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生田悦子、野村芳太郎、瀬川昌治監督作品で輝いていた日々 [懐かし映画・ドラマ]

生田悦子、野村芳太郎、瀬川昌治監督作品で輝いていた日々

生田悦子(いくたえつこ、1947年4月8日~2018年7月15日)が急死したという夕方のニュースがキーワード急上昇です。7月15日に亡くなっていたそうです。享年71。前日まで普段と変わらない様子だったのが、15日の午前中に自宅で倒れ、病院に救急搬送されたものの虚血性心不全で亡くなったと言います。(上の画像はGoogle検索画面より、以下の画像は作中より)



メディアでは、テレビドラマ『白い巨塔』やバラエティー番組『欽ドン! 良い子悪い子普通の子』(ともにフジテレビ系)などの出演を紹介しています。

『白い巨塔』とは、1978年6月3日~1979年1月6日にフジテレビ系で放送された田宮二郎主演のドラマです。

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生田悦子は、田宮二郎が婿養子となった財前家の一人娘役です。

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余談ですが、財前教授になったときの、総回診の陣笠医師の一人は、私と同じ事務所で知っている人だったのでびっくり。

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赤丸の人ですけどね

後々まで語り継がれる作品に出られていいなあとおもいました。

まあ、私は当時高校生でしたので、その事務所にいたとしてもその仕事は回ってこなかったとおもいますが。

『白い巨塔』の私のなりの見どころは、学習院大→映画会社ニューフェース→クイズ番組の司会、というほぼ同じような経歴を持ちながら、対照的な俳優観、人生観をもつ、田宮二郎と児玉清の、脚本を超えた対決にあるとおもいます。

さて、生田悦子は、もともと松竹ニューフェースで芸能界入りした映画女優です。

その中で、私が印象に残っている3作品をご紹介します。

『白昼堂々』(1968年、松竹)


生田悦子の在りし日の活躍を確認するのは、たとえば『白昼堂々』。

白昼堂々
『白昼堂々』渥美清と藤岡琢也、スリ・コンビの友情を描く

野村芳太郎監督作品です。

結城昌治原作の実在した泥棒村の話で、ユーモアミステリーといわれる独自のジャンル。

出演者は渥美清、藤岡琢也、田中邦衛に、東宝で喜劇に多数出演してきた有島一郎やフランキー堺、さらにコント55号など、喜劇作品らしいメンバーが揃っています。

画像は『白昼堂々』DVDより。中央が渥美清。右から倍賞千恵子、藤岡琢也、生田悦子、坂上二郎、萩本欽一、有島一郎、田中邦衛、フランキー堺

生田悦子は、スリをしくじったものの、藤岡琢也に救われる役です。

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『喜劇大安旅行』(1968年、松竹)


東映で、渥美清主演の喜劇・列車シリーズ三部作を手がけた瀬川昌治監督が、配給会社を松竹、主演を国鉄マンを演じるフランキー堺に代えた喜劇・旅行シリーズ。

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映画は当時の風俗や観光も記録されており、とくにフランキー堺の父親役である伴淳三郎の機関士役は泣かされます。

急勾配を、緊張しながら煙に巻かれて必死になってハンドルを握り石炭をくべ、やがて長いトンネルを抜け、輝かしい視界が画面いっぱいに広がり、伴淳三郎が充足と安堵の表情でそれを見つめるシーンは、喜劇映画ではありますが感動せずにはおれないでしょう。

泣きと笑い、そして当時の文化、庶民の生活、観光、風俗、国鉄マンとして働くもののプライドや仕事の厳しさなどがすべて織り込まれている点で、もしかしたら日本の喜劇映画ではナンバーワンではないかとすら思える、『喜劇大安旅行』(1968年、松竹)にも、生田悦子は出演しています。

残念ながら、こちらはDVD化されておらず、私もCSやBSでの放送を心待ちにしております。

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『コント55号と水前寺清子の神様の恋人』(1968年、松竹)


『コント55号と水前寺清子の神様の恋人』は、当時、テレビで大ブレイクしていたコント55号(萩本欽一、坂上二郎)と、ドラマに出る前の歌手として絶頂にあった頃の水前寺清子を前面に押し出してストーリーが展開されています。

『コント55号と水前寺清子の神様の恋人』車寅次郎がここから誕生!?

