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大火災を経験してわかった“人間の2類型” [社会]

いよいよ暮れて31日、2011年が終わります。

正月の支度や今年を振り返る記事を書かれている方が
多いのは時節柄ですが、
私はそれをしにくい1年でした。

この「激動の戦後史」ブログ、
過去記事のアーカイブをご覧になれば
わかると思いますが、ブランクが4ヶ月あります。
実はその間、人生を5回繰り返しても
経験できないようなことを経験したからです。

なんと、自宅兼作業場が全損の火災にあってしまったのです。
それ自体が大惨事であったことと、その後の対応で、
残念ながらブログは長期にわたって中断せざるを得ませんでした。

消防車は隣町の消防署からも駆けつけ計11台。
テレビや新聞は3日にわたって報じました。

火が出たとき、家の中には妻と息子2人がおりましたが、
私が現場に戻ったのは火が出てからのため、
何もしてやれませんでした。

119番は妻が家の中からしたようなのですが、
妻の記憶からは、そのことも含めて
今も事故当時の記憶は全くないそうです。

119番の後、直ぐ逃げればよかったのですが、
妻は下の息子と入浴中で、2歳の子を1人にして自分だけ
逃げるわけにもいかず、また煙と火自体がそのときは
かなり大きくなっていたため、結局3人は逃げ遅れました。

消防車が到着して消火活動をしつつ、
救急隊の人が救出作業を始めました。

到着したのは決して遅くはなかったのでしょうが、
待っている私からすれば、その間の気持ちはもう、
なんと表現していいか言葉が見つかりません。

隊員が奥の風呂場で、折り重なるように倒れていた3人を見つけ、
「3人発見ー」と叫ぶと、周囲に見えないようにシートが広げられ、
家族である私にすら見えないように3人は救急車に運ばれ、
それぞれ別の救急病院に搬送されました。

新聞では「重体と重傷」とありましたが、
正確には全員「意識不明の重体」でした。
とくに妻は、この時点で一酸化酸素中毒で心肺停止。

「心肺停止」ってどういうことかわかりますよね。

なのに警察は、「奥さんが回復したら事情を聞きます」と、
アポとりをしていったのだからあきれるというか、
因果な商売してるなあと思いました。

出発前、救急隊の人からは、
「全力は尽くしますが、状況は厳しいです」と告げられ、
私は家族をいっぺんに失うことをこのとき覚悟しました。

妻とは15年ぐらいの生活があり、
子ども2人授かりましたが、
失うときはあっという間なんだなあ、
なんてぼんやり思っていました。

まあ客観的に見れば
放心状態というのでしょう。

マスコミもいろいろ報じていましたが、
私にきちんと聞き込みをしたのは2社だけで
その一方で、息子の同級生の祖母に食い込んで
息子の写真を入手しようという社もあったようです。
そこは、息子の小学校名まで公開しましたが
個人情報の保護などどこ吹く風です。

まあ、息子は死ぬだろうと決め付けていたのでしょうね。
だからといって、小学校名まで明かしたり
同級生の祖母にまでしつこく取材をかける必要があるのか
疑問ですが。

某国営放送は、現場検証が始まる前から火災の原因を報じる
トバシをやってくれました。
私が名誉毀損で訴えたら、そこは負けますよ。

まあ、その件については、
また別の機会にまとめたいと思っていますが
とにかくそういう大惨事を経験して
よくも悪くも、いろいろな方とのかかわりがありました。

そこで思ったのは、
人間には、2つのタイプがあるということです。

ひとつは、何よりも自己愛が強いタイプ、
もうひとつは、他人の身になって
心の痛みを理解しようとしてくれるタイプです。

後者は、たとえば
上の息子が、幼稚園でたった1年同じ組だっただけなのに
当時の保護者に声をかけてくれ
当面の生活に必要なものを提供してくれた人がいました。


前者には、さらに2通りありました。
たとえば、血がつながっている身内でも、
事情を知りながら見舞いの
電話1本よこさない人がいました。

関わり合いになって支援させられたら
たまらないということなんでしょうね。

これなどは見るからに「冷たい」態度ですから、
非常にわかりやすい自己愛です。

もうひとつは、そのような単純なタイプだけでなく
一見心温かいようでいて、実はそれは自己愛のため、
というタイプです。

そういう人は、最初は何かと親切なのですが
「これだけ自分は支援してやっているのだ」という
「美学としての支援」や恩着せがましさが根底にあるので
何かの齟齬があると
とたんに敵対してこちらを苦しめる側に回ることもあるので
支援としては「ゼロ」というより「マイナス」になり
大変に厄介です。


