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付属高校“不人気”の記事から自分の経験とメリットを考える [生活]

付属高校はなんのために入るのか。2日前になりますが、『日刊ゲンダイ』(10月29日付)に、「付属校人気ガタ落ち」というタイトルの記事があり、興味深く読みました。併設の大学に進みやすいメリットがあるはずの付属校が、なぜ「人気ガタ落ち」なのか。付属高校出身の私は、自分のことを思い出しながら記事を読みました。

記事は、「シーズン到来激変中学受験」という新連載の第1回。記事は中学受験が対象でした。

日刊ゲンダイ「シーズン到来激変中学受験」

記事の内容をかいつまんで書きますと、

・過去5年で付属校の志願者が減っている。
・少子化で大学進学者が激減すると予想されている「2018年問題」を控えた今、受験者側もわざわざ付属校に入らなくても大学で受験すればいいと考えられているのではないか
・付属校自体、外部大学受験を認め内部進学率が低く付属校の体をなしていない学校もある

ということです。

私は中学受験も付属高校も経験者ですが、この記事、つまり付属校の「志願者減」と「内部進学率の低下」に関しては、3つの理由があるのではないかと思いました。

1.少子化という大前提があって、
2.日比谷高校や小石川高校など都立高校はかつての名門が復活し、
3.公立の中高一貫校や小中一貫校ができたことでそちらを狙う子どもも増えてきた

その結果、お金のかかる私立の付属校の志願者が減り、付属校側も外部大学受験に寛容になるなどの対策が必要になった。

また、志願者減で入学する生徒の水準も落ちている可能性があり、その意味でも内部進学率が低下している

……ということで説明がつくのではないかと思います。

要するに、お金のかからない公立さえしっかりした教育体制なら、そちらに流れると。

もともと付属校は、大学までエスカレーターだからということで人気が高かったのですが、

右肩上がりの時代でもなく、モーレツも流行らない現在、お金と猛勉強という“コスト”をかけてまで学校に賭けない人も出てきているのかもしれません。

受験勉強という「助走」でぼろぼろになるより、入学してから頑張ったほうがいいやと。賢明だと思います。

それに、内部進学率が下がっているのは、東京6大学でもMARCHの一部や東都大学、首都大学、女子大、その他の付属であり、早稲田や慶應義塾普通部・中等部などは、志願者自体は減っていても、むしろ内部進学率は上がっています。

ですから、この記事は、難易度がトップクラスとはいえない大学やその付属校に対する警鐘であって、この記事をもって、いわゆる名門大学のハードルが下がった、と見るのは早計だと思います。

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上があるから逆に窮屈ということもある


私自身は、どうみても裕福な家庭ではなかったのですが、メシを抜いても学費は出すという学歴が生きがいの家庭で育てられ、中学受験をしたものの失敗。

がっかり

それで怖気づいたわけではないのですが、縁あって高校は付属校に入りました。もちろん理由は大学があるからです。

しかし、何となく合わない学校で成績も芳しくなく、内部進学はできたものの希望する学部でもなし。

いったん社会に出てから往生際悪くまた別の大学・学部に学士入学しましたが、胸の病気で挫折。

30歳で今度は大学院を受けましたが不合格。

同級生はキャリアを積み結婚もしている時に、自分は三十路に入って何をやっているんだろうと思いましたが、そんなトンデモ人生になってしまった原因の一つは、やはり安易に付属校を選んだところにあると思います。

その結果、高校もつまらない、大学もつまらないで、社会に出てから後悔して迷走したわけです。

まず、付属校の場合、「大学」には入れても、入りたい「学部」に入れるかどうかはわかりません。

いきたい学部が人気学部なら、枠を巡ってそこで競争があります。

それに内部進学は、人数の枠だけでなく一定の成績も必要です。

「一定の成績」には、少なくとも学校の成績が入ります。

成績ということはどういうことか。

一般の受験なら、試験科目だけがんばればいいのです。

ところが、付属校から内部進学する場合、美術や音楽や体育まで全部頑張らなければならないということです。

これは結構しんどいですよ。

3科目なら何とかなっても、9科目も10科目もあれば苦手科目も出てくるでしょうし、中には担当の先生との相性が悪い場合だってあります。

センシティブな私は全科目いつも気が抜けず、成績のことばかり気にして、つまらない高校生活でした。

ではそこを頑張って内部進学できればいいかというと、そうとも限りません。

付属校に入ってから、ヨソの大学に入りたくなったり、その学校の文化と合わなかったりすることもあるのです。

人間、時間がたてば考え方も変わることがあります、何しろまだ未成年ですからね。入ってから「こんなはずではなかった」ということだってあるのです。

でも途中で退学したら、大学どころではなくなるし、そうなると卒業証書もらうまでは忍耐の高校生活になってしまいます。

併設の大学が、たとえば小学校教員養成系学部があるとか、明確な進路があって、そのためにどうしてもその大学(学部)でなければならない、という場合なら目的もあるでしょうが、そうでない場合、むしろ併設大学進学を前提とする学校生活がデメリットになりかねません。

嫌なら外部受験と思っても、付属校のやってる勉強なんて、難易度の高い進学校にはとてもかなわないからです。

私は高校時代、他は悪くても数学の定期テストだけはいつも満点かそれに近い点だったのですが、予備校で模擬試験を受けたら0点だったことがありました。

0点ですよ。模擬テストでもさすがに屈辱でした。

がっかり

何より、同じ校歌を7年も10年も歌う学校生活なんてつまらないですよ。

いろいろな学校の文化を経験したほうがいいと私は思います。

逆に付属校のメリットというと、たとえばスポーツとか、趣味など、青春を賭けるこだわりの対象をすでに持っている人なら、受験勉強の時間を省いて進学できる道として、一考の価値はあると思います。

もっとも、私自身は授業が終わると帰宅部で、3時からの再放送ドラマ『細腕繁盛記』を観るのが楽しみだったので、それにも該当しない無気力野郎でしたが。

私は、今の受験生たちの親プラスアルファの年代なので、現在は細かい事情は変わっているかもしれませんが、付属校のあり方は本質的には今もそんな感じではないかと思います。

いずれにしても、付属に入れば、“最低”でも内部進学の「保険」がある、なんて曖昧に都合よく考えていると、後で後悔することになるかもしれません。

大学なんて落ちたって入らなくたって命を取られるわけじゃなし。わかりもしない先のことばかり計算してないで、今入りたい中学や高校を選ぶことがいちばんです。

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