檀ふみさん(だんふみ、1954年6月5日~)の誕生日です。おめでとうございます。『青春の蹉跌』で頭角を現し、『わが愛の譜・滝廉太郎物語』(1994年)で第17回日本アカデミー賞助演女優賞を受賞しました。今日は放送後20年たって再評価されている『俺たちの祭』を思い出します。(画像はDVD劇中より)
ありがとうございません (幻冬舎文庫)
俺たちの祭
『俺たちの祭』(1977年11月20日~1978年4月30日、ユニオン映画/日本テレビ)は、中村雅俊主演の、舞台俳優としての生き方に悩む青春群像劇です。
このブログで何度か書いたことのある『俺たちの旅』(1975年10月5日~1976年10月10日、ユニオン映画/日本テレビ)の、1年後に放送されたのが今回の『俺たちの祭』です。
オープニングでは、中村雅俊、檀ふみ、そして新人で抜擢された堀美奈子の3人が登場します。
新劇の劇団「新樹」の研究生(中村雅俊)が、正直すぎるゆえに劇団幹部(近藤宏)と衝突。
座員になれないばかりか、他の演劇活動の妨害をされますが、才能を評価するマネージャー(篠ひろ子)が登場するなどして、最後は妨害の及ばない大きな劇団で舞台にたつところまでを描いています。
中村雅俊は、久米島の出身という設定。
旅役者を父に持ち、盲目の母(岩崎加根子)は、中村雅俊のお荷物になってはならないと自殺。
久米島時代の友人で、上京の際も行動をともにするのが三ツ木清隆。
檀ふみは、劇団の経理の仕事をしています。
が、以前、妻子ある男性と自分でも止められない激しい不倫の経験があり、そんな自分が怖くて、中村雅俊に対しては距離を置こうと、怯えているような態度で接します。
ですから、いつも憂鬱な、不機嫌なふるまいで、なかなかむずかしい芝居だったと思います。
上京して住むアパートの住人が、売れない漫画家(角野卓造)と内縁の妻(秋本圭子)。
中村雅俊と一緒にギターの流しをするのが小島三児。
群像劇と書きましたが、この人たちが中心に物語が展開します。
三ツ木清隆は、途中で津山登志子と所帯を持ち、中村雅俊とは少し距離ができてしまいます。
まあこれは仕方のないところか。
角野卓造は漫画家を挫折し、小島三児も田舎に帰ります。
挫折する者もあれば、自己実現する者もいる、という青春群像劇です。
ただ、ところどころにコミカルなところは入れるものの、全体としておも苦しいドラマで、Wikiにも「挫折、苦悩、長い回想シーンなど重い雰囲気の場面が多く、期待に反して視聴率的に苦戦してしまう」と書かれています。
予定よりもはやめに終了してしまいました。
しかし、20年後にDVDが発売されます。
21世紀に入ってから、「いいドラマだったのではないか」と評価されています。
本作のレビューページを見ると、「人生1度きりだから自由に生きる」というドラマのモチーフに嫌悪感を抱いていた人もいるようですね。
道徳的ではないと。
「自分の人生は自分だけのものではない」というような美学ですね。
それ、すべてが間違いではないですが、「自己犠牲」を奨励する美学であることも確かです。
まあ、1970年代や80年代は、右肩上がりの高度経済成長時代の名残といいますか、年功序列で社会のレールから逸脱してはならない、という、会社や社会や人間関係などに依存し、気を使う考えがのこっていたのですが、バブルが崩壊した1990年代以降の「失われた平成時代」を経て、人は、人生とはなんぞや、幸せとはなんぞや、ということについて、シンプルに考え、「人生1度きりだから自由に生きる」という結論が理解できるようになった人が増えたのかもしれません。
人生に悩んでいる方は、ぜひ、昭和の青春ドラマをご覧ください。
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1970~80年代の『理想の女性』
檀ふみといいますと、当時、人気があったのです。
『パンチDEデート』という、素人のお見合い番組があり、女性側の話の聞き手を桂三枝(現桂文枝)、男性側を西川きよしがつとめていたのですが、そこで男性出場者に、毎回「理想の女性は?」と聞くと、別に選択肢があるわけではないのに、2人に1人は「檀ふみ」と言っていたように記憶しています。←正確な統計はありませんが(笑)
ちなみに残りは、坂口良子とか、竹下景子とか、市毛良枝でした。
出場者が、『俺たち』シリーズを観ている世代だったということもあるでしょう。
たまに八千草薫とか言ってる人もいたし。
洗練されているようで、よく見ると素朴なところがよかったんでしょうね。
私も、当時はわからなかったけれど、今なら「檀ふみ」と答えるかもしれません。
余談ですが、父親から実権を奪ったものの、商売が苦戦している“かぐや姫”を見ると、どことなく檀ふみを思い出してしまいます。
よく見ると違うんですけどね(笑)
俺たちの祭DVD-BOX(6枚組) [DVD]
俺なら竹下景子かな♪
by pn (2019-06-05 06:15)
「商売が苦戦している“かぐや姫”」の雰囲気は檀ふみさんに似ていますよね^m^
私も檀ふみさん好きだな~♪
by Rinko (2019-06-05 07:35)
何がそうさせるのかがまだよく分かりませんが、ぼくは檀ふみさんが嫌いなんです^^
だからかもしれないけど、俺たちの祭は見てません。
もしかしたら、この『俺たちの祭』の不機嫌さが嫌いで…が最初なのかな?
