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雨森雅司、天才バカボンのパパといえばやはりこの人なのだ [懐かし映画・ドラマ]

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雨森雅司さん(あめのもりまさし、1930年7月24日~1984年4月9日)の命日です。なんと言っても代表作は『天才バカボン』『元祖天才バカボン』のパパ。早逝のため、これまで5回アニメ化された同作の3回は他の人が担当していますが、今もパパ役はまずこの方が思い浮かびます。(画像は断りのない限りGoogle検索画面より。上の画像の下左端のみカートゥーンネットワーク放送中画面より)



1960年代後半、爆発的な面白さを感じたものが2つありました。

ひとつは、コント55号のコント。



萩本欽一と坂上二郎が、舞台狭しと動き回るのですが、コントというスタイルが珍しかったのと、ネタではボケているのが萩本欽一なのに、見ていると萩本欽一が突っ込んでいるように見える、役割分担を超えた躍動感がすばらしいと思いました。

もうひとつは、漫画の『天才バカボン』です。

天才バカボン
カートゥーンネットワークより

それまでは、映画やドラマで、漫画の本を読んでいる子どもがゲラゲラ笑うシーンが出てきても、「漫画ってこんなに笑えるか?」と、実感が伴わなかったのですが、初めて笑える漫画が『天才バカボン』でした。

初出は、1967年4月9日発行の『週刊少年マガジン』。

1969年には、『もーれつア太郎』や『ひみつのアッコちゃん』など、赤塚不二夫作品が次々テレビで放送されていたので、『天才バカボン』もはやくテレビのマンガ(その頃は『アニメ』なんて言葉は使われていませんでした)にならないかと思ったものです。

それがいよいよ1971年、『巨人の星』の後番組として、土曜日夜に放送されました(1971年9月25日~1972年6月24日、東京ムービー/よみうりテレビ)。

アニメ番組の『天才バカボン』は、原作が残酷描写や暴力的表現当たり前のナンセンス路線に走ったのに比べて、テレビは人情ホームコメディの趣でした。

原作には出てこない、バカボンの担任の凡田先生、ガールフレンドのさくらちゃん、ガキ大将の中村くん、母子家庭の青成くんなどを設定していました。

「うーん、ま、これはこれで面白いんだけど、やっぱり漫画のとおりは難しいのかな」

と思っていたら、4年経って『元祖天才バカボン』(1975年10月6日~1977年9月26日、東京ムービー/日本テレビ)が、バカボン一家は同じ声の担当で始まりました。

4年前の『天才バカボン』に比べるとだいぶ原作に近づいて面白く鑑賞していましたが、原作にあるような毒はやはり封印されていました。

今にして思うと、どうせ封印されるなら、原作とははじめから狙いをかえていた、ホームコメディー調の『天才バカボン』もよかったのではないか、とおもいました。

結論としては、『天才バカボン』『元祖天才バカボン』どちらもよかったと思います。

それはやはり、主たる登場人物がしっかり描かれていて、それは声のイメージもピッタリだったからだと思います。

バカボンのパパ⇒雨森雅司、ママ⇒増山江威子、バカボン⇒山本圭子、ハジメ⇒貴家堂子、という一家はやはりいちばんしっくりする“一家”です。

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バカボンのパパが刑事になった!?


ひょっこりひょうたん島の記事でも書きましたが、昭和の頃は自分では芝居のできない声優というのはおらず、俳優が声優を担当していました。

雨森雅司も、日本大学芸術学部映画学科から、劇団戯曲座⇒劇団七曜会⇒劇団芸協の創立メンバーと、いくつかの劇団を経験しています。

その昔、私のサイトを“理性”と唾棄していた唐沢俊一氏が、劇団七曜会について理解を助けてくれています。
青野武、肝付兼太、雨森雅司などがそこの出身者である。後に声優として名をなした人が多いが、これは劇団自体が、生活費稼ぎのために当時新しい職業として成立しつつあったアテレコのアルバイトを積極的に劇団員に勧めていたためだった。http://www.tobunken.com/news/news20110820134118.html

なぜ俳優が声優を兼ねていたか、という理由がこのへんにあったのかもしれません。

それはともかく、雨森雅司のドラマ出演というと、思い出すのが『気になる嫁さん』の第37話『結婚サギ師をだますには…』(1972年8月23日放送)です。

気になる嫁さん.jpg
チャンネルNECOより

7人家族に、末っ子(関口守⇒佐野守)の婚約者(榊原るみ)が同居したものの、末っ子は留学先で急死。

それでも家に残った婚約者を巡って様々な出来事が展開するホームコメディーです。

舞台は東京世田谷区成城。

ストーリーの節目や登場人物の心理状況を表すときにしばしば、小田急ロマンスカーの警笛音がなります。

ナレーションのような「説明」とは違い、文芸的なセンスの高さを感じるドラマです。

第37話では、結婚詐欺師と、間違われて勾留される二役を石立鉄男が演じますが、警察の場面の刑事が雨森雅司です。

雨森雅司

バカボンのパパの声の仕事が終わったばかりの撮影でしたが、自身もパパのように髭をつけています。

視聴者は、バカボンのパパのイメージを重ねるかもしれない、と思っていたのかもしれません。

舞台俳優のため、この回のテレビ出演はお宝扱いです。

『天才バカボン』と『元祖天才バカボン』、ご覧になりましたか。

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犬眉母

素顔は初めて拝見しました。
確かにパパを意識しているかも
しれませんね。
by 犬眉母 (2019-04-09 02:15) 

