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高原へいらっしゃい、心の裏表を巧みに描くホテルと人生再建物語 [懐かし映画・ドラマ]

高原へいらっしゃい、心の裏表を巧みに描くホテルと人生再建物語

高原へいらっしゃい(1976年3月25日~7月15日、TBS)が、9日22時から日本映画専門チャンネルで放送されます。山田太一脚本で田宮二郎主演です。荒廃した屋敷を八ヶ岳高原ホテルとして立て直す話です。地上波時代の再放送は見たことがありましたが、同局では初めてです。(画像は断りの無い限りTBSチャンネル劇中より)



『高原へいらっしゃい』というドラマはご存知ですか。

高原へいらっしゃい
日本映画専門チャンネルHPより

『高原へいらっしゃい』というと、2003年に佐藤浩市主演で制作されていますが、あちらがリメイクで、今回の田宮二郎版がオリジナルです。

八ヶ岳高原にある、一軒の荒廃した屋敷が舞台です。

八ヶ岳高原にある、一軒の荒廃した屋敷

過去にほんの少しだけホテルとして使われたものの、全く採算が取れずに閉鎖。

以後、何度も人手に渡るなど、経営の難しいとされた場所でしたが、鉄鋼会社の社長(岡田英次)が買い取り、失職した元ホテルマンの娘婿・面川(田宮二郎)に、300万円で立て直すよう命じます。

高原へいらっしゃいの田宮二郎

酒に溺れた生活で、妻(三田佳子)から離婚されそうになっている面川(田宮二郎)は、自身の人生そのものの再建を懸け、スタッフに各職種から8人をスカウト。

コック(益田喜頓)とその助手(徳川龍峰)、ボイラーのエキスパート(池波志乃)、ウエイトレス(由美かおる)、ホテルのボーイ(潮哲也)、バーテン(古今亭八朝)、ジープの運転手兼雑務(尾藤イサオ)、雑務(北林谷栄)。

彼らには、軌道に乗るまで3万円で働いてもらうことにして、地元の材料卸売業者(常田富士男)を加えて、小さなホテルが繁盛するまでを爽やかに描いています。

社長(岡田英次)からは、面川(田宮二郎)のお目付け役として、経理課長代理(前田吟)がホテルに副支配人として出向してきます。

記者の役で、杉浦直樹や西田敏行も出演します。

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人間の弱みやずるさを含めた裏表をしっかり描く


ありふれたドラマのように見えますが、リメイクが作られるぐらいですから、当時から評判はよかったのです。

私も再放送もしっかり見て、小室等の主題歌とともに全話思い出すことができます。

山田太一の脚本は、先日の『岸辺のアルバム』もそうですが、きれいな結末であるにもかかわらず、プロセスは決してきれいごとではなく、むしろ人間の弱みやずるさを含めた裏表をしっかり描くので、リアリティがあるのです。

田宮二郎のテレビドラマにおける役柄は、格好をつけているものの、いつもどこかに弱みを見せている人間味あふれるキャラクターで一貫しています。

本作でも、決して従業員は最初から一枚岩だったわけではないのですが、いろいろなエピソードを通して田宮二郎が自分を正直にさらけ出すことで信頼関係ができ、従業員たちに受け入れられていきます。

そうしたプロセスが何度見ても飽きない奥の深さとして評価され、リメイクされ、さらに今また放送されるのでしょう。

チームワーク、マネージメントなど、ホテル業のみならず、不特定多数のお客さんに応対する、すべての接客業に通じる話がでてきます。

それをさらにつきつめ、読んでいただくブログ記事を発信するとはどういうことなのか、なんてところまで私は考えさせられました。

未見の方は、おすすめします。

田宮二郎版『高原へいらっしゃい』。

高原へいらっしゃいオリジナル・サウンドトラック(CCCD) - TVサントラ
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末尾ルコ(アルベール)

高原へいらっしゃい、心の裏表を巧みに描くホテルと人生再建物語・・・このドラマのように、「何かを立て直す~ピンチを救う」といったテーマのストーリーは盛り上がりますね。最近では、綾瀬はるかの『義母と娘のブルース』が、傾いているパン屋を立て直すという展開を組み込んでいて成功していました。
『高原へいらっしゃい』というドラマ自体は知りませんでしたが、なかなか豪華なキャストです。向かって右上の女優は池波志乃でしょうか。池波志乃が出てたら、つい観てしまうんです。中尾彬が出ていてもあまり観てしまいませんけれど(笑)。池波志乃は、もっともっといろんな役をやってほしい女優なのですが、あの個性を日本の映画やドラマではやや持て余した感があります。フレッシュな由美かおるもいいですね。そして三田佳子。わたしが三田佳子を認識したのは、薬師丸ひろ子の『Wの悲劇』で助演女優賞を総なめにした時期でして、その後超売れっ子になったのですが、CMでややカマトト的なキャラクターが多く、一部で顰蹙を買っておりました(笑)。わたしはそういうのを観た後に、いくつか若い頃に出演した映画を観ましたが、可愛らしいけれど強烈な印象はなかったです。中年以降に大成し、息子の件で大きくイメージダウンと、毀誉褒貶は激しい人ですね。でもつくづく思うのが、高倉健の偉大さ。大原麗子が健さんに憧れていたのは有名なお話ですし、三田佳子も最近何かの番組で高倉健に対する思慕を吐露しておりました。
そしてフランス映画ファンにとって忘れられないのが岡田英次なのです。何とアラン・レネ監督の『二十四時間の情事』へ、エマニュエル・リヴァとともに主演。原作はマルグリット・デュラスと、もうこの時点でお腹いっぱい(笑)。もちろんぜんぜんリアルタイムではなかったですが、わたしがシネフィル道を突き進み始めた頃にはもうアラン・レネは、『去年マリエンバードで』の神話的監督でしたから、そんな監督の作品に日本人が主演しているだけで、(すごいなあ・・・)と思ったものです。岡田英次は『また逢う日まで』でも久我美子の相手役ですね。この作品、観たい観たいと思いつつ、まだ未見なのです。何かの映画アンケートで、久我美子が「アイドル的女優」ランキングのトップになっていたことがありまして、その代表作が同作品ですから、ぜひ観たい。他の出演作はいくつか観ておりまして、確かにチャーミングですよね。
実は田宮二郎はやや馴染みのない俳優の一人でして、つまりわたしあまり、「大人のドラマ」は観てなかったような気がしています。ティーンの頃はどうやら派手めのドラマが好きだったのかもしれません。考えてみたら高校時代なんかは、夜遅くまでアングラ(笑)界隈をうろついておりましたので、家で腰を据えてドラマを観る機会はあまりなかったと思いいたりました。

