戦後史上、厄介な問題のひとつが朝鮮半島問題である。そのひとつが拉致問題であるが、今回は著作権問題でもめそうな判決が話題になっている。
最高裁第一小法廷は12月8日、著作権管理会社の「カナリオ企画」などが、北朝鮮の映画を無断でニュース番組に使用され著作権を侵害されたと、日本テレビとフジテレビを提訴していた上告審で、「国家として承認していない北朝鮮の著作物の保護義務はない」と原告側の請求をすべて棄却した。
原告側は、「北朝鮮もベルヌ条約に加盟しており、日本でも北朝鮮著作物の保護義務がある」と主張して、放映差止めと損害賠償を求めていた。
ベルヌ条約というのは、著作権保護の国際条約だが、判決によれば、「日本は北朝鮮を国家として承認しておらず、条約による北朝鮮著作物の保護義務は負わない」という。
筆者は、北朝鮮の肩を持つわけではないが、この判決を支持しない。
なんとも政治的な判決であり、司法権の独立すら疑わざるを得ない。
承認と著作権侵害との兼ね合いは政治的な問題であり、裁判は、著作権侵害の事実があるのかどうかをまず指摘すべきだろう。
そんなことをいっていたら、逆に北朝鮮が日本の著作物に対して同じことを行う口実を与えるだけではないのか。
国家として承認していないことを理由として、国際的に守るべきルールを保護にしていたら、それこそ永遠に承認されない悪循環にもなるだろう。
ネットの掲示板では
「日本語の著作物が流行したら困るのは北朝鮮。経済的な彼我の差と民主主義が伝わるだけだから、北朝鮮が日本の著作物に触れることはないから心配ない」
という楽天的な書き込みもあるが、それはおそらく違うだろう。
「経済的な彼我の差と民主主義」の記述を歪曲したり、自分たちに有利な部分だけを強調するような改ざんを行ったりするのも著作権侵害だということを、この意見の持ち主は気づいていないようだ。
わが国は、守るべきことは守った上で、正々堂々と北朝鮮を批判すべきではないのか。
屁理屈を言っていたら、相手も屁理屈を言うものだ。
拉致や核の問題を抱えるのだから、つまらないことで足元をすくわれるようなことはすべきではない、と思うがどうだろうか。
2011-12-11 01:51
nice!(46)
コメント(1)
トラックバック(0)
共通テーマ:学問
う~む、私もいっぷくさん同様に疑問を感じます。
何だか犯罪者に人権は無いと言っているみたいで。
by えがみ (2011-12-11 23:34)