こちらも、野村芳太郎監督作品です。

生田悦子は、校内の人気女生徒の役です。

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私は、この作品もリアルタイムで鑑賞して強く印象に残っています。

コント55号を、生まれて初めて観た映画だったからです。

「こんなに面白い人たちがいたのか」と感動しました。

関東の「お笑い」は、体張って汚い言葉を使ってとる笑いではなく、オーソドックスにボケとツッコミがいて、あとになってから、「ああ、あのときのあれはこういう理由で面白かったのか」と考えさせるものでしたが、コント55号は舞台を所狭しと走り回り、もう瞬時に火がついたように爆笑を誘い、何と言っても、一見ツッコミに見える萩本欽一が、実はボケであるという、コンビの「お笑い」の常識を打ち破りました。

ただし、映画のキャラクターは、萩本欽一が哀愁を誘う三枚目。

ハナ肇の演じる「馬鹿シリーズ」が『男はつらいよ』の車寅次郎のプロトタイプという意見もありますが、私はその立場ではなくて、むしろチャップリンを理想とする萩本欽一の方が、寅さんにつながっていったのだろうとおもっています。

こうしてみると、生田悦子は映画女優として、いい作品に出演できたのだなとおもいます。

みなさんも、機会があれば、御覧ください。

生田悦子さんの、生前のご遺徳をお偲び申し上げます。

あの頃映画 「白昼堂々」 [DVD]
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喜劇・大安旅行 [VHS]
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シネマ de 昭和 コント55号と水前寺清子の神様の恋人 [DVD]
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hana2018

映画での生田悦子の出演作品はたぶん観ていないような気がします。
テレビドラマでは数本、当時としてはシャープな顔立ちのハッキリとした美人。女優さんなので当然ながら。。
「白い巨塔」も実は未見でありまして・・・近年の唐沢敏行版のみ。
主演作「白い巨頭」を、我が身を持って自身の代表作に。昭和のテレビ界の代表作品のひとつに成した田宮二郎。
晩年までずっと知的で温厚な役柄ばかりが思い出される・・・児玉清の俳優人生、仰る通りに明らかな違いを思いました。
by hana2018 (2018-07-18 00:23) 

ナベちはる

DVD等で出ていれば買ったり借りたりすれば振り返ることは出来ますが、DVD等で出ていない作品だとなかなか振り返ることが出来ないですね…
by ナベちはる (2018-07-18 00:36) 

犬眉母

生田悦子さんの訃報は、「欽ドン!」や「白い巨塔」などが紹介されていますが、松竹の映画女優として野村芳太郎監督や瀬川昌治監督の作品に出演した実績も思い出したいですね
by 犬眉母 (2018-07-18 01:21) 

末尾ルコ(アルベール)

生田悦子、野村芳太郎、瀬川昌治監督作品で輝いていた日々・・・生田悦子の、わたしが子どもの頃のイメージは、やはり『欽ちゃん』番組です。(いい感じの女の人だな)と、特にファンになったとかいうことではないですが、いい印象を抱いておりました。

>田宮二郎と児玉清の、脚本を超えた対決

このお見立ては、いっぷく様ならではの凄さですね。一般の批評家ではとても持つことのできない深いご視点で、作品鑑賞の愉しさを大きく引き上げてくださいます。実はこの『白い巨塔』は未鑑賞でございまして、機会を見つけてぜひ鑑賞してみたいですね。
『白昼堂々』は最近WOWOWで放送されまして、幸運にも鑑賞しております。生田悦子も印象的でした。渥美清、藤岡琢也は言うまでもなく、倍賞千恵子も素晴らしかったです。ハードボイルドの似合う女優、倍賞千恵子の面目躍如です。そうですね、この作品は、米国のブラックユーモアを交えた犯罪小説を彷彿させる味わいがあって、生田悦子もしっくり溶け込んでおりました。
いつもこうしていっぷく様の素晴らしいレヴューを拝読させていただくと、反対にまったくお粗末なメディア報道に対する怒りが湧いてきます。特に近年は馬鹿の一つ覚えで、「~でブレーク」とかの思考停止記事ばかりで俳優たちも浮かばれません。「その俳優にとって、本当に重要な作品」であるとか、映画史的・テレビドラマ史的にどのような位置づけなのかとか、追悼記事などではまず見当たらないですね。さすがに一流の批評家などが書いたコラムなどにはそうした内容もありますけれど。メディアの中にしっかり映画などを観ている記者がどんどん少なくなっている印象が強いです。
『喜劇大安旅行』は未見でして、これまた素晴らしい作品のようですね。伴淳三郎という俳優も、名前は子どもの頃から知っておりますが、あまり出演作を観たことがないのです。今後いろいろ観る機会に恵まれたいものです。

