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保証人代行詐欺、トラブルはその人の責任か? [社会]

保証人代行詐欺というのをご存知ですか。詐欺というと「振り込め詐欺」(旧オレオレ、現母さん助けて)が有名ですが、地味ながら保証人代行詐欺も世間では問題になっています。

生活の中で、何か新しいことを起こす際に必要とされる保証人。なかなか頼める人がいないことに付け込んで、様々な名目で最初に一定の代金を支払わせながら、責任もって保証人を紹介しない悪徳業者が少なくない、という話です。

これは、支払ったお金が「詐欺」になり得るだけでなく、結局保証人を紹介されなかったことで、保証人を必要とした「新しいこと」自体も実現しなくなる二重の被害を受けるものです。

『実話ドキュメント』(2013年7月号)には、「弱者いびりの悪辣な保証人詐欺事件」というタイトルで、保証人詐欺事件についての記事が掲載されています。

『実話ドキュメント』(2013年7月号)

実話系というと、反社会的団体の話で埋め尽くされている印象があるかもしれませんが、最初から決めつけて毛嫌いしていると、有用な記事を読み逃すこともあります。どんな出版物も是々非々で読むべきだと思います。それはともかく、記事から引用します。
 二〇一二年三月、事もあろうに大阪市内のハローワーク建造物内にて、「就職支援システム会社」なる名刺を手にして、「就職において保証人が必要とあれば御一報下さい」と話掛ける男女がいた。  不審に思えどもハローワーク内での出来事、現在の世の中で必要不可欠な、「保証人が金で買えるなら安いものだ」と思い込み、二百人前後の大々が申し込む、その内訳は、「就職保証人手数料一名四万五千円、二名の場合、八万円」であり、他にアパート入居保証人などの別料金も記載されていた。  当然のことながら、手数料を支払ったけれど音沙汰なし、騙されたと気づいた時は就職が取り消されていた。勿論のこと、名刺先の住所を尋ねるがもぬけの殻、会社の電話は「お客様のご都合により…」と流れてくる。

そもそもこの事件は、2010年に福岡県筑紫野市に本社を置く、4万3000人の会員を保有している連帯保証人紹介業者が起こした手口を真似たものと同誌は指摘しています。

福岡の事件というのは、2005年頃、ネットにおいて、「就職、賃貸保証は1人4万円で、2名で8万円」払えば「医師、会社経営者、大手会社役員、教師と信用のある人物ばかり」を保証人として紹介すると募集されたものの、2007年ごろから保証人を紹介しないなどのトラブル報告があり、結局被害者の会と被害対策弁護団が結成された大掛かりな詐欺事件です。

同誌の記事を読み、保証人の必要なケースを枚挙してみると、意外に多いことに気づきました。

賃貸保証人、就職身元保証人、外国人ビザ保証人、取締役登記名義貸し、フランチャイズ保証人、代理店保証人、入院・手術保証人、入学保証人、奨学金保証人、公的資金貸付保証人、離婚届・婚姻届証人……。

これまで、こうした手続きで保証人に悩んだ経験はありませんか。

私は何度かありました。

たとえば、賃貸保証人の場合は、保証会社を入れる以外に、身内を指定されるケースがしばしばあります。

他人は見捨てるけれど、身内は後始末してくれるから保証人として確実という理屈らしいのですが、私たち夫婦は、諸事情で自分たちの肉親には頼みたくないので(汗)、そういう条件はホント、困りましたね。

親子や兄弟の在り方は様々なんです。肉親であっても絶縁して葬式にもいかないと決めている場合だってあります。

そんな関係ではトラブルが生じても後始末は期待できません。だから私は、自分が困ったからいうわけではなく、保証人に「身内の」などという条件を付ける考え方は、合理的ではないと思います。

入院・手術における経験もあります。

それらは緊急を要しますから、手続きの前に実態が先行することがあります。それが、退院時に精算するときになって突然、「保証人が空欄だから入れてくれないと精算できない」なんていわれることがあるのです。

私の息子が入院したとき、まさにそうだったのですが、精算できないと転院ができないのです。

命と健康がかかっているのに、なんて馬鹿げたことだと思いました。

取締役登記名義貸しは、それらに比べれば切実ではないのですが、魔がさして(笑)利用を検討したことがあります。

会社を作る時に、取締役に連ねる名前を貸すというものですね。

新会社法が施行されたので、法人登記は、会社を作りたい本人自身の登記があればできるのですが、取締役設置会社としての体裁をとるためには、取締役を3人揃えなければならないのです。

たとえば個人事務所を作るとして、役員には自分と妻ともう1人。さてどうするかというとき、保証人代行業者に名前を借りて登記を済ませたい、というふうに考えることもあると思います。

いずれにしても、適当な人がいなければ業者の世話にならざるを得ない、ということはありますよね。

こう書くと、頼める人がいない「人脈のなさ」が悪いという人がいます。

でもね、逆に保証人を頼まれる側として考えてみてほしいのですが、そんなにやすやすとは引き受けられないですよね。

私は、未成年者について、親権者がその責任を保証するのならともかく、成人については、保証人制度なんていらないんじゃない? という疑問すら持っています。

いくらそんなものつけたって、トラブルを解決できるとは限らないからです。

たとえば、離婚届・婚姻届に証人をつけるのは、偽装でないことを証明するためとされています。

が、そんなもの、証人がいたって偽装結婚なんて実際にはあるわけです。

賃貸や就職などで不始末(債務)があったとしても、しょせんそれらは法的には一般債権に過ぎませんから、何人保証人を付けようが、その人たちが「ない袖は振れない」であったら回収は一切できません。

結局、保証人制度というのは、債務等の法的責任というよりも、保証人をつける本人に対して、「人に面倒をかけてその手続きをしたのだから変なことはしないように」ということを心してもらう、という意味しかないと思います。

でもまあ、それはモラルの問題ですから、何も保証人制度という他者の世話になるような形でなくてもいいのではないかなあ、なんて思っています。

だからといって、それにかわる何かを提案できるわけでもないんですけどね。



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