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デヴィ夫人平手打ち事件で思い出した制作会社の“センセーショナリズム” [芸能]

デヴィ夫人が“また”暴力沙汰でニュースになっています。『奥様はモンスター2』という番組の収録で、一般の女性出演者がデヴィ夫人に挑発的な発言を繰り返したことに怒り、デヴィ夫人が女性の顔を3回平手打ちした疑いがもたれているという話です。制作会社もセンセーショナリズムを意識した番組作りを行っていた可能性を否定できません。

報道を見ると、TBSは制作会社に責任を押し付けたいような口ぶりですが、それはコンプライアンス時代に通用しない逃げ口上です。

私は地上波のバラエティ番組をほとんど見ませんが、少なくともTBSは無責任だなあと思いました。
女性は番組スタッフから事前に「嫌な女性を演じて番組を盛り上げて」と言われていたため、アドリブでデヴィさんに絡んで挑発したという。放送ではこのコーナーはカットされた。
 TBS広報部は「当事者間で起きた事案なのでコメントは控えたい。外部制作の番組のため、どういう演出があったのかわからない」と説明。デヴィさんの所属事務所は取材に「本人が海外に行っているので確認できない」と話した。(朝日新聞デジタル 1月20日17時29分配信)
「当事者間で起きた事案」などと第三者気取りですが、コンプライアンス時代のこんにち、TBSの番組でTBSが「当事者」ではないわけがないでしょう。

普通、アドリブのある番組ならなおさら、後輩の出演者は事前に楽屋に行き、「演出として派手にやりますけれど、なにぶんシロウトなのでよろしくお願いします」と挨拶しておくはずです。

それをしなかったか、結果としてそこで合意ができなかったというのは、製作者側の落ち度がまず考えられます。

「嫌な女性を演じて番組を盛り上げ」たという肝心な部分がカットされてしまったら、第三者には判断できませんが、デヴィ夫人を出演させて相手をさせる以上、デヴィ夫人の常軌を逸した反応を製作者が無責任に期待していた可能性はあります。

【デヴィ夫人関連記事】
>>デヴィ夫人、大津事件のブログ記事でまたお騒がせ

要するに、事件は未必の故意ですね。あり得ることを予想しながら本気で防ぐ気がなかったと。

もうひとつは、この被害者の女性自身が、積極的に事件化を求める人なのかもしれません。

暴力の良し悪しはいうまでもありませんが、だからといって、普通の人は警察沙汰にしたでしょうか。

通常は、不服であっても警察ではなく、まず制作会社と交渉するのではないでしょうか。

行為が常軌を逸していたとしても、あくまでも番組のショーアップから起こったことです。

何より、たとえ被害者でも、そんなことで世間から注目されるリスクのほうが、「平手打ち3回」よりもよほど大きいでしょう。

たとえば、ネットからはクレーマー扱いを受け、近所の人もドン引きするかもしれません。それによって被害女性の名誉は大きく損なわれ、不利益を被る可能性もあります。

率直に書きますが、揉め事は好んでそういう方向に持って行きたがる特別な価値観の人なのかな、と勘ぐらざるを得ません。

もちろん、平手打ちの中身によっては大きな怪我もありえますから、いちがいにはいえませんが。

私がディクターだったら、デヴィ夫人に「シロウト」をけしかけるような危険な演出はしなかったでしょう。

最近の「仕出し」(エキストラ)の事情がわかりませんが、ベテランで専業の、つまり仕事で揉め事を起こさない“大人”にお願いしていたと思います。

『ジェネジャン』は俗悪番組ではなかったが……


昨今は放送にかぎらず出版も、ギリギリの予算で責任は丸投げの下請け制度が定着しています。今は下請け会社を「協力会社」なんて呼んでいるんですよね。

物は言いようです。

制作会社も、より費用対効果のいい安易な演出に走ってしまうから、「やらせ」や、今回のような軽率な事件が後を絶たないのでしょう。

もう10年以上前のことですが、日本テレビが放送していた『ジェネジャン』というディベート番組から、縁あって私に出演依頼がありました。

制作していたのはもちろん下請け会社です。

私の仕事場にもカメラが入って、スタッフと1時間ばかり話もしたんですが、結論として出演をお断りしました。

理由は、企画書の中に、「60%シロ、40%クロの事案でも100%シロと言ってくれ」と書かれていたからです。

テーマが科学的命題だったので、そんなことをしたら、視聴者に誤解を与えたり、センセーショナリズムに走った放送に陥ったりする可能性もありました。

『ジェネジャン』は教育番組ではありませんでしたし、ショーアップも否定はしませんが、それは空気を読んで茶化すプロである賑やかしのタレントがすればいいことで、シロウトの私がそれを担う能力はなかったので、結局出ませんでした。

『ジェネジャン』も、定められた時間と予算で様々な水準の視聴者に、面白くてためになるコンテンツを提供するというのは、いろいろ苦労があったのだと思います。

そういう意味では、今回『奥様はモンスター2』の制作会社にも同情はします。

まあ今回のことを教訓にして、今後は出演者の絡みには十分気をつけられたほうがいいでしょうね。

デヴィ・スカルノ回想記 栄光、無念、悔恨

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