末尾ルコ(アルベール)

雨森雅司、天才バカボンのパパといえばやはりこの人なのだ・・・雨森雅司さんのお名前は知りませんでしたが、『天才バカボン』はもちろん観ておりました。主題歌も今でも歌えます。アニメの主題歌も昨今は気取ったものが多くて何か嫌ですね。『ドラえもん』なんかも最初のアニメの時にはどことなく都々逸のような歌だったのに、どんどん甘ったるいものになっていきました。

>漫画の『天才バカボン』です。

漫画の方も読んでおりました。ただ、まだ幼かったので、漫画とアニメの内容的違いまでは気づかなかったです。今両方を観れば、ヴィヴィッドに感じると思います。
ギャグ漫画は時に連載が進むにつれて、力んでストーリーを複雑化してみたり、「泣かせ」を入れてみたりというパターンもありますが、赤塚不二夫の作品は常に一貫性があった印象です。自然な美意識が備わっていたのでしょうね。そうした美意識が象徴的に表れたのが、赤塚不二夫が死去した際のタモリの弔辞で、一切「泣かせ」には走らなかったですね。あれは芸能史に残る素晴らしい弔辞だったと思います。タモリが赤塚不二夫の美意識を深く理解していたからこそのあの弔辞だったわけで、いわば赤塚不二夫がタモリにあの弔辞を作らせたとも言えるのではないでしょうか。

>「漫画ってこんなに笑えるか?」

確かに「げらげら」まで行く漫画はあまり記憶がありません。漫画を読んでの笑いは、「ぷっ!」と吹き出したり、小さく「はははは」と笑ったりくらいが普通だと思います。わたしがギャグ漫画で真っ先に思い出すのは全税期の土田よしこで、10代のころは同じ作品をしょっちゅう愛読しておりました。山上たつひこらも好きでした。余談ですが、『ドラゴンボール』や『Dr.スランプ』などはまったくダメでした。

唐沢俊一氏って知らなかったのですが、カルト物件評論家なんていう名目を使ってるんですね。画像をチェックしてみましたが、(見なければよかった)と後悔しました。

・・・

>ネットや書籍などから情報を探しまくっていた

特にネットはアッという間に時間が経過してしまいますね。でもネット以前であれば大きめの書店で専門書を立ち読みしたり、医大の図書館まで足を運んだりしてましたので、そうした労力が減ったと考えれば、まだましなのかもしれません。それと心理的にはネットでも、「何らかの答」を見出したいので次から次へと際限なく調べてしまいますが、病状や治療法は個人個人でまったく違いますから、一般的な情報から「答」など見つかるはずがないのにそれでも探すのを止められない心理に陥ってしまいます。

>定期券

今回の入院は車で5分程度の場所で、この距離は本当に助かっております。高知市の救急病院でも往復で40分以上かかる施設もあり、それでも毎日面会には行きますが、体力と時間の消耗は今の病院と比較になりません。

>妻子のときはそのような気になれず

本当に何もする気になれないものですよね。母の場合は突然の手術開始からICUの期間がそうでしたし、この前にもいかにも体調が悪そうな様子があって、どんなことでも上の空になってしまいました。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2019-04-09 03:31) 

pn

YouTubeで41歳の春を聞いたばかりです(笑)
原作じゃウナギイヌ食われちゃうんだよね(^_^;)
by pn (2019-04-09 06:13) 

ヤマカゼ

天才バカボン、巨人の星。夢中で見ていましたね。
by ヤマカゼ (2019-04-09 06:17) 

Rinko

子ども心に「もし自分の父親がバカボンのパパみたいな人だったら・・・」と考えてみたことがあります。ちょっとビミョーな気分でした。笑

by Rinko (2019-04-09 07:42) 

Take-Zee

こんにちは!
昨日の横須賀のサクラ。
一枚は岩戸の養護学校の近くです。

by Take-Zee (2019-04-09 18:03) 

ヨッシーパパ

榊原るみさん、可愛らしいですね。
by ヨッシーパパ (2019-04-09 18:51) 

ナベちはる

今で言うところの「中の人」と実写版で演じる俳優が同じだと、観る側も違和感なくすっと浸透するのですね。(ただ、「イメージが壊れる」というのもありそうなのですが…)
by ナベちはる (2019-04-10 01:00) 

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