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タレントとCMの関係 [芸能]

松嶋奈々子が、今月からサッポロビールのCMに出演している。

いろいろ評価はあるが、「家政婦のミタ」で無表情のイメージがつきかけていた松嶋奈々子にとって、満足げにビールを飲んでいるカットがドアップで出る中吊り広告は、いい仕事だったのではないか。

ただ、それだけ大きな仕事になると、責任もまた大きくなってくる。契約書には「禁妊娠」が明記され、もし松嶋奈々子の妊娠報道があった場合、それが事実でなかったとしても契約破棄になるケースもあるという。

妊婦がビールを薦めるのは、社会倫理にもとるという考えによるものだ。

昨年9月には、小雪が酒のCMを降板。小雪の妊娠の発表が重なり、妊娠による降板であると芸能マスコミには解釈された。

企業側ではそれは否定しているが、小雪の妊娠は事実だったから、いずれにしてもその時点で、お酒のCMに不適格となったわけだ。

03年には、中山美穂が妊娠したため麒麟麦酒のCMを降板。こちらは差し替えも行ったために違約金を払っている。

妊娠以外にも、「違約金」というほどではなかったが、スポンサーのライバル社のCMに出演しているからと言って、MCのタレントが番組を降板したり、長く焼肉のCMに出演していた女優が「私はベジタリアン」とインタビューで話したためそのCMから降ろされたなど、芸能人がCMとイメージの関係を問われて仕事を下りざるを得なくなる例は枚挙に暇がない。

トヨタの2車のCMが、このたびスピード違反の木村拓哉から小栗旬に代わったのもその影響はあるだろう。

ただ、そうしたことに対して、一部には反対意見もある。

たとえば、小雪や中山美穂の場合は、CMは女優として出演しており、プライベートな妊娠は関係ない。仕事は仕事、私生活は私生活という考え方だ。

以前から、CMに出演するタレントは、その商品のたんなるアイ・キャッチャー(目印)なのか、それとも商品に対する責任があるアドバイザーなのか、という議論はあった。

この人気タレントならあの商品、と消費者が連想してくれればCMとしては成功だが、その場合、タレントが必ずしもその商品の愛用者である必要はない。

ドラマだって、医師免許がなくても医師の役は演じられる。タレントはイメージのみ勝負だ、という考え方と、いや、タレント自ら率先して使っていなければそのCMは嘘になってしまう。ドラマは作り物だが、CMは実在の商品を扱うのだから嘘があってはならない、という考え方があるわけだ。

どちらも一理あるだろう。

「私も使っています」と宣言でもしない限り、実際に使わない商品に出演してはならない、という理屈はちょっと厳しいかもしれない。

たとえば、東京在住でありながら関西だけで販売している商品のCMに出たっておかしくはないだろう。

ただ、今はインターネットなどで、スターの私生活が秘密のヴェールに包まれる時代ではなくなった。ドラマでも喫煙のシーンがなくなったように、その表現も社会的公益性を意識したものになっている。

そして、ファンはそもそもそのタレントの価値について、聞こえてくる私生活の断片情報を含めて判断している。名前の知れた女優、名女優なら私生活は切り離して不問、という時代ではないと私は思う。

だから、企業や商品のイメージに反する立場や行為があれば、その利用者であろうがなかろうが、商品キャラクターとして不適格と言われても仕方ないのではないか。

松嶋奈々子も、あれだけのCMだから多額のお金で契約したのだろう。子作りが2年遅れて、将来「高齢出産」を叩かれるかもしれないが仕方あるまい。

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コメント 3

pandan

イメージってやっぱり、
大切なのでしょうね。
by pandan (2012-07-25 05:54) 

tooshiba

芸能人も人間ですから、私生活をもどこまで縛れるか?というところでしょう。
難しいところではありますが、やはり、「お金を払う側が嫌がることをしない」というのが、契約の基本(?!)だとすると・・・その人を起用したことで企業ブランドや製品にマイナスイメージがつきまとったりしたら、収益をあげるどころではなくなってしまいますので。
松嶋さんなら「2年間は妊娠はしないでください」と言われたら、「承知しました」と言ってくれそうです。何しろ、プロの女優さんですから。

いつもご訪問くださいましてありがとうございます。
過日は弊ブログ1周年並びにnice!の13,000個達成にお祝いのコメントを寄せてくださり、誠にありがとうございました。
どうぞこれからも宜しくお願いいたします。m(_ _)m
by tooshiba (2012-07-25 23:47) 

yutakami

推奨責任の問題ですね。
昭和の頃の認識よりも、格段に現在は厳しく問われる時代になった、と言っていいと思います。
タレントさん、マネジメントに関わる方々の持つべき「法的な知識水準」が高くなった、と言い換えてもいいと思われます。
妄言多謝。
by yutakami (2012-07-27 14:26) 

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