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子の不始末、親は自分が子に見せてきた背中を反省すべしという声 [社会]

子の不始末、親は自分が子に見せてきた背中を反省すべしという声

前大阪市長の橋下徹氏が、元農林水産事務次官の熊沢英昭容疑者が自宅で長男を殺害したとされる事件に、私見をツイートしたことが話題になっています。曰く、「僕が熊沢氏と同じ立場だったら、同じ選択をしたかもしれない」というのです。



しかし、その前に、どうしてそのような立場になったのか、そのような立場にならないために親はどうすればいいのか、という視点が必要ではないでしょうか。



橋下徹氏の意見については、ナイーブに賛成している人もいますが、次のような反論もあります。

>へー橋本徹の殺人予告か
>殺す前にいろいろ選択肢あるだろう
>警察呼ぶとかもできんの?
>世間体気にして殺しちゃうの?
>殺人を肯定する風潮おかしい

>国が分裂しかねない発言。子殺し容認国と子殺し否定国に分かれたほうがいい。
>そのくらいにヤバイ発言だと思う。人権や倫理を専門にやっている人から
>みればこれほど短絡的な発言はない。

>生まれついてのサイコパスなら仕方ないが川崎も官僚の息子も毒親にかなりの原因あると思うけど、それで仕方ないで殺される子供がいる国って終わってると思う

>そういう風に育てた自分が悪いと考えられないなら子供作るべきじゃないわ

スレッドのまとめ記事はこちらです。




橋下徹氏に、「殺人を肯定」の意図や自覚があったかどうかはともかくとして、私が感じたのは、橋下徹氏の脳みそには「毒親」という概念がない、ということです。

つまり、

子どもに問題が生じた

親として育て方が間違ったんじゃないだろうか、

という自省ではなく、

子が悪いことをした

自分が子を制裁してもやむなし、

という論理なのです。

私からすればそんなロジック、親としての責任を糊塗した上に、それを逆手に取って自分を悲劇のヒーローのように演出する準備まで感じられてなりません。

橋下徹氏は、以前も、次男から携帯電話を力づくで取り上げようとして、骨折したことを臆面もなく述べていたことがあります。



このご時世に携帯を持ったからと言って、何かトラブルを起こしたわけでもないのに「力による制裁」を発動するというのは、いかがなものでしょうか。

今回のコメントをかりれば、暴力の前に「いろいろ選択肢あるだろう」といいたくなります。

維新の会のやりたいことって、こういうことなのかな。

子のふるまいに問題点があったら、「自分がこの子に見せた背中はどうだったんだろう」という発想がなぜないんだろうか

何度も書いてきましたが、子の不始末は、そこに法的責任があろうがなかろうが、毒親認定は免れないと私は思います。

たとえば、過日の、川崎市麻生区の事件について、容疑者が51歳であるから、「もういい年なんだから親の責任はない」という意見がありますね。

それは、「親権者」としての法的責任がない、という次元の話ですね。

毒親におかしな育てられかたをした子どもは、生涯、それを抱えて、引きずって生きていかなければならないのです。

そこが問題なのです。

だからといって、毒親の被害者は犯罪に走ってもいいということではありません。

犯罪にはしらないように、親は今からでも毒親かどうかオノレを省みて、改善が間に合うことは今からでも改善して子どもの人生の全面開花の妨げになったことを反省しろ、ということです。

こう書くと、「どうせ容疑者は障碍者(アスペルガー)なんだろう(だから親云々は関係ないだろう)」と、無責任なレッテルを張りたがる人はいるのですが、容疑者の障碍者手帳や受給者証でも見たのでしょうか。

ネットの在日認定と障碍者認定。度し難いですね。

……といいつつ私も、今回は客観的な根拠に基づかない自分勝手な印象を書きます。

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「発達障害」だから人を見下していたのか?


話を息子殺しに戻すと、殺された息子が、「肉体は健康だが脳は生まれつきアスペルガー症候群だし、18歳で統合失調症という呪われた身体」とツイートしていたことが「発達障害」の根拠であるとされています。

「運動会の音」に過剰反応するのは、たしかに発達障害にはあり得ることです。

ただ、発達障害は、一言で述べれば「他人に関心がない」という特徴が指摘されていますが、ツイートはそれとは微妙に違うような気がしました。

たとえば、官僚である父親の権力を盾に人を見下したり、母親を恨み暴力をふるって自分が「強い」ことを誇示したり、その他、学歴詐称、友達の数詐称など、ツイートは屈折した承認欲求が強く伺えます。

そして、障碍者を自称しながら、やまゆり園の犯人を絶賛している点などからも、この息子の価値観には、プライドが高いうえに子供の成長の道順に添えなかった毒親に翻弄され破綻した自我しか私には感じられませんでした。

繰り返しますが、これは私の「印象」に過ぎません。

ただ、いずれにしても、親と子について問題は、子どもが成人しようが、子どもに対する(毒)親の責任がきえるわけではないというのが、私の揺るぎない持論であり、警察の調べすら終わっていないうちから、息子を殺す親に同情するという橋下徹氏には全く共鳴できない、ということです。

冒頭の画像はイメージです。
Robin HigginsによるPixabayからの画像

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犬眉母

百歩譲って、同情する余地があったとしても、
事実上親による子への“究極の制裁”容認とか、
公共の場で発信することはどうなんでしょうか。
by 犬眉母 (2019-06-04 02:49) 

