近衛十四郎さん(1914年4月10日~1977年5月24日)の生まれた日です。戦前から戦後にかけて活躍した時代劇俳優で剣劇シーンに定評がありました。思い出深いのは『素浪人月影兵庫』と『素浪人花山大吉』の2人珍道中シリーズ。土曜20時の激戦区で人気番組になりました。(画像は断りのない限り劇中から)
近衛十四郎さんというのは、松方弘樹さんや目黒祐樹さんの父親です。
Google検索画面より
近衛十四郎は、もともと新東宝という映画会社出身で、東映入社後も、片岡千恵蔵や市川右太衛門クラスに比べると傍流扱いでしたが、東映の任侠映画路線への移行でフリーとなってから出演したテレビ時代劇『素浪人月影兵庫』(1967年1月7日~1968年12月28日、東映/NET)そして『素浪人花山大吉』(1969年1月4日~1970年12月26日、東映/NET)が大化けしました。
当時の土曜20時といえば、NHKが『ステージ101』、日本テレビがドラマ、TBSが『8時だョ!全員集合』、フジテレビが『コント55号の世界は笑う』、東京12チャンネルが『プロレスアワー』などを放送する超激戦区でしたが、その中で、2年半に渡って放送され続けたのは、人気番組だったことの何よりの証左です。
Wikiによると、最高視聴率は35.7%(第39話)を記録。
これは当時でもすごい数字ですよ。
ストーリーは、諸国を放浪する剣の達人の素浪人・月影兵庫(近衛十四郎)と、曲がったことが大嫌いな一本独鈷の旅烏・焼津の半次(品川隆二)の旅物語。
「気ままな旅を続ける中で、弱きを助け、強きをくじく道中記」(Wiki)1話完結の物語です。
2人は、ずっと並んで歩いているわけではなく、どうやら途中の道中はバラバラで、宿場町で合流していたようです。
そして、毎回その宿場町で一騒動起こるわけです。
月影兵庫は剣豪ですが、酒好きで猫を怖がる設定。
焼津の半次は渡世人ですから博打好きで、蜘蛛が大嫌いです。
で、ドラマのいいところで、猫や蜘蛛が出てくるのです。
完全無欠の英雄ではなく、ズッコケっぱなしで、でもここ一番のチャンバラはサマになっている、というメリハリがよかったんでしょうね。
時代劇から勉強
私は子供時代、この時代劇で、いくつか勉強になりました。
たとえば、悪者が、毎回のように月影兵庫を「ドサンピン」と罵るのですが、これは扶持が3両1分という意味で、つまり身分の低い武士を卑しんでいう言葉と知りました。
また、渡世人の品川隆二も刀を差していたのですが、小学校の社会では、武士だけが刀を差せるように習ったので、変だなあと思っていたところ、刀狩りは非武士の武装を禁止するものではなく、非武士の二本差しを禁止するものであり、非武士でも、外出時に「刀を持つこと」自体は許されていることを知りました。
そして、武士同士が戦うときは、決して闇雲に刀を振り回さず、必ず相手に「(刀を)抜け」と促すのです。
不意打ちとか、虚を突くということをしないという点で一貫していて、興味深いなと思いました。
それにくらべると、必殺シリーズで中村主水(藤田まこと)は、女郎部屋にいる二本差しの人に、「ちょっとお話が」と言って油断させておいて、後ろから斬ってましたから(笑)時代劇もいろいろあって面白いですね。
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役名を変えて続行
その後、ドラマの視聴率上昇とともに、よりコメディ色が強くなったため、原作者の南條範夫からクレームがつき、名前と若干キャラクターを変えた、『素浪人花山大吉』として再スタート。
月影兵庫は松平伊豆守の甥である素性が明らかになり、家督を継ぐために江戸に戻ってしまったため、一人寂しく旅を続ける焼津の半次。
すると、今度は月影兵庫そっくりの花山大吉と出会い、また2人旅が続く、というストーリーです。
花山大吉は、極度の緊張や驚きでしゃっくりが止まらなくなりますが、腰のひょうたんに入った酒を飲むと収まることになっていて、また酒の肴は必ずおからと決まっていて、どんぶりいっぱいのおからを注文します。
何で生計を立てているのかといえば、その飲み屋に店のレイアウトやメニューのアドバイスをする「相談屋」。
このようなコミカルな設定が受けて、引き続き人気番組だったのですが、近衛十四郎の持病(糖尿病と高血圧)が深刻なため、途中で当時の人気女優であった南弘子が加わったのですが、今度はまる2年で終了しました。
その後、1995年に、息子の松方弘樹と田原俊彦でリメイクが作られていますが、70年代序盤のヒット作を20年後に作っても、なかなかむずかしいのではないかと思いました。
最近も、CSの時代劇専門チャンネルで放送されたので、また近いうち放送されるかもしれません。
昭和の古き良き時代劇、ぜひ未見の方は、放送の機会がありましたらごらんください。
時代劇はお好きですか。
素浪人月影兵庫―縄田一男監修・捕物帳傑作選 (徳間文庫)
品川隆二と近衛十四郎 近衛十四郎と品川隆二
今、時代劇は地上波でお目にかかれませんね。
by 犬眉母 (2019-04-10 02:15)
近衛十四郎は、松方弘樹らの父親なのですね。この方はまったく知りませんでした。なにやらわたし、自分がすごく無知のような気もしてきましたが(笑)、それはさておき、いいですね、このような時代劇。時代劇にもいろいろなパターンがあって、リアリズムを追究するもの、様式美を追究するもの、あるいはコメディタッチの作品など、かつてはバラエティに富んだ作品が、映画にしてもテレビドラマにしても、観ることができました。それぞれにおもしろさがありましたね。
