『人造人間キカイダー』というかつての人気特撮ドラマ。41年ぶりに、劇場版作品『キカイダー REBOOT』で公開されることが発表されたのは1月30日に行われた東映ラインナップ発表会でした。公開が近くなり、今週の『週刊大衆』(3月31日号)では、主演の伴大介、うえだ峻のインタビューや当時の写真などで特集記事を構成しています。
石ノ森章太郎原作の『人造人間キカイダー』が放送されたのは1972年。主人公は、不完全な良心回路を持ったために正義と悪のハザマで苦悩する人造人間(人型ロボット)ジローという設定です。「苦悩するヒーロー」は勧善懲悪の『仮面ライダー』とは一線を画した深いストーリーでした。
1月30日の制作記者会見で、東映の白倉伸一郎プロデューサーは、今回「脚本を書き上げるのに2年かかった」と明かしています。
『週刊大衆』(3月31日号)では、当時の画像や、キカイダー役だった伴大介、相棒役のうえだ峻が当時の裏話を交えたインタビュー、DVDやブルーレイ、5月24日からの全国ロードショーの告知などが掲載されています。
前評判を覆した作品の活力も蘇るか
この番組は、1972年7月8日~1973年5月5日の全43回。20時からNET(現テレビ朝日)で30分放送されました。
当時も今も、20時といえばゴールデンタイムのまっただ中です。
普通はドラマやバラエティーなどの1時間番組で勝負するものですが、この時のNET(現テレビ朝日)は、20時から30分枠でこの『人造人間キカイダー』を、20時30分からはアニメ番組の『デビルマン』を放送しました。
19時台ならともかく、ゴールデンのまっただ中に変身枠、しかも後ろ半分はアニメ番組というのは、明らかに子供にターゲットを絞った番組づくりでした。
しかし、当時は、TBSで『8時だョ!全員集合』という、子供に絶対的な人気のある番組がありましたから、むしろ大人向けの番組にすべき、というのが常識的な見方でしょう。現にこの枠は、人気時代劇『素浪人花山大吉』、後の『暴れん坊将軍』と、ずっと大人の番組の放送枠です。
当初はその見方があたっていたのか、視聴率は振るわなかった(Wikiによると初回は9%)ようですが、単なる勧善懲悪でないストーリーが大人にもウケたのか、回を追うごとに数字も上がり、1クール(3ヶ月)すぎる頃には16%を達成。
「悪役のハカイダーが登場する第37話辺りからは、ストーリーに畳み掛けるような流れが出てきて面白く、それは撮影当時も感じていました」(同誌で伴大介)といいます。
前評判を覆して、しりあがりに良くなっていくっていう話は、作品の活力が伺えますね。
このへんの詳しい話は、同誌でご確認ください。
当時は、裏番組に『8時だョ!全員集合』とともに、ジャイアント馬場が独立した新団体の『全日本プロレス中継』もあったので、私も悩ましいところでした。当時は、プロレスというコンテンツがまだゴールデンタイムで通用するものだったのです。
が、『8時だョ!全員集合』は、好視聴率の割には一定のアンチもできやすい笑いで、全日本プロレスも、日本プロレス時代のスターの名前はなく、知名度の低い中堅選手や他団体を引退していた選手などで興行していた“創世記”だったため、そこに不満を持った視聴者がチャンネルをあわせているうちに毎週見るようになった、という展開だったのではないかと思います。
相手が強敵だからといってはじめから諦めず、スキを突いて勝機をつかむ、というのは教訓的です。
今回のリメイクも、41年ぶりの実写化について厳しい声もありますが……
>>「人造人間キカイダー」が41年ぶり復活。5月劇場公開へ
それを覆せるかどうか、公開が楽しみです。
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