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マスコミ報道は「詐欺」「詐術」 [マスコミ]

戦後史の激動、というのは改めて言うまでもなくこのブログのタイトルです。当初は、タイトルどおり、戦後史上の大きな出来事(主に政治史的出来事)を1日1つずつ振り返るということではじめました。

途中、お休みもありましたが、まる2年たち、気がつけば、おかげさまでグーグルページランクも4、月に6万PVを超える閲覧数になりました。

ところが、ご覧の通り、最近の記事はかなり思いつきで更新しています。

というのも、政治の戦後史としての出来事で記事を更新するのは、45年の終戦から89年、つまり「昭和」が終わるまでで挫折してしまい、90年以降の政治史は追っていないからです。

理由は、最近の政治も政治家もすこぶるつまらないからなのですが、やはり「学問」ジャンルに登録したブログですし、ここらで気持ちを入れ替えて、またひとつのテーマを追って更新していきたいと思います。



ネットでは、マスコミのことをマスゴミなどと呼び、しばしば、その矛盾や動揺を揶揄することがあります。

それはそれでもっともなことが多いのですが、ただ、記事の間違いに対する悪口だけで完結しても、あまり建設的なものとはいえません。

では、マスコミはなぜそんなことを書くのか、背景に何があって、国民に何を吹き込む目的なのか、そこまで見ていかなければならないと思うのです。

そこで、私の気づいた、マスコミとはこういうもので、そしてこんな狙いや本質を持って報じているのだ、ということを、識者の言説など引用や参考にしながら書き綴っていきたいと思います。

で、最初にご紹介したいのは、かの大宅壮一氏です。

先日、週刊文春がなぜスキャンダルを書くのか、という記事を更新しましたが、その際、昨年亡くなったジャーナリストの松浦総三氏の「文春研究」を一部引用しました。

その松浦総三氏は、ズバリ、マスコミを「詐欺」と呼んでいます。(「ジャーナリストとマスコミ」大月書店)

それはもともとどこから来ているかというと、大宅壮一氏がマスコミを「欺瞞」と定義づけているところからきているようです。大宅壮一氏の言い分を引用してみます。
現在の社会では、大抵の人間は、他人を何らかの形式によって欺くことによって、生活しているのである。もっとも巧妙に、もっとも合法的に、他人を欺くすべを心得たものが今日の社会では“成功者”である。嘘だと思うなら日々の新聞をみるがよい。意識的な虚偽や、過失的な誤報を除いても、何等かの誇張や歪曲を含まない記事は絶無といっていいくらいだ。誇張や歪曲も、たしかに欺瞞の一形式である。


政界・経済界・思想界をはじめ、複雑多端な一般社会現象の中から、ある事件だけ選んで報道するということは、どんなに公正らしく見せかけても、やはり一つの歪曲である。ことに大衆の生活にとって、もっとも重要な事件がおこっているのに、それを隠蔽したり、黙殺したりすることは、形式的に消極的ではあるが、実質的にはたしかに積極的な欺瞞である。


こういう欺瞞は、新聞の記事面よりも、広告面によく現われている。否、この方が遥かに露骨で大胆だ。近ごろの広告の大部分は、広告ではなくて詐欺だ。それはインチキ売薬や化粧品や、またそれらと何ら選ぶところのない通俗雑誌ばかりでなく、インテリ相手の出版物にもその傾向が甚だしくなってきた」(『ジャーナリズム講話』)。


松浦総三氏は、大宅壮一氏の言い分を認めています。もっとも、たんに追従しているだけでなく、「マスコミ産業は詐欺産業であるときめつけながら、御本人自身も詐欺的文章を書く無類の達人であった」と注釈もつけています(笑)

私も、大宅壮一氏の言い分はわかります。

が、詐欺というのは、「人を欺いて財物を交付させたり、財産上不法の利益を得たりする」ことであり、読者を文章の手練手管を使って誘導することが「詐欺」といえるかは疑問です。

むしろ、読者をそのように誘導できるライターは、詐欺どころか、それだけ訴求力ある魅力的な文章を書いているわけですから、十分に原稿料の仕事をしているわけです。

ですから私は、それをいうなら詐欺ではなく「詐術」ではないかな、と思います。

まあ、言葉の使い方はともかくとして、ここで本職の、しかも高名なジャーナリスト2人が述べているマスコミ観というのは重要です。

保険のセールスも、広告コピーも、学者が企業や国から金を引っ張るプレゼンも、そして「社会の木鐸」などといわれているマスコミの報道も、すべて、相手を自分の狙い通りに得心してもらうように欺く営みに過ぎない、ということです。

その意味では、言い方をかえれば、受け手である国民は、いかにしてマスコミ報道のウラ(真の狙いや背景)を理解して読むか、が求められるということです。

欺かれてからマスゴミと罵っても後の祭り、額面どおり受け止めて欺かれるだけの素直な国民は論外!