困ったときに「支援」というのはありがたいことですが、
ざんねんながら、「支援」の意図や中身には
気をつけなければならないということを
知らされました。

人付き合いというのは難しいものです。

ま、いずれにしても、
私たち人間は生きている限り、嫌なことがあってもとにかく
前に進まなければなりません。
新たな気持ちで2012年は再スタートです。

来年もよろしくお願いいたします。
タグ:火災
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コメント 16

nano

本当に大変な1年でしたね
まだまだ不安も残る中、新しい年を
迎えられる今、何よりという部分も?
多々の災い払拭出来る年になるよう
心から祈ります
by nano (2011-12-31 22:34) 

rtfk

こんばんは^^)
私もいっぷくさんほど凄まじいレベルではありませんが
あることの経験がありまして
親族や友人知人の選別というか
見方を変えなくてはいけない状況になったことがあります。。。

それにしても今は以前の状態に近くなられたのでしょうか
大変遅ればせながらお見舞い申し上げます。。。

来年が良き年となりますよう祈念申し上げます


by rtfk (2011-12-31 22:37) 

nano

Subの方にも丁寧なご挨拶
本当にありがとうございますm(__)m
by nano (2011-12-31 22:38) 

hatumi30331

今年は、大変な年でしたね。
来年こそは・・・良い年になるように・・・
自分に出来ることをやっていきたいです!
今年はブログでのお付き合い、ありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。

by hatumi30331 (2011-12-31 22:45) 

ritton2

大変な一年でしたね…ナイスは控えさせて頂きます。日本を含め災難が多い一年でしたが明日から新しい一年が始まります。今年同様宜しくお願いいたしますm(__)m
by ritton2 (2011-12-31 22:58) 

がり

人付き合いって難しいですね。
あまり得意じゃないけど、
かといって、かかわらずに生きていられるほど
強くもない。(´-`;)
色々あってもやはり人付き合いは大事
来年はいい人にたくさん出会える
素敵な年でありますように。(⌒ー⌒)

by がり (2011-12-31 23:16) 

いけ麺

良いお年を~!(^^♪
by いけ麺 (2011-12-31 23:20) 

ハマコウ

大変な一年だったのですね
いっぷくさんのブログからはそのようなことがあったことは想像できませんでした
「とにかく前へ…」
少しでも前へ進むことができる年になることを願います


by ハマコウ (2011-12-31 23:22) 

ハマコウ

大変な一年だったのですね
いっぷくさんのブログからはそのようなことがあったことは想像できませんでした
「とにかく前へ…」
少しでも前へ進むことができる年になることを願っております


by ハマコウ (2011-12-31 23:22) 

まる

 こんばんは。
 ブログを読んで、びっくりしています。
奥さまとお子さまは、回復されたのでしょうか?
大変な1年でしたね。

 2011年は、お世話になりました。
どうぞ、よいお年をお迎えくださいませ。
by まる (2011-12-31 23:38) 

楽しく生きよう

人事ではないなと思いました。
大変な体験をされたんですね。
明日からは佳い日が続きます。
遅くに失礼いたしました。
by 楽しく生きよう (2011-12-31 23:46) 

toyo

あけましておめでとうございます。
今年も良い年でありますように。
by toyo (2012-01-01 00:09) 

Labyrinth

BLOG拝見して驚くばかりでした・・・
いっぷく さんにとって、より良い年でありますように!
今年も、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
by Labyrinth (2012-01-01 00:52) 

かみ

びっくりしました・・・
昨年は誰にとっても人の命、自分の命を考え直す年になったと思いますが、自分や家族に災いがふりかかる覚悟など到底できるものではありません。。。
ですが、わずかでも自分のこととして受けとめて、いっぷくさまとご家族のために心をこめてお祈りします。折れない心は周りの支えあってこそと身にしみた一年でもありましたから。。。
みなさまにとってよい年でありますように。。。
by かみ (2012-01-01 16:55) 

九子

大変な経験をされ、何と申しあげてよいやら言葉に詰まります。
奥様とご子息様が一日も早く元通りの状態に回復される日が早からんことを祈らせて頂きます。

支援のお話、自分が悪い支援者にならないように心がけたいと思います。

ご自愛くださいませ。
by 九子 (2012-01-12 22:23) 

404

ここでもその通りの現実を見ているけれど、強く生きることよりも大切に生きる事が必要だと思っています。
コメントだからもちろんなり代われないけれど、2012に切り替わり気持ちが伝わればいいなと思います。
by 404 (2012-02-03 07:19) 

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