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園佳也子、個性あふれる演技で数多くの人気ドラマを支えた名脇役 [懐かし映画・ドラマ]

園佳也子、個性あふれる演技で数多くの人気ドラマを支えた名脇役

園佳也子(1929年10月7日~2010年7月27日)さんが生まれた日です。テレビの草創期から21世紀にかけて、テレビ、映画、舞台で長く活躍しました。東京生まれの大阪育ちのため、標準語も大阪弁も“ネイティブ”で、演技も安心してみていられる女優でした。(画像は断りのない限り劇中より)



Wikiを見ると、テレビドラマの出演歴は1999年まで記載されていますが、いちばん売れていたのは1970年代で、掛け持ちで週に何本もテレビドラマに出ていました。

園佳也子
Google検索画面より

キンチョーサッサのCMも懐かしい。

園佳也子
Youtubeより

代表作といっても、映画も含めてこれだけ芸歴が長いと選ぶのが難しいですが、私の好みで3作ご紹介します。

どですかでん


どですかでん』(1970年、四騎の会・東宝/東宝)は、高度経済成長から取り残された、ある退廃地区に住む人々の話です。

園佳也子は、喧嘩っ早いくまん蜂(ジェリー藤尾)の女房を演じていましたが、リアル41歳で膝上までしっかり見えるスカートでがんばっていました。

園佳也子

根岸明美、吉村実子、沖山秀子など、“男好きする肉感的なプロポーション”を標榜する人がやたら出てくるので、園佳也子も頑張ったのでしょう。

ここに暮らす人たちは、どこか変わった人ばかりです。

主人公の六ちゃん(頭師佳孝)は知的に障害があり、学校にも行かずに電車のエア運転をするのが日課ですが、地区の人たちは、六ちゃんをいじめるでもなく、かといって腫れ物に触るように特別扱いするでもなく、一人の人として普通に扱い、みんなそれなりに日々の営みを続けています。

『どですかでん』は、黒澤明の凋落の契機となった失敗作という評価もあります。

が、私はこの作品がお気に入りです。

人間なんてみんなおかしなところがあり、些末なことに悩んだり目くじら立てたりしているだけじゃないか、という悟りを、シニカルに描いている作品であるとおもったからです。

ありがとう第3部


ありがとう
TBSチャンネルより

おばけ番組といわれた『ありがとう』第3シリーズでは、周囲の人とトラブルを起こす酒屋の熊取乙美を演じました。

ありがとうの園佳也子
TBSチャンネルより

鮮魚店、青果店、精肉店、酒店、電気店などが並ぶ東京・東北沢のマーケットを舞台にしています。

主人公の水前寺清子は鮮魚店の娘。

第1、第2シリーズでは、水前寺清子が母親の山岡久乃に叱られるシーンが少なくなかったのですが、第3シリーズでは、どちらかというと母親が娘に頼るシーンもあり、さらに山岡久乃は久米明と再婚する設定のため、水前寺清子が独り立ちする展開になっています。

ありがとう
TBSチャンネルより

園佳也子は、夫(松下達夫)が蒸発されて息子(岡本信人)と酒店を営んでいますが、向かいの鮮魚店の山岡久乃と毎回のように喧嘩。それがマーケット全体の騒動に発展する狂言回しの役割です。

『ありがとう』は、回ごとの視聴率では、第2シリーズ(看護師編)の第48話(1972年12月21日放送)の56.3%が最高ですが、シリーズとしてはこの第3シリーズが私は一番いいとおもいました。

平々凡々としたホームドラマに、コミカルな波風を立たせてくれた園佳也子の存在は大きかったとおもいます。

ただ、当時園佳也子は売れっ子だったので、後半は夫が戻ってきて、息子も精肉店の次女(沢田雅美)と結婚するなどして落ち着き温和になったことにして、出番を減らしています。

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男はつらいよ 寅次郎かもめ歌


『男はつらいよ 寅次郎かもめ歌』(1980年、松竹)はシリーズ第26作目。

男はつらいよの園佳也子
プライム・ビデオより

伊藤蘭がマドンナの話です。

テキ屋仲間が亡くなったことを聞き、寅次郎が線香をあげに行ったところ、その娘(伊藤蘭)が「東京に出て中退した高校に定時制で入り直したい」というので、面倒を見る話です。

男はつらいよ
プライム・ビデオより

伊藤蘭には恋人(村田雄浩)がいたわけですが、ただそうでなくても、寅次郎とは歳が離れていますし、仲間の娘なので、“色恋の相手”という感じではありませんでした。

寅次郎も歳を取り、このあたりから、単純に「フラれる」のではなく、悩みごとがある人がそれを解決して新しい人生のステージにたつための“後方支援”をするような展開が増えていきます。

園佳也子は、伊藤蘭の母親役です。

男はつらいよの園佳也子
プライム・ビデオより

テキ屋の夫から伊藤蘭を置いて逃げ出した母親が突然現れたので、伊藤蘭はつっけんどんに応対しますが、抱擁で別れます。

男はつらいよの園佳也子
プライム・ビデオより

その他、園佳也子は『細うで繁盛記』(1970年1月8日~1971年4月1日、YTV)で、柏木由紀子とともに、新珠三千代の側に立って冨士眞奈美と対決しました。

やはり当時売れっ子だった冨士眞奈美とはその頃、『気になる嫁さん』(1971年10月6日~1972年9月27日、ユニオン映画/NTV)や『顔で笑って』(1973年10月5日~1974年3月29日、大映テレビ/TBS)など、立て続けに対立する役を演じています。

脇役陣に芸達者を揃えることで、ドラマも盛り上がります。

昭和のドラマが面白かったのは、こうした仕事のできる女優が揃っていたからだなと改めて感じました。

園佳也子さん、覚えてらっしゃいますか。

どですかでん
どですかでん

男はつらいよ 寅次郎かもめ歌 HDリマスター版(第26作)
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末尾ルコ(アルベール)

