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毒母がいて47歳まで結婚できない娘は親離れできない「共依存」か [社会]

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「親」から自由になれない「子」の記事が、ヤフーのトピックスで話題になっています。娘を支配したがる毒母に引っ張られ、47歳まで結婚できない娘が、今度こそ自律した人生を歩みたいと語るインタビュー記事です。記事では、親の支配から逃れられない娘を「共依存」などと、さも「親離れできない」ように描いていますが、はたしてそうでしょうか。



先日、『母という病』(岡田尊司著、ポプラ社)という書籍をご紹介しました。

自己愛の強い「母」が、「子」の自立を妨げ、人生を振り回すようなことがあってはならないという話です。

『母という病』『父という病』子は親との関係で人生が変わる

そこで著者は、毒親(母)のタイプを大きく2通り分析しています。

1.「子」に対して過剰な支配をしようとする「母」
2.「子」が母の愛情を必要とする時期に十分な愛情を与えなかった「母」

「2」は、ネグレクト(育児放棄)として社会問題になっています。

そこで愛情を得られなかったことが、後の人格形成上も禍根を残すことがあるといわれています。

そしてこれは、客観的にわかりやすい、非難しやすい「毒親」です。

しかし、私の考えでは、「1」の方がより深刻であると思います。

理由は、「毒」が、外からは可視化しにくいので、社会的に的確な批判がしにくいからです。

たとえば、「1」の親に育てられた「子」は、高学歴など、むしろ社会的には「きちんとしている」ことが少なくありません。

だから、「大学まで出してもらったんだからいいじゃないか」「親としてきちんと育ててくれたじゃないか」という話になってしまう。

しかし、それが「親の価値観」でそうし向け、「子」にとって不本意だったらどうでしょうか。

「子」の人生なのに「子」の思った通りに生きられない。

そうさせない親。

さて、「子」はそれで幸せでしょうか。

「2」なら、「子」は大きくなってから自分の努力で、自分の人生行路を作り、人格的な問題点を自覚して修正できる可能性もあります。

しかし、「1」ですと、その親が生きている限り、「子」は自分の人生を歩むことができない。

「1」と「2」の比較がこの記事の主テーマではありませんが、とにかく、「1」が悲劇的な親子関係である、ということをここでは改めて述べておきたいと思うのです。

そのうえで、今日の記事です。

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子は親に対して対等の関係ではない


話題になっているのは、この記事です。




記事にはこう書かれています。

 子どもを自分の分身だと思い、過度な干渉を愛情だと勘違いする母。親の言うことを聞いて生きていれば、間違いがない。母が敷いたレールから少しでも外れようとすると、「だから、あなたはダメなんだ」「あなたになんか、できっこない」と、娘の人格否定をするような言葉を投げつける母。夫婦間の問題や夫の不満のはけ口として、娘につらく当たる母。“毒母”という言葉も生まれ、近年では社会問題にもなっている。

この母親は、別に暴力を奮ったり、監禁したりして娘を抑えているわけではないのです。

ただ、言葉の暴力と威圧感で、ずっと娘を押さえつけてきたのです。

そして、結果として47歳まで結婚できなかった。

今度こそ自律した人生を歩みたいと語るインタビュー記事です。

私自身も、経験したことのある暴言が記事には書かれています。

「小さなときから母に、『遊んでないで勉強しなさい』と、言われて育ってきました。『あなたは特別美人ではないのだから、勉強で秀でて、いい大学に入って、いいところに就職をする。それが幸せになれるいちばんの近道だ』って」

これ、私も実母から言われましたね。

お前は能無しだから、ルックスも悪いのだから学歴だけが頼りだと、何度言われたことか。

それはともかく、上記の記事には、記事の根幹にー関わるところで、大きな間違いがあります。

娘が親を突きはなせないのは、結局親離れできないからだというのです。

母親も娘から離れられない。

そして、娘も母親から離れられない。

その現象をもって「共依存」と書かれていますが、これは違いますね。

残念ながらこの記事の著者は、取材力はあっても論考力が足りない。

きっと、自分自身がそういう苦労をしていないから、「子」の心の痛みの発言を伝えることはできても、著者自身が心の痛みを理解することができないのだと思います。

子と親は、決して対等の関係ではありません。

ですから、「共依存」という前提ではありえません。

あくまでも、「上から下」の一方的な関係です。

そしてそれは、大人になっても続くのです。

終生つきまとうのです。

とくに「親」は「子」に対して、「産んでやった恩」だの「親孝行」だのといった、その限りでは否定できない印籠をもっているので、自分が思い通りにならなれば、それを振り回せばいいだけなのです。

「言っていいことと悪いこと」などといいますが、「親」の「子」に対する物言いについては、とくに注意が必要です。

「アドバイスのつもり」などと言い訳する「親」もいますが、「子」の受け止め方を第一に考えられないことが、すでに毒親の始まりなのです。

「母」に限らず「父」であっても、子供との関係、お互い別人格なのだという当たり前のことは、いつも念頭に置いておきたいものです。

毒になる親 一生苦しむ子供 (講談社+α文庫) -
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makkun

我が娘も5年過ぎるとこの年齢になるのですが
私は「毒父」かな~(〃∩ω∩〃)
by makkun (2018-01-30 15:18) 

伊閣蝶

子と親は決して対等ではない。
全く仰る通りです。
それなのに、改めて気づかされた感が強いのは、それを「所与のもの」として受け止めてしまっているからなのでしょう。
親が年老いてくると、子としてはその親に強く出ることがどんどんできなくなってきます。
親は子供に干渉することを当たり前のように思っているのに、子はそれを撥ね付けることができません。
正しく、印籠を振りかざされている、という感が強く、なかなかそこから逃れることができません。

by 伊閣蝶 (2018-01-31 16:07) 

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