遷延性意識障害を植物状態と表現することがあります。その表現が妥当なのか疑問ですが、要するに人としての振る舞いができないということを指すらしい。しかし、それは絶対に回復しないということではないし、回復例で採用されたいくつものトレーニングや治療も報告されています。いったんはそう診断された私の長男が行ったトレーニングもこれから不定期ですがご紹介したいと思います。
今日のトレンド急上昇キーワード(Yahoo!急上昇ワードデイリー)。
第5位に突如、知らない名前が出てきたので、最近地上波テレビをあまり見ない私は、またポット出のバラエティータレントが話題になっているのかと思ったら、何と放火で逮捕された人の名前でした(汗)
鹿児島のアパートで、火が出ていたのに「コタツに座ってしばらくボーッと火を眺めて」消火や通報をせず放置したことが放火の疑いとか。
このニュースで、まず最初に思ったこと。
くそぉ、こうやって私の名前も、3年前の我が家の火災で「トレンドキーワード」になり、覆面の落書きでしか虚勢を張れないつまらない連中の餌食になっていたのか。
我が家の火災について、2chには書きたい放題のスレッドが複数たったのですが、私が火の出ている所に飛び込んで消火活動をしなかったのは怪しいという大合唱になりました。
それを見たからかどうか知りませんが、放火事件を期待したマスコミが、何社も私の実家のまわりに張り込み、長男の小学校の児童の登下校時を狙って長男の顔写真を強請りました。
そのため、しばらく集団登下校が続いたらしい。
マスコミというのはそこまでやるんです。
とにかく人が一番困っている時に人権侵害状態でしたね。
近所にも似たようなことを噂した人間がいたので、警視庁に連絡して
告訴を前提に調べていただいたというのは以前も書きました。
どうせまた、今回の鹿児島の事件も、わずか数行の報道をもとに、ネットのおバカさんたちは、さかしらな誹謗中傷をしていい気になっているのだと思います。
放火は悪いけど、だからって、事情も知らない者が好き勝手書いてもいいわけではないでしょう。
いくら、1月17日や3月11日に、その日だけしめやかにしたってダメですよ。
わが日本人大衆のインケンな本性を私は知ってしまったのです。
そうした経験をしてわかったことですが、そのての報道は近所の興奮した連中などからの聞き書きですから、正確かどうかも怪しいのです。
3年前の私についての記事も、肩書からその時の状態から全部間違っていました。
ですから、ネットのおバカさんたちに言いたいのは、そんなに語りたいのなら、まず自分が現場に足を運んで聞き込みでもしてからにしていただきたいということ。
書いていいことと悪いことの区別がつかないというのは、人として悲しいです。
ヘイトスピーチっていうのも、そのような低級な了見の延長にあるんだろうと私は思っています。
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ガムを噛ませるトレーニング
さて、書いているうちに腹が立って長くなりすぎた前置きはそのままイキで、タイトルの話に入ります。
昨日は、火災による遷延性意識障害だった長男が、脳神経内科の経過観察だったので病院に付き添ったのですが、
帰りはお食事をする場所が決まっています。
で、この光景は、麺(2倍増量)をすするありふれた光景ですが、
右手は普通に箸を持っています。
「ものを食べるんだから箸は当たり前だろう」と思いますか。
いえいえ、それは普通の人の感覚。
いったんは植物状態の診断を受けた人間が、自分で箸を持って介助もなく食事をするというのは、そう頻繁に見られる例ではありません。
いや、箸以前に、食べること以前に、長い昏睡にあったり、そこから覚醒しても自力で動けなかったりする人は、嚥下がうまくできません。
そもそも唾液を飲み込む行為ができないのです。
想像できますか。その状態。
遷延性意識障害が何たるかがわからないと理解されにくいのですが、かぜや骨折などと違い、急性期を過ぎたら、ハイッ原状回復、というものではないのです。
舌や口内の筋肉を動かして、唾液を運んで喉と連携するのは複合的な動作になるので、脳に障がいを受けるとその命令系統が機能しなくなってしまうのでしょう。
私は妻子が全員JCS3桁からのスタートでしたから、ちょっとこの段階が大変でした。
とくに自力の回復に時間がかかったのが長男で、最初の退院をした時、私が行ったトレーニングは、ガムを噛ませることでした。
といっても、そのままガムを放り込むのはもちろんできません。
そんな塊を誤嚥したら大変です。
そこで、ガムをガーゼでくるみ、長男に噛ませて、一定回数噛んだら引き上げることにしました。
最近のガムは、歯を磨く効能があるし、噛むことで咀嚼の能力もよみがえるので、これは効果があったと思います。
ガムを噛むことは脳に刺激を与える、なんて話もどこかで聞いたので、まあなんでもやってみようという思いでしたけどね。
当時の写真がないので、そのトレーニングの原案者である
福寿草さんの『
ガムを使った咀嚼・嚥下訓練/遷延性意識障害の妻を支えて』というブログから、その部分の画像を拝借させていただきます。
脳障害の状態はいろいろあって、たとえば昏睡状態ではできませんが、覚醒はしたものの何から手を付けていいかわからない、という場合は(医師とご相談の上)このトレーニングをおすすめします。
やはり自力でご飯を食べられるようになることが、その後の発語その他の回復につながっていく道筋を切り開けるかもしれないからです。
今は自分で噛んでいますが、私は今も長男にガムを1回20分以上噛ませるようにしています。
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