園佳也子、個性あふれる演技で数多くの人気ドラマを支えた名脇・・・『キンチョー サッサ』は子どもの頃、家で使ってました。この黄色さが印象的ですね。ももクロで黄色は、玉井詩織ですが(笑)。
園佳也子も名前を存じませんでした(とほほ)。もちろん観ている作品は少なからずあります。
『どですかでん』はいっぷく様のお気に入りの作品ですね。わたしもぜひ近いうちにあらためて鑑賞してみたいと思います。黒澤明については、本当に「凋落」と決めつけられるような時期があったのかどうか、映画関係者、映画ファンは今後も議論していくべきだと思います。わたしは、『八月の狂詩曲』はどうかと思いましたが、『デルス・ウザーラ』、『影武者』、『乱』などはとてもおもしろく鑑賞しました。小津、溝口、成瀬の評価がどんどん上がるのはいいですが、黒澤は特に日本の批評家からは不当に過小評価されることが多いと思います。
『ありがとう』は最近少しだけ、BSの放送で観ました。チータが若くって、お肌もすべすべですね。チータは最近でも歌番組でちょいちょい見かけますが、やはり歌は素晴らしいですし、キャラクターも最高です。声はやや枯れてはおりますが、天性のスター性は健在です。
『男はつらいよ 寅次郎かもめ歌』はまだ観ておりませんが、昨夜から『男はつらいよ』全話放送が始まりましたし、ぜひ鑑賞し、園佳也子についてもしっかり確認したいです。


>「それで気を失ったために試合が終わってないと勘違いする」芝居

観ちゃいました、久々に馬場VSロビンソン!大人になった今(笑)、わたしそういう小芝居大好きなのです。やってましたね~、ロビンソン!ただこれって、リングスでも見かけましたよ。コマンドサンビストのヴォルク・ハンはリアルでも極めて強いと証明されてますが、リングスでの多くの試合は「リングス・プロレス」を率先して行う器用さも持ってまして、前田との試合で最後はハイキックで倒れて敗北するのですけれど、すぐに立ち上がって手を広げ、(あれ、終わったの?)という芝居を(笑)。リングスって、そういう微妙な世界がありました。
馬場VSロビンソンなかなかに味わい深いですが、ロビンソンの贅肉もなかなかのものですね。村松友視がアマレススタイルのコスチュームを嫌ってましたが、この試合のロビンソンは贅肉隠しにしか見えません。でもこの後の全日の試合では普通のショートタイツに戻りましたよね。ロビンソンに何が起こったのでしょう(笑)。
レイスの場合、太鼓腹の期間が長かったですが、贅肉が垂れ下がってはこなかったですね。皮膚がいつも張っていましたから、(あの腹どうにかならないかな)とは思ってましたが、垂れ下がって醜いなあ・・・にはならなかったですね。そしてあの受け身。「ふわあっ」と空中に浮くのは何なのでしょうね。今の日本では内藤の受け身技術が優れていると思いますが、当然ながら技をかけられて落ちるスピードは速いです。レイス独特の受け身こそ、ノーベル物理学賞に相応しい!と思い付きを書くわたしは自分が愛おしいです(笑)。

>自分の不幸を呪い同情は乞うのですが、他の障碍者の立場や気持ちなどは知ったことではない人

確かに残念ながら、こうした人たちはおりますね。特に(どうして自分だけこんな不幸に・・・)と、「自分だけ」と思ってしまう人たちが少なくない感があります。わたしの母もちょっとそんなところがありまして、今は足腰の痛み以外は特に日常生活に支障ある症状はないのですが、歩くのは本当に辛そうで、ショッピングモールなどでは車椅子を借りております。ただ、「歩けない」というわけではなく、痛みをこらえながらも歩く場合は杖もつかずに歩けますし、立った状態で包丁仕事なども普通にできます。それでもつい、「わたしみたいに歩けん(歩けない)人は滅多におらん」とか口にしてしまうんです。どうしても客観的になれない部分はありますね。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-10-07 03:13) 

kiki

園佳也子さん、いらっしゃいましたね。
紹介されている映画やドラマは観ていないですが、
テレビドラマで名脇役だった印象があります。
by kiki (2018-10-07 08:16) 

pn

芸達者な人が少なくなった(ほぼ居ない?)から見ててつまんないだろうなぁ。それに演出とかも無駄にリアルにしつつ苦情が来ないようにするからさらにつまんないと思ってしまうのかな?
まあ要は最近の役者にお気に入りが居ないだけとも言えますが(^_^;)
by pn (2018-10-07 10:02) 

Take-Zee

こんばんは!
このお姉さん、まだお元気なのかな。
あまり好きになれなかったなあ・・・
by Take-Zee (2018-10-07 20:06) 

うつ夫

金鳥サッサは覚えています
by うつ夫 (2018-10-08 00:22) 

ナベちはる

掛け持ちされるほどの人気、いろいろなところで重宝されていた方なのですね。
by ナベちはる (2018-10-08 00:24) 

犬眉母

うわーっ。頭師佳孝さんといえば、
『赤ひげ』で長いセリフをこなした
名子役です。
by 犬眉母 (2018-10-08 02:23) 

ヤマカゼ

キンチョーサッサのCMで分かりました。
by ヤマカゼ (2018-10-08 07:22) 

Rinko

キンチョーサッサの方ですか!
懐かしいCMですね~^^
by Rinko (2018-10-09 07:47) 

そらへい

個性的でおもろいおばちゃんと言う役どころが
ぴったりの方でしたね。
by そらへい (2018-10-12 21:22) 

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