障害と一括りにするには難しいところがあるなぁも思っていました
by mau (2019-12-22 23:09) 

犬眉母

>>逃げ道だらけの「ずるい」文化なんじゃない? とかねがね思っていました。

その中でも、政治家が一番ズルそうですね。
by 犬眉母 (2019-12-22 23:17) 

ナベちはる

逃げ道だらけの日本の文化、本当にそれでいいのかと考えさせられますね。
by ナベちはる (2019-12-23 01:20) 

チナリ

おはようございます。

あいまいな表現は私も苦手・・・というより、どう受け取ったら良いのかがわからなくなってしまうので、キチンとハッキリと、できればわかりやすい表現に変えてもらったほうがありがたいですね。

by チナリ (2019-12-23 06:13) 

Rinko

眼振で心のイライラを鎮める。誰にでも使えそうな方法ですね。
by Rinko (2019-12-23 09:13) 

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