でも、『男はつらいよ 寅次郎純情詩集』で京マチ子さんの娘役で出られた時はそうでもないんです(^^;
そして、今はもう何ともありません(^^)
by なかちゃん (2019-06-05 08:30)
檀ふみさんで思い出すのはNHKの連想ゲームかな…
こんな聡明な女性がいるんだと…
by かずのこ (2019-06-05 08:45)
おはようございます!
檀ふみさんも65歳、いいお婆さんに・・
そういう自分も爺さん。
女優さんは往時のイメージのままです!
by Take-Zee (2019-06-05 08:55)
『パンチDEデート』って懐かしいです (^ ^)
by 這い上がるママ (2019-06-05 09:33)
確かにこのドラマ、こうして拝読させていただきますと、とてもおもしろそうに感じます。わたしも観ていたと思うのですが、ひょっとしたらまだ「劇団員」という設定がよく理解できていなかったのかもしれません。同時に、細かな人間の悩みのようなものにもさほど興味を持ってなかった苦労知らずの子どもだった可能性もあります。ともあれ、中村雅俊のドラマはけっこう観てました。てっきりどれも視聴率がよかったのかと思っていたのですが、案外そうでもない作品もあったのですね。
今夜のお記事に名前が挙げられている女優陣では、もちろんわたしは坂口良子派でした。顔といい、プロポーションといい、「バッチリ!」という感じだったのです。壇ふみは中年以降の、いささか分別臭い人というイメージがわたしの中では続いていました。おもしろみがないというイメージですね。しかし『男はつらいよ』で若き日の姿を見て、(なるほど、人気があったわけだ!)とすっかり理解できました。何と言いますか、「育ちの良い女性」ならではの色気があるのですよね。あと、わたしの中では檀ふみと紺野美沙子が、やや被っていたのです。
・・・
青木という全日本プロレスのレスラーが交通事故で亡くなりましたね。わたしはこのレスラーを知らなかったのですが、交通事故を含めあらゆる事故は無常観を呼び覚ましますね。一瞬にして人生が反転してしまう。亡くなった当人はもちろんのこと(事故の瞬間にどのような感情が生じるかは分かりませんが)、家族や親しい人たちの、(あの時、あの道を選ばなければ)(あの時ほんの少し注意しておれば)と、悔やんでも悔やみきれない感情が絶対消えません。母のこの前の転倒事故もそうです。それでも生きていれば再挑戦が可能ですが、一瞬にして亡くなってしまえば、当人はもちろん残された人の心が本当に癒える日は来ないのかもしれないという気さえします。
>車椅子の散歩もできないわけですね。
大変です。車椅子どころか、歩行器を使っての歩行もかなりの速さでできるようになっておりましたから。夜の時間にリハビリ病棟の食堂で寛ぐ時間も当面は無くなりました。ベッド上のリハビリはやっておりますが、時間も短いですね。もちろんやらないよりはずっといいですけれど、足腰の筋力は当分の間落ちっ放しでしょうし、感染症なども常に警戒しておかねばなりません。まだ骨折後数日ですが、気落ちはもちろんしているでしょうけれど、食事はほとんど食べており、今のところ全身状態も体力も衰えている感はないので、早めに骨折の疼痛が軽減してくれればと念じております。それにしても今までずっと、「いい感じになってきたと思ったら、大きな落とし穴に落ちる」というパターンを繰り返してきています。こうなると、「お祓いでも」となりがちですけれど、そういうものに頼らずに頑張ります。ただ、どのようなことにも「流れ」ってありますよね。起こった後でそう感じてしまうだけかもしれませんが、もしあるのなら、この「流れ」はどうにか変えたいです。
>強い気持ちを維持されご辛抱ください
おっしゃる通りだと思います。効果的な治療法に加え、「強い気持ち」は必須ですね。そしていっぷく様のお話も、いつも大きな力とさせていただいております。
RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2019-06-05 11:35)
その頃の檀ふみさんは、とても、清楚な美人でした。
憧れのお姉さんというイメージでした。
by ヨッシーパパ (2019-06-05 18:14)
年代からして、自分は塾通いで自分の時間の無いころでした。昭和の過渡期の俳優さんですね。
by ヤマカゼ (2019-06-05 18:16)
母が壇ふみさんのファンでしたが、娘の私に「壇ふみのようであれ」を強制するので、ちょっと迷惑でした。あんな才色兼備で清楚な女性、目指してなれるものじゃありません。でも、やはり憧れましたね。
by YURI (2019-06-05 21:05)
檀ふみさん、清楚という言葉が似合いそうな女優さんですね。
by ナベちはる (2019-06-06 01:41)