フィフィって、わたしテレビでは観たことないんです。民法バラエティをほとんど観ないからだと思いますが、ネットではちょいちょい「ご意見」を見かけますよね。結局これがネット社会の特徴と言いますか、ネット以前は気に入らない人間の出演番組を観なければ基本的に何も目に入ってきませんでしたが、今は「ご意見」がネットで拡散して、Yahooニュースなどをチェックするとどうしても目にしてしまいます。小籔千豊に至っては、この「文字」さえくださったコメントで初めて見ました(笑)。このような人物が「ご意見」してるのですね。
カンニング竹山の「ご意見」も何度かネットで見かけました。ただ、竹山の「芸」は観たことないんです。昨今の芸人のパフォーマンスは不快になるものが多いので避けているというのが一番の理由です。しかも、「ご意見番なりたい」という雰囲気を漂わせ始めたら、もう観ちゃいられなくなります。
大滝秀治や高品格などは、もう「そこにいる」だけで幸せな気分になります。「ぜひ、お好きなように演じてください!」と言いたくなりますね(笑)。「芸の力」と、それ以前に、「人間の力」ですよね。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-10-06 02:52) 

pn

3万かぁ、今だったら6万位かな?住み込みとしてもきついなぁ。
by pn (2018-10-06 06:16) 

kinkin

このドラマは見てましたよ、良いドラマでした。
録画予約して撮っておきますかね。
by kinkin (2018-10-06 06:49) 

Take-Zee

こんにちは!
昔の俳優は面白い名前が多かったですね。
写真の中に益田キートン。
外国のバスターキートンのパロディ。

by Take-Zee (2018-10-06 09:14) 

hana2018

田宮二郎と言えばクイズタイムショックの司会、テレビドラマでは「白い巨塔」でもなく、私にとって「高原へいらっしゃい」なのです。
映画では「悪名シリーズ」が面白かったですけれど。。
八ヶ岳高原ホテル事体も訪問していますし…。
リメイク版はと思いましたら、やはり佐藤浩市でした。こちらも実は見ているものの・・・彼の演技は見飽きた感が大いにあり、何でもかんでも佐藤浩市主演にしておけば間違いないみたいなムードには感心しません。
このドラマではコック役の益田喜頓、北林谷栄・・・と良い味を出していましたね。
ホテル、駅、結婚披露宴・・・と人が群れるところには実生活においてもドラマあり、人はそれぞれ、様々な事情を抱えているのであるから。
それゆえ映画、舞台、ドラマ作りには欠かせない場所なのでしょう。
キャラクター設定、ストーリー運び、会話の多さと、こうしたドラマ作りに山田太一の脚本は冴えを見せます。
by hana2018 (2018-10-06 10:58) 

えくりぷす

「高原へいらっしゃい」こんな良ドラマがあったのですね。
Amazonビデオでも絶賛のレビューが並んでいましたが、リメイク版も含めて配信中止に。TBSがやたら宣伝しているParaviに移行しているみたいです。
by えくりぷす (2018-10-06 11:56) 

kiki

『高原へいらっしゃい』はリアルタイムで観た記憶あります。
田宮二郎さんだったのですね。
by kiki (2018-10-06 13:37) 

なかちゃん

この作品は知りませんでした。
保険を取り扱う者としてボクが自分に課しているのは『保険はサービス業』ということなんです。
そしてサービス業のなかのトップといえば、ホテルあるいは飛行機の客室乗務員さんだと思っています。
機会があれば是非見てみたいですね(^^)

by なかちゃん (2018-10-06 14:16) 

ヨッシーパパ

私が、覚えていたのは、リメイク版でしたか・・・。
by ヨッシーパパ (2018-10-06 18:32) 

レインボーゴブリンズ

こんばんは(^-^) また始めることになりました。よろしくです(^^)
田宮二郎は美男ですが、悪役が多いイメージが自分の中にはあります。
by レインボーゴブリンズ (2018-10-06 22:32) 

ナベちはる

>300万で立て直し
当時の300万と今の300万とは価値が違いそうですが、それでもなかなかでは…
by ナベちはる (2018-10-07 01:04) 

犬眉母

舞台のお芝居みたいに、田宮二郎さんの
台詞が長いんですよね。
by 犬眉母 (2018-10-08 02:24) 

ヤマカゼ

由美かおるさんというと水戸黄門しか知らないですが、違う作品にもでているんですね。今考えると豪華キャストですね。
by ヤマカゼ (2018-10-08 07:18) 

シマリス

リアルタイムで観たんですが、なにせ幼かった
ので、内容をよく覚えてなくて、、、
こちらで明日からCS放送でやると拝見して
さっそく予約しました。
どんな内容だったのか見てみます!
ありがとうございます!
by シマリス (2018-10-08 16:04) 

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