末尾ルコ(アルベール)

川崎の事件でも、「一人で勝手に死ね」という言説に対する賛否両論が噴出したり、甚だしいのはたまたま引きこもりが犯罪を犯したからといって、昨今極めて多く存在する引きこもり全体を犯罪者予備軍のように書き立てたりという極端な物事の単純化や脊髄反射的雰囲気に溢れておりますね。引きこもりであってもなくても犯罪を犯す可能性はあるわけで、一人の犯罪者が出現したからといって、その人物の属性を強調するのはとても危険です。言ってみれば、ある県出身の人が犯罪を犯したとして、その県出身の人すべてが犯罪者予備軍であるかのように見てしまうということとさほど変わらない危険性があります。
「親の影響」の深刻さについてもっと深く考えるべきだというご意見にはまったく賛成でして、わたし自身も20代前半くらいまでは父親の影響に苦しめられましたからよく分かります。それと、「人様に迷惑をかけるから殺しちゃっていい」とか、ちょっと論外過ぎて気持ちが悪いですね。「殺していいかどうか」の判定を個人ができるとか、その考えを延長していけば、「誰でも誰かを勝手に殺してもかまわない」というところまで行きついてしまうことくらいわかりそうなものなのにと思います。

・・・

>好ましくないことを考えるようになるようです。

わたしの母もA病院での最初の個室の期間はまさにその状態だったと思います。なにせ個室で何もやることがない時間が長過ぎました。母はベッド上で本も読みませんから、眠れない時は、「何か考える」あるいは「想念が次々と浮かんでくる」などといった状態なのだと思います。「考えるしかない」状態、しかも入院中となれば、その内容がどんどん悪い方向へ行ってしまいがちなものです。母が何度となく個室で取り乱してしまったのは、そうした精神状態が募りに募って表面に噴出してしまったものだと思います。現在はまた一般病棟の個室になってしまいましたが、一人にしておくと間違いなく非常に不味い精神状態となるのは見えておりますから、その意味でもわたしが「付き添い」するしかないと決断しました。


>はずすときは全部数字が1つ違いとか。

へえ~、やはりあるのですね、そのような現象!いっぷく様がそうおっしゃるのなら、そうした現象の中に何らかの「意味」が含まれているのかも、という気分になってきます。いや、わたしはそもそも、何度となくお話しさせていただいているように、もともとは神秘的雰囲気を愛する人間で、古代宗教などから始まって、生涯を貫き強い興味の対象として持っております。それだけに底の浅いインチキが大嫌いで、と言ってもメディアに登場するその手のもののはほぼずべて底の浅いインチキでしかなく、またそういうものをあっさり信じてしまう人間が多くいるからこそ、つい攻撃的に批判してしまいます。もちろんその態度は間違ってないと信じておりますが。そしてもう一つ正直に申し上げますと、「サイコロ当て」を遊びとしてやりつつも、(何か起こらないかな)という微かな思いはないわけではございません。もちろん、「何も起こらない」と分かってはおりますが(笑)。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2019-06-04 06:43) 

pn

元官僚の気持ちも分からなくはないけど何で殺した本人は生きてんの?責任感じての犯行なら息子殺した後自害しそうだけどね。
by pn (2019-06-04 07:20) 

Rinko

ひとりの親としてとても考えさせられる事件です。
自分は「毒親」になってないか・・・子育て渦中にいるとなかなか自分自身の事は見えないのですが、、、ご紹介されている本を読んでみようかな・・・。
by Rinko (2019-06-04 07:47) 

なかちゃん

生意気なれども自分の想いを言うとすれば、そんな背中を見せてしまう情けない親になりたくなくて毎日奮闘してきたつもりです。
が、実際に我が子がそうなってしまったら、どうすれば良いかは分かりかねますけどね(^^;

by なかちゃん (2019-06-04 08:21) 

Take-Zee

こんにちは!
なんとも悲惨な人生の終盤です。
親子それぞれにやりきれない悲しみを
感じてしまいました。

by Take-Zee (2019-06-04 16:33) 

レインボーゴブリンズ

鉄は熱いうちに打て、と言います。将来のことを考えたら、子が引きこもりになっているなと思ったら、早い時期に親は専門家に相談する。これが親の取るべき責任というものではないでしょうか。自分の言うことを聞かない子を葬ることが、親の責任では決して無い。
by レインボーゴブリンズ (2019-06-04 18:52) 

kou

悲惨な事件でしたね。
家庭内暴力が原因ではあると思いますが、もう少し別の方法があったような気もします。優秀な官僚だったのに残念です。
by kou (2019-06-04 19:21) 

ヨッシーパパ

マスコミ報道だけですと、なかなか正しい情報が得られませんね。
by ヨッシーパパ (2019-06-04 19:31) 

ナベちはる

今回の件、考えさせられる項目が多いように思います。
by ナベちはる (2019-06-05 01:03) 

斗夢

皆さんいろいろいいますが、当事者になったとき
どういうんでしょうね。
他人が云々できるものでしょうか。
by 斗夢 (2019-06-05 15:24) 

扶侶夢

親の目線で子を戒めたり親に同調することには何の解決策も生まれません。親の目線で語るなら同じ立場の親を戒めるためのモノだと思いますね。

by 扶侶夢 (2019-06-07 02:42) 

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