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健康になりたい! きれいになりたい! 長生きしたい! それなら、お風呂で温めなさい!!活用編 [ヒートショックプロテイン]

Photo by ActionVance on Unsplash

『健康になりたい! きれいになりたい! 長生きしたい! それなら、お風呂で温めなさい!!』(伊藤要子、インプレス、Kindle版)は、ヒートショックプロテイン(HSP)を産生するマイルド加温健康法について、基本編、活用編と2冊に分けて解説されています。18日の「基本編」に引き続き、今回は「活用編」をご紹介します。本書では、主にがん治療との併用について書かれています。



10日前の、宮川花子さんの多発性骨髄腫公表は驚きましたね。


血液や骨髄のがんは、抗がん剤が効くといわれている通り、CR(腫瘍が完全に消失した状態)になったので会見をされたとのこと。

白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群などは、抗がん剤を使えば治るかもしれない。

使わなければ治らない、という病気です。

臓器がんに比べると、骨髄のがんはCRからがより大変なので油断ならないのですが、余命宣告されていたのが、治療を受けたことで、また表舞台に登場できたという事実を身を持って示されたことは意義深いことだと思います。

温熱療法とマイルド加温療法


というわけで、前回はヒートショックプロテインの「基本編」で、今回は「活用編」です。

熱めのお風呂に入って、体温を平熱より2度上げると、生体防御反応であるヒートショックプロテインが活発に作られるという話でした。

それを何に活用するかというと、がん治療との併用です。

もともと伊藤要子博士は、がんの第四の治療法といわれているハイパーサーミア(局所温熱療法)の研究が専門でした。

そこで、ヒートショックプロテインを産生する42度入浴マイルド加温法と、ハイパーサーミア(局所温熱療法)の違いから、本書の説明は始まっています。

ハイパーサーミア(局所温熱療法)というのは、がんの病変部を加温して43度にします。

43度は細胞が熱死する温度です。

つまり、がん細胞を熱で死なせる治療法です。

周囲の正常細胞は、それだけの熱を加えても、血管を広げ、血液をいつもより多めに循環させて熱を運んでくれるので死にません。

しかし、がん細胞の血管は急ごしらえの弱いものなので、血管が広がらず、つまり熱を逃がすことが出来ずに細胞が死んでしまう、という仕組みです。

ハイパーサーミア
日本ハイパーサーミア学会より

ハイパーサーミア(局所温熱療法)はもちろん保険が効きますし、抗がん剤や放射線との併用がとくに効果的と言われているので、現在がん治療中の方は主治医に相談されてはいかがでしょうか。


ただ、そうなると、

「そんなにいいものだったら、三大療法(手術、抗がん剤、放射線)で苦しい思いをさせないで、ハイパーサーミア(局所温熱療法)を24時間連日続けたら良いじゃないか」

と思われるかもしれませんね。

残念ながら、そうはいかないのです。

細胞はがん細胞を含めて、熱を加えられるとやられっぱなしではなく、耐性を作ります。

いったん加温すると、72時間ぐらいは、また加温しても効き目がないのです。

つまり、ハイパーサーミアは、どんなに集中的に行うにしても、72時間ごとにしか治療ができないのです。

実はその耐性こそが、ヒートショックプロテインなのです。

ということは、がん細胞にもヒートショックプロテインができるということになります。

がん細胞がむしろ保護され修復されてしまうわけです。

さすれば、がん患者はマイルド加温療法はしないほうが良いのか、という心配も。

……そうではないのです。

伊藤要子博士は、こう説明しています。

1.ヒートショックプロテインは、あらゆる細胞を元気にするため、NK細胞、キラーT細胞といった、体内のがん細胞をやっつける免疫細胞も増加させ元気にします。
2.ヒートショックプロテインは、がん細胞にも産生しますがその際、がん細胞膜にがん抗原の提示を強く行うので、免疫細胞ががん細胞を見つけやすくなります。
3.ヒートショックプロテインは、三大療法やストレスで疲弊した全身の細胞を修復してくれます

