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『時代劇はやっぱり面白い』あなたのおすすめドラマは? [芸能]

『時代劇はやっぱり面白い』(斉藤政秋著、ごま書房新社)という書籍を読みました。著者はカメラマン。「写真家が書いた時代小説・ドラマ案内書」というサブタイトルがついています。時代劇枠が、大河ドラマをのぞくと地上波キー局から消えてしまいましたが、『時代劇専門チャンネル』は約745万世帯(2010年現在)が視聴。そんな時代劇ファンのために、時代劇や時代小説に関連したエピソードや名所旧跡案内などが書かれています。

『時代劇はやっぱり面白い』では、時代劇が活発に作られていた時期を「第一次ブーム」とし、現在は書き下ろしの時代小説が注目されている「第二次ブーム」といいます。



同書は、第1章で、カメラマンの著者が、撮影で時代小説の作家と現地に赴いた時の話が書かれています。

第2章では、江戸時代の庶民生活をいくつかのキーワードをタイトルにして振り返っています。

かどわかし・人さらい、べか車・大八車、草履を履く、旅人の身支度、お江戸日本橋……、といったキーワードが並んでいます。

たとえば、「江戸時代のファストフード」という題では、屋台のお店について書かれています。江戸時代の屋台では、「酒樽や板を渡した不安定な椅子などによる飲食」が一般的だったとか。
子供の頃古老から聞いた話では、明治、大正、昭和の初めまで、盛り場や庶民が集まる縁日には簡単な食べ物を商う店は屋台が主流であり、トップの麺類以外にも団子、餅菓子、稲荷すし、うなぎ蒲焼、夫婦薙、五平餅、さらに握り寿司までが安直に食べられたと云う。
その後、衛生維持が尊重され、大正末期には店舗への移行が進んだといいます。縁日の露店は今もありますね。

「弁当は握り飯」というタイトルでは、すでにこの当時から、濡らした両手で米飯を握ったものを竹の皮や笹の葉などに包んで外出用の食料としていたことを紹介。現代に引き継がれ、日本以外にもライスボールとしてポピラリティを得ていることを称えています。

おにぎり.jpg


第3章は「江戸時代の仕組み」。社会のルールや物流、経済などにスポットを当てています。

商家の奉公・番頭~丁稚、商人の屋号、江戸の飾り細工職人、船宿と出会い茶屋、駆け込み寺と投込寺、両替商、他流試合の道場破り、豪華な大名行列……

「江戸の銭湯は混浴風呂」というタイトルは、1791年の混浴禁止令までは男女が同じ浴槽に入っていたので、今のストーカーのような行為が日常的に行われていたことを紹介しています。

第4章は現存する名所旧跡案内。江戸城を中心にそこから各小見出しごとに東西南北4つの方向を辿って順に名所旧跡を紹介しています。

このブログでは、旧東海道の美原通りを記事にしたことがありましたが、もちろんここも出ています。

美原通り

印象深い時代劇5作


ということで、私の思い出に残る時代劇ベスト5、と序列をつけるのはむずかしいので特に印象深かった5作です。

長崎犯科帳(1975年4月6日~9月28日、ユニオン映画、日本テレビ)


実相寺昭雄のオープニング演出。様式美の長崎弁。勧善懲悪。主演は娯楽時代劇の第一人者・萬屋錦之介。これを名作と言わずに何と言ったらいいのでしょう。

長崎犯科帳.jpg
オープニング映像より

ぶらり信兵衛 道場破り(1973年10月4日~1974年9月26日、東映、フジ)


山本周五郎原作に倉本聰脚本(1、2話)。主演の高橋英樹が企画から入った作品。当時高橋英樹は大河ドラマと掛け持ちで頑張り、半年の予定が1年間放送。舞台化もされました。もっとも高橋英樹によると「やるのが3年早かった」という時代劇としては一風変わったストーリーでした。

伝七捕物帳(1973年10月2日~1977年10月11日、ユニオン映画、日本テレビ)


中村梅之助版です。遠山の金さんでブレイクした梅之助が、今度は奉行から預かった十手で活躍する岡っ引きに。事件が解決すると「ヨヨヨイ」と指の拍子木、梅之助の「めでてえな」という一声に周囲が「へい」と合意して橋幸夫の歌という流れは圧巻です。

伝七捕物帳
DVDより

新・必殺仕事人(1981年5月8日~1982年6月25日、松竹、ABC)


何本も作られた必殺シリーズの第17作目、必殺仕事人シリーズの第2作目、中村主水シリーズの第8作目にあたります。藤田まこと、山田五十鈴、三田村邦彦、中条きよし、鮎川いずみの5人がレギュラーの時です。

素浪人 花山大吉(1969年1月4日~1970年12月26日、東映、NET)


近衛十四郎と品川隆二が演じる二人旅ドラマ。品川隆二の存在は大きかったと思います。近衛十四郎のボケ方を見ていると、なるほど松方弘樹はなんだかんだ言って父親から受け継いでいることも少なくないなと思いました。

素浪人 花山大吉
映像より

次点・水戸黄門


年寄りでしょうか。でも、勧善懲悪で一話完結。エンディングは破顔一笑に青空というのはドラマとしては誰でも安心して見ることができる優良な作品だと思います。

こうしてみると、

・主人公が完全無欠でないこと
・娯楽時代劇であること
・ああ、面白かったと気持よく終われるクライマックスからエンディングまでのパターンをもっていること


などが私が選んだポイントになっていますね。時代考証はあまりうるさくありませんが、あまり世相に迎合したような作り方は興ざめすることがあります。

みなさんは、時代劇というとどんな番組を思い浮かべますか。

時代劇はやっぱり面白い―写真家が書いた時代小説・ドラマ案内書

時代劇はやっぱり面白い―写真家が書いた時代小説・ドラマ案内書

  • 作者: 斉藤 政秋
  • 出版社/メーカー: ごま書房新社
  • 発売日: 2014/02
  • メディア: 単行本


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