そう考えると、情報化社会といいますが、気が許せない世の中です。しかし、それが現実なのです。

大宅壮一全集〈第3巻〉ジャーナリズム講話 (1980年)

大宅壮一全集〈第3巻〉ジャーナリズム講話 (1980年)

  • 作者: 大宅 壮一
  • 出版社/メーカー: 蒼洋社
  • 発売日: 1980/11
  • メディア: -


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hatumi30331

おはようございます。
記事は書き方一つでいくらでも作り上げることが出来ます。作られたモノを読まされてる事を忘れないようにしなきゃね。 事実でも・・・書き方で、読む相手にどんな風に印象付けるか? それが分って書いてます。
最近の記者は・・・・度胸がない!
もっと鋭い質問を聞けない・・・・それは・・・・
勉強が足りないと思います。インタビューの仕方が分ってない!って・・・・いつも思ってる私です。
いつも深い記事・・・・感心しています。
暑いですが・・・・身体の調子崩さないように・・・
この夏を乗り切りましょうね〜♪^^
by hatumi30331 (2012-07-26 05:50) 

chima

下の子は6歳で上の歯がまだ乳歯です。
虫歯で恥ずかしいのですが、
もうすぐぬけそうにぐらぐらなのでそのままです。
上の子は8歳で前歯は生え変わってます。
8歳で前歯の乳歯が残っているのは少しゆっくり目ですね
息子さん3年生だったら同級生ですね
by chima (2012-07-26 06:51) 

uryyyyyy

いっぷく さん、こんばんは。

おいらがマスゴミと呼ぶ理由は
報道しない権利ってやつです。
自分らに都合の悪いことはその名のもとに情報を隠蔽しますが
視聴率が取れそうな話題は逆に、報道する権利を盾にします。
挙句の果てに情報の捏造もしますしね。
ネットが盛んになって、メディアの体質が明らかにならなければ
もっとひどい印象操作も行われているのは確実でしょう。
by uryyyyyy (2012-07-26 19:50) 

えがみ

理由は無いけれども、取り敢えずマスゴミと呼ぶようにしています。
慣習みたいなものですね。
by えがみ (2012-07-27 00:08) 

いっぷく

hatumi30331さん、コメントありがとうございます。

>作られたモノを読まされてる事を忘れないように

まったくおっしゃるとおりだと思います。
新聞やテレビが言ってるんだから絶対に正しいと
疑いもなく鵜呑みにしてしまうのは避けなければ
いけませんよね
by いっぷく (2012-07-27 04:44) 

いっぷく

chimaさん、コメントありがとうございます。
そうですね、同級生ですね。
昨年前歯が抜けていました。
はやくはえないと、歯並びが悪くなるのではないかと
心配しましたが、何とか重なったり曲がったり
せずに生えたようです。

by いっぷく (2012-07-27 04:47) 

いっぷく

uryyyyyy さん、コメントありがとうございます。
そうですね、タブーも欺瞞・詐術のひとつだと
私も思います。
おっしゃるとおりマスコミ報道はタブーに満ちていますね。
by いっぷく (2012-07-27 04:48) 

いっぷく

えがみさん、コメントありがとうございます。
それはきっと、マスコミに何らかの
不満があるからでしょうね。
それがなんだかよくわからないというのは、
そもそもマスコミの報道が旗幟鮮明でない
曖昧模糊としたものなんでしょうね。
by いっぷく (2012-07-27 04:50) 

φ(・ω・)かきかき

あら、こちらにありましたね。マスゴミ。
情報を鵜呑みにせず、
自分で取捨しないとなぁって思います。
by φ(・ω・)かきかき (2012-07-27 04:56) 

雪花

ご来訪有難う御座いました^^
面白く読ませて頂きました!!また、お邪魔します♪
by 雪花 (2012-07-27 09:39) 

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