とくに「2」が重要で、がん細胞はもともと自分の細胞のため、免疫細胞は見誤ったり攻撃し損なったりと、歩留まりがあまりよくないのです。

しかし、ヒートショックプロテインが「こいつががん細胞だよ」と教えてくれる目印をつけてくれることで、免疫細胞は効率的に攻撃できるのです。

ただ、画像上に何センチという単位で確認できるぐらいのがんのサイズになると、いくら効率よく攻撃しても、最終的にはがん細胞のねずみ算的分裂増加には追いつかない、ということになるケースが多く、それが現在の伊藤要子博士にとっては悩ましいところだそうです。

その意味では、冒頭の宮川花子師匠のように、何よりも三大療法をしっかり受けることが大前提です。

そして、それを本人に苦痛なくサポートするものとして、マイルド加温療法を可能なら併用するということです。

医学の粋と、人間本来の生体防御能力を組み合わせることで、重篤な病気に力強く対抗することが出来るということでしょう。

抗がん剤も使い方次第ではないか


よく、抗癌剤を使うと、体がぼろぼろになり、がんで死ぬのではなく抗がん剤で死ぬ、という根拠で化学療法を否定する人がいます。

もちろん、副作用がまったくないわけではありませんし、本当にぼろぼろになる場合もありますが、全てがそうではありません。

冒頭に書いたように、血液のがんは、抗がん剤を使わないと治りません。

これは、「がんもどき」の先生だって認めていることです。

ちなみに私の母は、80歳過ぎてから3度大病を経験し、三大療法による治療3回とハイパーサーミア1クールを経験しています。

でも、卒寿の時点で黒髪は残り(もともと白髪は少ないので染色の経験無し)、歯は親知らずと虫歯で抜いた以外の27本が残り、杖もつかずに自力で歩いています。

抗がん剤で体がボロボロになるのだったら、それはありえないでしょう。

もっとも、カラスの行水派なので、42度のお湯に10分なんて絶対に入りませんが。

それはさておき、医療機関ならハイパーサーミア、自分でできるのはマイルド加温療法。

この2つの「温熱療法」を、治療のカヴァーとQOL向上に役立てて健康に過ごしたいものです。

冒頭のイメージ画像
Photo by ActionVance on Unsplash

健康になりたい! きれいになりたい! 長生きしたい! それなら、お風呂で温めなさい!! 活用編 impress QuickBooks
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Boss365

こんにちは。
「加温療法」とは少し違うと思いまうが「和温療法」でサウナ機器を使用していました。癌にも効果あるみたいですが、慢性心不全や閉塞性動脈硬化症に効くみたい?抗がん剤も色々あり、選択肢も沢山あるので、正確な知識・情報が必要ですね!?(=^・ェ・^=)
by Boss365 (2019-12-21 14:05) 

なかちゃん

熱いお風呂は好きですが、そんなに長くは入っていられません(^^;
抗がん剤のデメリットは確かにあるかもしれませんが、ボクも今まだ生きています。やっぱりちゃんとした治療は受けるべきだと思います(^^)

by なかちゃん (2019-12-21 16:04) 

skeptics

考えさせられますね、考えさせられます。
by skeptics (2019-12-21 21:36) 

ナベちはる

40℃超えだと、最初が熱いだけで慣れれば…
と毎日できればいいのですが、72時間ごとでないと治療できないのですね。

なかなか上手いこといかないなと思いました。
by ナベちはる (2019-12-22 00:36) 

mau

強力な治療法は身体への負担もかかるので、いくつかの療法を組み合わせるのは理に適っていると思います。
by mau (2019-12-22 00:40) 

pn

やっぱ笑い取ってたのかぁ、さすが芸人。
by pn (2019-12-22 06:15) 

kou

家の風呂は43℃設定していますが、自分は暑くてすぐに出てしまいます。そんな効果があるんですね。
by kou (2019-12-22 08:53) 

犬眉母

忙しすぎる現代は、お風呂ぐらいゆっくり入りたいですね。
by 犬眉母 (2019-12-22 23:18) 

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