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放射性石炭(黄砂)のリスクと“反原発”の意味を考える [政治]

放射性石炭(黄砂)。内モンゴルなど北方地域の火力発電所周辺で異常に高い放射線が検出されたウラン混合石炭のことです。これが大気に乗って中国を汚染している。ほんとうに怖いのはPM2.5ではなく石炭の黄砂だった、という記事が『週刊大衆』(4月21日号)に出ています。黄砂の日本上陸のリスクはわかりませんが、もし何らかの影響があるとしたら、福島原発事故でわざわざ関東から関西に逃げた人たちは何だったのでしょうか。

このブログは、マスコミが騒いできたPM2.5に対して懐疑的です。

PM2.5自体が全く無問題といっているわけではありませんが、マスコミの報じ方が科学的ではなく、一方で政治的なうさんくささがあることを疑問視してきました。

まず、PM2.5について、マスコミが騒ぎ始めた頃、「今なぜ騒ぐ?」という懐疑の目が必要だということを、このブログの「PM2.5問題、緊急性とリスクは?」で書きました。

マスコミは定期的にPM2.5について報じますが、昨年は「遂に関東上陸」という報道があったことも。九州で止まらなかったという意味でマスコミが世間を驚かせているわけですが、そもそも「上陸」なんかしなくても、国産のPM2.5が神奈川・川崎などでは基準値超えすることが今までもあった。たんなる「大気汚染」だと黙ってたくせに、中国産だと急に騒ぎ出すのはおかしいんじゃないの、と「PM2.5関東「上陸」のウソ・ホント」で書きました。

さらに、PM2.5の危険性についても、「長期的には体から排除されることが分かっているので、PM2.5でがんになる心配はない」「同じサイズでありながら慢性炎症からがん化まで引き起こしてしまうアスベスト(石綿…日常で吸い込むことはありません)と比べると、全く悪質度が違」うという吉田眞医師の連載を引用した「PM2.5で肺がんになるか?」も書きました。

こうした反論で、センセーショナリズムが色あせてしまったと思ったか、最近はマスコミもPM2.5ではなく、別のものを話題にしています

たとえば、『週刊大衆』に出ている、「中国殺人大気の正体は『年間1.8億トン放射性石炭』だった!」という記事がそうです。

週刊大衆・放射石炭.png

これは、同誌のweb版である『日刊大衆』にそのまま出ているので、詳しくはそちらでご確認ください。

>>中国殺人大気の正体は『年間1・8億トン放射性石炭』だった!

数年前に内モンゴルなど北方地域で、火力発電所の周辺で異常に高い放射線が検出された「ウラン混合石炭」が、黄砂として大気中にばらまかれている、そちらの方がPM2.5よりも怖いという話です。

まあ、具体的な疫学調査など裏付けのデータもありませんし、記事の中では、食品添加物だろうが電磁波だろうが何でも危ないと煽る人がコメントしているところから見ても、いちいち額面通り受け入れる必要はないことかもしれません。

ただ、中国が大気汚染で苦しんでいるのは事実ですし、そういう話もあるのか、ということは知っておいてもいいと思います。

逃げ出して合理的な取り組みができるのか


黄砂の汚染といえば、これまでは核実験が犯人扱いされてきました。

が、同誌によると、核実験は地下に移っているから地表の汚染は限定的。
「しかしながら、黄砂に放射性物質が付着しているのは、工業地帯や都市部を通過する際に、燃焼した石炭の粉塵をまとうから。やはり、石炭自体が放射能汚染されているのではないでしょうか」(中国事情に詳しい評論家の宮崎正弘氏)
と、黄砂の危険度について新しい見方をしているのは興味深い。

地下実験による汚染の実態はわかりませんが、とにかくそれ以外の原因がある、という話です。

これはどういうことを意味するかというと、

黄砂を軽視できない
PM2.5と同じで、中国のせいばかりにはできず、自国の責任による汚染が思わぬところにあるかもしれない
放射能汚染は原発だけではないから、原発から逃げれば安全というわけではない

といったことを読み取れるのではないでしょうか。

名前は出しませんが、「反原発」を掲げている人の中には、福島原発事故後、自分は東京から「安全」な関西にササッと逃げ出して批判をしている人がいます。

私は、そういう人の「反原発」は一切信用しません。

そういう人の主張する「反原発」の根拠はたいていトンデモだからです。

福島のように緊急避難が必要な場所ならともかく、放射性物質の可能性やリスクを客観的に考えたら、東京より関西が有意に安全であるとはいえないでしょう。

反原発というのが、科学も無視した政治的運動のシンボルのようになっているんですが、それって、クジラやイルカの禁漁と同じレベルのトンデモだと私は思います。

科学は人間の判断を全面的に支配することはできませんが、科学を無視した判断などはしょせん非合理です。

反原発がトンデモというのではありません。

一部の人たちの、反原発の利用の仕方がトンデモだというのです。

なぜ反原発なのか。少なくとも科学的には放射性物質のリスクと向き合うということから始まると思います。

それは、「原発のないところ、事故から離れたところに逃げる」ではなくて、「何がどれくらいのリスクがあるのか」ということを合理的に見極めて最善の判断をすることだと思います。

それを行ってこその「反原発」でないと合理的とはいえません。

それをしないで、もっぱら自分の政治的主張、というより自己顕示欲を満たすためだけに「反原発」を利用するようなことはやめてほしいなと思います。

週刊大衆 2014年 4/21号 [雑誌]

週刊大衆 2014年 4/21号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2014/04/07
  • メディア: 雑誌


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