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『クレージー作戦 先手必勝』は豪華出演者による異色クレージー映画 [東宝昭和喜劇]

『クレージー作戦 先手必勝』(1963年、東宝)という作品が、先月下旬に発売された『東宝昭和の爆笑喜劇DVDマガジンVol.24』に収録されています。1月11日に淡路恵子さんが亡くなりましたが、ちょうどこの作品が追悼作品になりました。読み物の部分にも急遽それが書き加えられています。それにしてもこの作品、改めて鑑賞して出演者が豪華なことに気づきました。

クレージー作戦 先手必勝.jpg

『クレージー作戦 先手必勝』(1963年)というのは、いわゆる東宝クレージー映画の第3弾です。ただ、それまでの2作は植木等主演の映画。それらが成功したので、植木等シリーズと並行して、クレージーキャッツ全員が出演する作品も作られることになり、これがその第一作目ということになります。

東宝クレージー映画というと、古澤憲吾、坪島孝という両監督の作品が多いのですが、今回は久松静児という、喜劇駅前シリーズを撮った監督の作品です。

「他のクレージー映画とは一線を画した」といわれるこの作品は、どこが「一線」かというと、完全な無責任男や日本一男の世界ではなく、クレージーキャッツを従前の喜劇の世界に入れたような作品です。

これはたぶん、一作目ということで「保険」も入っていたと思います。

シリーズ第一作の『ニッポン無責任時代』(1962年)のときは、東宝もまだ植木等の映画におけるブランドが未確立だったことから、それまで同社で人気だった『お姐ちゃんシリーズ』に出演していた3人の女優を重要な役どころで使っています。つまり、それによって『お姐ちゃんシリーズ』のファン動員も考えたのでしょうね。

『クレージー作戦 先手必勝』についても、すでに実績のある喜劇役者を使うことで、作品の喜劇ブランドを強調する狙いがあったのだと思います。

豪華出演者


ストーリーは、ネットに出てるので割愛(笑)

いや、それよりも、出演者が多彩で、その人々に触れるだけでひとつの記事が書けてしまうのです。

淡路恵子.jpg
まず、淡路恵子。テリー伊藤が「外国の女優のようだ」と褒めていましたが、たしかに当時ならそう見えたかもしれませんね。

池内淳子.jpg
この作品にはもう一人大物女優が出てました。池内淳子です。この頃は若くてきれいで茶目っ気もありました。この方とは以前、仕事でお会いできる可能性があったのですが、舞台が入っていて調整つかず。「また呼んでぇ」と言われたのが最後で、そのチャンスもなく池内さんは亡くなってしまいました。残念!

柳家金語楼.jpg
柳家金語楼。喜劇俳優、落語家として芸能史に残る超大物です。劇中犬塚弘に「塩辛そうなおやじですね」なんて言われていますが、私はNHKで水の江滝子とやっていたジェスチャーゲームや、トリオ・ザ・ミミックがやっていた物真似でのにっこり笑った顔のイメージがあるので、映画でみると別人のように感じます。

若水ヤエ子.jpg
若水ヤエ子。昭和の古き良き時代の、映画やテレビを支えた伝説の喜劇女優です。個人的には、この方について調べて本にまとめてみたいなあ、という書き屋根性を刺激されます。手前は亭主役の田武謙三。この人もいろいろ出てますね。

小桜京子と塩沢とき.jpg
左が小桜京子。初代引田天功夫人です。ポジションやルックスなどは、今でいうと森三中の村上知子をイメージします。右は塩沢とき。若い時はスラっとして“いい女”だったですけど、この時は若くして舌がんを患い、5年経過した完治したての頃ですね。

上原ゆかり.jpg
上原ゆかり。子役出身では、杉田かおるとか坂上忍が今も現役ですが、私が子供の頃の天才子役といえば、マーブルチョコのCMに出ていたこの人とか、四方晴美(チャコちゃん)とか保積ペペ(丸出だめ夫)とか蔵忠芳(あっちゃん)とか松井八千栄でしたね。

沢村貞子や加東大介など「マキノ一族」も出ています。十朱久雄(十朱幸代の父親)、松村達雄の法政大学新劇コンビも出てきたと思ったら何とこの人まで。

上田吉二郎.jpg
没後も、ものまねタレントが後を絶たなかったこれまた伝説の俳優・上田吉二郎です。そして背後(向かって左)にいるのは八波むと志ですね。

その他、東宝“豪華”端役陣、石田茂樹(過日突然死した石田太郎の父親)、沢村いき雄、向井淳一郎、桐野洋雄、大村千吉など、大きな役ではないけれど、本編のストーリー展開には不可欠な人たちも総出演です。

ところで、wikiには本作についてこう書かれています。
同題の舞台版も作られ、大阪の梅田コマ劇場で上演された
どんな舞台だったのか、出演者なども気になります。

この人たちを知らない世代にとっては何のことやら、という話かもしれませんが、その時代を知るマニア的には、そうした名前を書いているだけで楽しくなります。世代的には50代後半ぐらいからでないとわかりにくいかもしれませんが、わかる方には魅力ある作品だと思います。

東宝 昭和の爆笑喜劇DVDマガジン 2014年 3/11号 [分冊百科]

東宝 昭和の爆笑喜劇DVDマガジン 2014年 3/11号 [分冊百科]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/02/25
  • メディア: 雑誌


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