『コント55号と水前寺清子の神様の恋人』・・・野村芳太郎がこのような映画を撮っていたのですね!これもおもしろそうですね~。最近歌番組で水前寺清子を観ましたが、声は以前ほどは出なくなっております。しかしやはり素晴らしい、唯一無二のスターであることに変わりはないと再確認いたしました。見る人たちを一足飛びで幸福な気持ちにするオーラがありますね。ちょっとしたことでも笑いを誘えますし、持ち歌もとてもいいものが多いです。

>むしろチャップリンを理想とする萩本欽一の方が、寅さんにつながっていったのだろうとおもっています。

なるほどです!この作品も未見なので私は言及できませんが、萩本欽一はこうした若い頃の感覚を忘れずに年齢を重ねてほしかった気がします。テレビでも徐々に「泣かせ」に入っていった欽ちゃんはおそらくチャップリンの哀愁の部分を意識していたのだと思うのですが、チャップリンの人間観察は悲痛にして残酷と言うべきレベルに達しており、晩年の欽ちゃんの「ほのぼのペーソス」は観ていてキツイものがありました。
ただ、若い頃の欽ちゃんは、大橋巨泉が「自分の知っている中での最高の天才」と評しておりましたし、その才気溢れる時代の映画やテレビはまた観てみたいです。

棚橋の映画はわたしも、(WOWOWで放送したら観るかな~)くらいのところで、あのゆるゆるあからさまな設定を素直に愉しめるほど純情な人間ではない自分が嫌いではありません(笑)。
お話突然変わりますが、昨日の朝食に丸美屋の『野菜あんかけ』をいただきました。(朝からあんかけ、どうなんだ?)と自問自答(笑)しなくはなかったのですが、量が多くなく、レトルトなのであんもボリューム控え目で、美味しくいただけました。丸美屋の「ごはん付きシリーズ」は他にもいろいろ出ていますが、とても重宝するので、ぜひもっと出してほしいところです。
そう言えば、高知では現在『孤独のグルメ』第7シーズンを放送しておりますが、わたし、今シーズンから初めて観ておるのですが、このように気ままに食べ物屋さんへ入って、予算を気にせずに(笑)食べるような生活もしてみたいなあと、夜空を仰ぎました。RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-07-18 01:39) 

ヤマカゼ

白い巨塔、見てました。残念ですね。
by ヤマカゼ (2018-07-18 06:37) 

kou

最近、昭和のスター多くが亡くなってるのが悲しいですね。
by kou (2018-07-18 07:24) 

Rinko

生田悦子さん、私は最近拝見していなかったのですが白髪でとても素敵な歳の取り方をなさっているように見受けられました。残念ですね。
ご冥福をお祈りいたします。
by Rinko (2018-07-18 08:10) 

pn

白髪が出始めた頃染めなかったって話を読んでなんか感動した。
知らないうちに皆さんお亡くなりになっていくのが何か寂しくて。
by pn (2018-07-18 08:49) 

えくりぷす

生田さん、あまりに急な話でビックリです。本当に突然死だったのですね。「白い巨塔」は、唐沢版の再放送にハマりまして、そしたら田宮版が良かったという意見も多かったので、近所のGEOで全巻借りて観ました。
いっぷくさんの知ったいる方も出演されているとは、またビックリです。
by えくりぷす (2018-07-18 10:49) 

なかちゃん

生田悦子さんって、欽ドンのしか知らないんです。
女優さんだったってことも知らなくて、とても申し訳ないです(^^;

by なかちゃん (2018-07-18 11:42) 

JUNKO

まだお若いのに残念です。個性的な女優さんでもありましたね。
by JUNKO (2018-07-18 11:55) 

テリー

白い巨塔、見ました。生田悦子、良く覚えています。
まだ若いのに、残念ですね。
by テリー (2018-07-18 14:07) 

ヨッシーパパ

子どもの頃、ちょっぴり好きだったかな。
by ヨッシーパパ (2018-07-18 18:40) 

チャー

生田悦子さん 欽ちゃんとコントをやられていましたよね?
by チャー (2018-07-18 18:41) 

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