カイチュウ先生こと藤田紘一郎・東京医科歯科大学名誉教授が「プロポリスの効能」を書き、薬事法違反(無許可医薬品販売)の幇助の疑いで書類送検と報じられました。巷間では、STAP細胞論文問題でリケジョの星こと小保方晴子氏が騒動の渦中にあります。2人に共通するのは「欲得」や「思い込み」。それをかばう人々にも同じことが言えるのではないでしょうか。
「プロポリスで副作用なくがん細胞が自滅」。カイチュウ先生こと藤田紘一郎・東京医科歯科大学名誉教授が逮捕された原稿の問題フレーズです。
いまどき誰も書かないベタなコピーです。史輝出版など、健康食品の業者やバイブル本出版社が何件も逮捕されているのに……。
「プロポリス、がんに効く」 藤田名誉教授を書類送検
朝日新聞デジタル 3月10日(月)14時4分配信
薬効をうたって健康食品「プロポリス」の販売を手助けしたとして、神奈川県警は10日、東京医科歯科大学の藤田紘一郎・名誉教授(74)=東京都杉並区=を薬事法違反(無許可医薬品販売)の幇助(ほうじょ)の疑いで書類送検し、発表した。
県警によると、藤田名誉教授は2009年6月~13年10月、「副作用なくがん細胞が自滅」などとプロポリスの効能を書いた原稿を作り、健康食品販売会社のシャブロンに送付。同社が薬事法に違反してプロポリスを販売するのを手助けした疑いがある。09年から4年間で1千万円以上の顧問料を受け取っていたという。
藤田紘一郎“カイチュウ先生”の見解には奇妙さを感じることが以前からあったので、先日もかなり控えめですが、このブログで批判的なレビュー「
『脳はバカ、腸はかしこい』のウソ・ホント」で書かせていただきました。
ただ、今回は論理上の疑問ではなく犯罪行為ですからね。
学者としても失格だし、そもそも人として世間に疎すぎ(笑)
それにしても、藤田紘一郎“カイチュウ先生”の言い草が振るっています。
調べに対して、「効能は自分では裏付けていないが、他人の研究を読んで原稿を書いた」というのです。
それ、今問題になっている、“リケジョの星”の他人の論文コピペと本質的には同じではないですか。
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……ん、そう書くと、反発する人はいるかもしれませんね。
金儲け目的の犯罪売文と、世紀の新発見を目指した善意を一緒くたにするな。一緒くたにするのは女性差別だと(笑)
以前
だまし世を生きる知恵、人はいつも何を考えるべきかという記事でご紹介した、『だまし世を生きる知恵ー科学的な見方・考え方』(新日本出版社)という書籍には、その共通点が書かれています。。
悪徳商法、カルト教団、疑似科学、マスコミのインチキ報道など、人の理性を乱すことに満ちている「だまし世」の現代で、それらに騙されないためにはどうすればいいのか、ということが書かれた書籍です。
著者の安斎育郎氏は、騙されることは「非合理思考」であるとし、その転落は、次の2つの原因に尽きるといいます。
1.物事の命題には、「科学的認識」で判断する場合と「価値意識」で判断をする場合とがある。その見定めを間違うとだまされる
2.「欲得」と「思い込み」をもつと非合理な思考に転落する
STAP細胞論文問題は、現時点で再現性や不正認定など最終的な結論が出ていないから本人が弁明の機会を得ていないだけで、少なくとも“リケジョの星”小保方晴子氏の、サイエンティストとしての根本的なマインドの欠如については昨日の理研の会見で明らかになったのではないでしょうか。
今回の論文が「不正」なら、明らかに小保方晴子氏が関係者や世間を騙したことになるし、「不正」でなくても、小保方晴子氏が自らの「思い込み」や「功名心」で真実に肉薄する目を曇らせた、つまり自身の心に騙されたということです。
カイチュウ先生も、カネ目的という「欲得」か、他の人の説に騙されたわけです。
昨日の会見では理研自体の反省も述べられていました。理研も「欲得」でしくじったのです。バカなことをしました。
他にも関わった人たちはみな、功を焦ったのと行き過ぎた「希望的観測」つまり単なる思い込みという点で同じでしょう。
大きな研究の成功は莫大なお金が動きますからね。
韜晦趣味は物事の合理的発展を妨げるだけ
この件で、「論文を書いたことのない非理系は黙っていろ」というおバカさんもいますが、そういう発想がこうした科学者の不始末を招いている一因になることにいいかげん気づくことです。
だったら、政治家でない一般有権者は政治に文句を言ってはいけないのか。
科学者は、たんに研究を行う専門家に過ぎません。
それがいかなる価値で使われるかについては、国民にモノを言う権利がある、というより物を言わなければ大変なことになります。
一部の科学者は原爆投下を喜びました。原爆のメカニズムの何よりの証明になり、原子力研究のニーズにつながるからです。
マスコミやクリエーターだってピンからキリまでいるように、科学者だって人間ですから価値観もモラルも知識もピンからキリまであるのです。
まさか、科学者だけが高潔で清廉潔白の正義の味方だなんて思ってないでしょうね。
国民の多くは誤解していますが、民主党政権の科学部門の仕分けは、実は科学者の世界のダークな部分にメスを入れるいいチャンスだったと私は思います。
今回でそれがよくわかったでしょう。
それが、目立とう精神の元タレント女性議員が跳ねっ返りのつまらないことを言ったばかりに、そこだけがフォーカスされてしまったのは大変残念でした。
いずれにしても、受け身をとったことのない奴はプロレスを語るなといわんばかりの韜晦趣味は、社会と科学を切り離し、その合理的発展を妨げる、まさに疑似科学的発言にほかなりません。
この人がいうと……
今回の問題は、私立大出の若い女性研究者だったから、嫉妬からさされた、という声があります。
たしかに、それはあるでしょうね。
でも、動機はなんであれ、指摘が事実であるならば、私達はそれを躊躇なく受け入れるべきではないでしょうか。
『東京スポーツ』(3月13日付)では、竹内久美子という科学をもてあそぶ作家が、自分も以前そういう経験があったと、嫉妬説を強調しています。
しかし、竹内久美子さんは、大学院で動物行動学を研究しながら、いつしか学者を廃業し、血液型と性格の関係に科学的根拠のない妄想をもてあそぶ読み物を書いていたので、20年前に私は自分の書籍で、この人を批判したことがあります。
読者カードには、「よくぞ書いてくれた」というはがきも来てましたがね。
学者を廃業したからといって、そのマインドまで捨ててしまうような人は理解を得られないでしょう。
そんな人が「嫉妬だ」と叫んでも、あまり説得力はないと思います。
もっと、正々堂々と女性が出てこれるような社会であるべきだし、そのためには女性もハラを決めて安易に言い訳などしないことです。
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