わたしは今夜ご紹介くださったドラマ、どちらも知りませんでしたが、おもしろそうです。機会があれば、ぜひ観たいですね。テレビ時代劇も、古ければ古いほどおもしろいという印象がありますが、これは理にかなっている気もします。役者もスタッフも違いますし、時代劇に対する理解度も違いますものね。
このドラマはお記事を拝読させていただいてのイメージとしては、いわゆる「バディ物」で、しかも愉しいお約束満載の内容のように感じます。毎週観ることが原則のテレビ時代劇にとって、お約束が好評か否かは大きいところですね。
現実の侍がどのようなスタイルで刀を振るっていたか、これは常に大きな興味があります。時代劇では普通に侍同士の斬り合いを目にしますけれど、現代に生きるわたしたちは当然ながら、現実に斬り合いを見る機会はありません。剣道という武道は昔の日本からの伝統を引き継いでいるのでしょうが、少なくとも竹刀での対戦では真剣によるもののイメージは沸いてきません。
と、ここまで書いて、「必ずおから」の部分を発見(笑)。昨年もこのドラマ、取り上げてくださってましたね。わたし、「どちらも知りませんでした」なんて、とんでもないことを書いてしまってます(笑)。おからを食べるシーンは記憶にありまして、要するにこのドラマ、観ていたわけですね。タイトルを覚えられてなかったのです。気を取り直して書かせていただくと、子どもの頃のわたしにとっても実に魅力的な内容だったのだということですね。ドラマの真似して、おからをねだったこともありました。
・・・
>駐車禁止を貼られてしまいました。
わたし、面会の時にコンビニの駐車場へ停めてるんですよ。病院の駐車場もありますが、いつも混雑しておりますもので。手術の日は最初1時間くらいで医師の話が済むものと予想していたところ、「このままではいけない」ということで、カテーテル→心臓バイパス手術後と想像もしてなかった展開になり、車も7時間以上置きっ放しでした。幸いステッカーの類いは貼られてなかったですが。
>一瞬目を離したことでアクシデント
怖いですよね。一度のアクシデントで何もかもお終いになる可能性もありますから。母は明らかに転倒しやすいタイプでして、入院云々と関係なく、家でも何度となく転倒しております。数年前にドラッグストアで転倒した時は弟が同行しておりましたが、救急車を呼びました。その時は大した怪我はありませんでしたが。
>自分で歩いて退院
素晴らしいですね。わたしの母はずっと脚腰痛に苦しめられ続けです。母と同時期に教員をやっていた人たちを見ても、母の脚腰の問題は際立っております。もともと積極的に体を動かすタイプではありませんでしたが、どうしてここまでになったのかなと、やや不思議です。 RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2019-04-10 02:55)
俺が覚えているのは花山大吉の方だった!しゃっくり止めるため酒飲むシーンだけ記憶にある(^_^;)
by pn (2019-04-10 06:14)
お酒を飲むと強くなる剣士の役をされてましたね。見てました。
by ヤマカゼ (2019-04-10 06:15)
見た事あります
懐かしいです
あのころ時代劇いっぱいやっていたように思います
by 花好き人 (2019-04-10 06:31)
松方弘樹さんのお父様も役者さんだったんですね。
いっぷくさんがお子さんの頃に時代劇を見ていた「視点」がおもしろいな~と思いました。
by Rinko (2019-04-10 07:33)
おはようございます(^O^)/
この番組は毎週楽しみでしたね。
焼津のハンジが面白かったです。
by Take-Zee (2019-04-10 09:13)
わたしは青春物とか恋愛ものは好みません。
時代劇が好きなんですが、刀を振り回すものが時代劇なのかと。
藤沢周平や池波正太郎、山本周五郎、山本一力、宇江佐真里が 好きですが、これらは時代劇とは云わないのでしょうか。
時々、こんなことを考えています^^。
by 斗夢 (2019-04-10 09:43)
ドラマの方は知りませんでしたが
お二人の役者さんの顔は見た事があります。
別の時代劇か何かで見たんだと思いますが
松方弘樹さんのお父さまだっていうのは初めて知りました。
by poko (2019-04-10 11:48)
後ろのおっちゃん(品川隆二さん)なら、覚えているんですけど・・。
by ヨッシーパパ (2019-04-10 19:06)
35.7%という視聴率、今のテレビ番組だとまず見られない数字ですね。
by ナベちはる (2019-04-11 00:32)
青い山脈は映画だったのですね。歌は有名ですが。
by ヤマカゼ (2019-04-11 05:59)
時代劇は大好きで子供の頃はよく見ていました。このドラマももちろん見てました!!近衛十四郎と品川隆二のコミカルなやりとりが面白かったのを覚えています。
by エンジェル (2019-04-12 06:58)
近衛十四郎って渋い俳優で柳生十兵衛なんか決まり役だと思う。でもB級スターって感じ。
by beny (2019-04-13 15:56)
「素浪人月影兵庫」もよく見てましたね。
のんびりした兵庫とおっちょこちょいの半次の
掛け合いが面白かったし、ここという所での
月影兵庫の殺陣が
かっこよかった思い出があります。
by そらへい (2019-04-14 16:53)
たぶん父親が観てたので、ボクも当時一緒に観ていたと記憶しています。近衛十四郎と死んだ父親が、どことなく感じが似ていて(^^♪ CS放送で久しぶりに観て、感激しました!
by レインボーゴブリンズ (2019-04-18 00:52)