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山原健二郎さん、元“人間党”代議士を思い出す [政治]

山原健二郎さん(1920年8月11日~2004年3月8日)という、衆議院議員を10期つとめた方が生まれたのが1920年の8月11日。所属は日本共産党でしたが、党派を超えた人望で多くの人に愛された、もはやこんにちでは見つけるのが困難な元“人間党”代議士です。

政治家というと、バッジを付けて威張っていますが、本来はもっと泥臭い仕事のはずですよね

新聞報道で読んだだけでウラをとったわけではありませんが、山原健二郎さんは、高知で慶弔事があると、その都度手紙を書いて当事者を祝ったり励ましたりしたといいます。

気迫に満ちた山原健二郎さんの国会答弁は今もYOUTUBEに残っています。

山原健二郎さんコメ自由化で追及


今、外食産業や、スーパーで売っている煎餅などにアメリカや中国産の米が入っていることで、ネット掲示板では、不安や不満が書き込まれています。

それはよくわかるのですが、だったら20年前の「コメ自由化」の時に反対しなきゃだめだろうって私は思います。

それはともかく、日本共産党は、我が国にありがちな、議員が集まって結党する、いわゆる議員党(別名選挙互助会)ではなく、きちんとした党組織があり、そこから議員を議会に送り出しているシステムのため、国会議員のバッジをつけたから党幹部になれる、というわけではありません。

これまでも、個人人気もある選挙に強い国会議員なのに、党内では中央委員ですらない場合もありました。

山原健二郎さんも、同党の幹部会委員になったのは、議員生活の最晩年だった97年。

ただ、そういう人はえてして、党派を超えた大衆人気がありました。

山原健二郎さんはその典型ではなかったかと思います。

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「山原健二郎さんは人間党だから当選できた」


私は3年前、小沢一郎さんの懐刀といわれた平野貞夫さんの書籍を企画編集したことがあります。

平野貞夫さんは元衆議院の職員で、参議院議員(高知県)も2期つとめた元自由党国対副委員長。

同郷で“同業”だった山原健二郎さんの話を伺ったとき、平野貞夫さんはこんな話をされていました。

「日本共産党の党員と支持者を合わせて3万票。それが高知における日本共産党の基礎票だったんです。しかし、当時の高知全県区は6万票が当選ラインで、本当なら日本共産党の候補者は当選には届かなかった。にもかかわらず山原さんは9期当選し続けた。それは、山原さんの個人票が3~4万票あったからです。山原さんには、党派を超えた人間党としての堅い支持があったのです」

人間党。個々の政策について意見の違いは党派でいろいろあるでしょうが、人間としての普遍的な資質や能力、人格などが幅広く支持されている人材、ということだろうと思います。

政治家は、何党から選出されようが、その人自身はまず人間党でなければならないと私も思います。

中選挙区制最後の93年。新生党、さきがけ、日本新党などの新党ブームが吹き荒れながら、山原健二郎さんは自民党の候補者(中谷元氏)に次いで第2位の63173票を獲得しています。

ただ、最大のハイライトは、やはりその次の1996年10月、初めての小選挙区制で行った選挙でしょう。

選挙前のマスコミ予想では、京都か大阪の小選挙区で日本共産党の当選者が出る“かもしれない”といわれていましたが、開票日の深夜、当確が出たのは高知1区でした。

「この“田舎”でですよ、共産党の候補者が当選したんですよ」と興奮していた山原健二郎さんのインタビューが今も思い出されます。

ちなみに、この時は京都3区も寺前巌氏が当選。

寺前巌氏は国対委員長時代、小沢一郎嫌いの各会派が小沢一郎氏の悪口を言っている時、「彼もいいところあるんだからあんまり責めるな」と制したというエピソードがあります。

寺前巌氏が小沢一郎氏と当選が同期だからというだけでなく、搦め手で足を引っ張るような陰険なやり方はやめて、正々堂々と政策論争で決着をつけよう、ということだったんだと私は解釈しています。

その意味で、寺前巌氏も人間党だったのではないでしょうか。

現在、国会議員の顔ぶれを見るていると、どの党にも欠けていると思われるのが、この人間党的議員の存在です。

「風」と「政党の力」で当選が決まってしまう、小選挙区制になってしまったことが原因として大きいのではないかと思います。

たとえ小さい政党でも無所属でも、この人にはバッジを付けて欲しい、という有権者の思いが死票になってしまう今のシステムは、やはり国民の多様な意思を反映した選挙制度とは思えません。

選挙になると、誰に入れていいかわからない、となげく「政治不信」のみなさん。政策で判断できないといって簡単に棄権せず、人間党の候補者がいないかどうか探してみましょう。

一揆の系譜(つてん)

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  • 作者: 山原 健二郎
  • 出版社/メーカー: 四国写植出版制作室
  • 発売日: 1991/07
  • メディア: 単行本


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