戦後史上、テレビ番組が「やらせ」で終了したものはいくつかある。
そもそも、「番組」である以上、何らかのショーアップはあって当然、と見たほうがいい。
洗剤のCMで、靴下が真っ白になるのはおかしいと思うだろうし、昔のプロレス中継で、いくら三菱電機がスポンサーだからといって、電源の入ってない掃除機で血と汗が散るマットを掃除するシーンは、1960年代だから許されたご愛嬌である。
が、人間の健康をテーマとしたものや、報道性の高いものは、モラルという点からも責任追及は致し方ないのではないだろうか。
今から5年前の2007年1月23日、関西テレビは納豆ダイエットを取り上げた「発掘!あるある大事典II」(フジテレビ系)に、虚偽のデータなどがあった問題で同番組を打ち切り、公式サイトおよび携帯有料サイトも閉鎖することになった。
次回放送予定日の28日は「スタ☆メン」という別番組を枠拡大して放送。つまり最終回もなかった。
さらに同局は千草宗一郎社長ら3人の役員報酬3カ月カット、制作局長、東京支社制作部長、同制作部プロデューサーの解職など、責任者10人の処分を決めたが、記者会見は行っていない。
なんか、夜逃げのような打ち切りだった。
この捏造事件の背景には、いつもいわれる下請け制作会社の過酷な業務委託体制がある。それともうひとつ指摘しておくべきは、視聴者の態度だ。
我々を騙すな、という苦情が局に相次いだというが、そもそも食品に薬と同じ作用を求めることが間違っているということを認識したらどうだろう。
この手の「健康情報」番組は、これまでにも信憑性や科学的厳密さなどがしばしば問題視されてきたはずである。にもかかわらず疑うことなく性懲りもなく見続けるおめでたさは、いったい何なのだろう。
エビデンスのあることなら、学会に発表され、論文が投稿されて多くの専門家に吟味される。
その結果は、バラエティ番組などではなくニュースが報じてくれる。
もちろん、騙す方が騙される方より責められるべきなのは当然だが、視聴者も一歩立ち止まって考える冷静さが求められるのではないだろうか。
健康情報・本当の話
- 作者: 草野 直樹
- 出版社/メーカー: 楽工社
- 発売日: 2008/05
- メディア: 単行本
2012-01-13 23:34
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コメント(6)
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共通テーマ:学問
健康情報って誇大が基本だと思っています。
でもなんか見ちゃうんですよねー。
子供の頃というか10代までは全然興味なかったんですが
大人というか20代超えたらだんだんからだの事が気になっちゃったりで。
でも、そのまま鵜呑みにする人たちが多いのはちょっと考え物ですよね。
by 月夜 (2012-01-14 04:23)
みんながやっていたり、はやると流される人が多いように思います。流行に乗っていると安心するのでしょう。
それが日本人の欠点でも有り美徳でもあるように思います。
私は良いと思ったらまず自分が試してみて続けるかどうか決めます。今までいろいろなことを試しました。実感が一番ですね。
by muk (2012-01-14 04:59)
どこの国民も同じなんでしょうかね。
少なくとも日本人はつくづく、責任を他人任せにして文句ばかり言うと感じています。
by 楽しく生きよう (2012-01-15 06:46)
全ての番組が悪いわけではありませんが、TVはフィクションである、という前提で挑まないと駄目ですね。
by えがみ (2012-01-16 01:02)
こんばんは。
覚えています。放送の翌日、
スーパーから納豆が消えちゃうくらいの
影響力だっただけに、ショックも大きかったです。
by まる (2012-01-16 01:18)
こんばんは。テレビを完全に信用する国民性もあるでしょうね。やらせはやるべくしてやる。視聴率によってスポンサー収益が変ってくるのだから当然うそでもなんでも数字にこだわってやらせをやるのは必然だと思います。
返事遅れましてスイマセン。ブログ復帰しました。またよろしくお願いします。
by オカジュン765 (2012-01-23 22:05)