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「小選挙区制度を考える会」を考える [政治]

戦後史上、選挙制度が何度かかわったが、現在採用されている小選挙区比例代表並立制ほど、導入の際にもめたものはない。

それは、同制度そのものや、導入の経緯に様々な矛盾や動揺があったからだ。

明日、民主党・渡部恒三最高顧問や自民党・加藤紘一元幹事長らが、衆院選挙制度を中選挙区制に変えることを目指す超党派議員連盟「小選挙区制度を考える会」(仮称)を発足させるという。

代表世話人には渡部、加藤両議員に、民主党・中野寛成前国家公安委員長、自民党・甘利明元経済産業相、さらに公明党・富田茂之幹事長代理、たちあがれ日本・園田博之幹事長もオブザーバーとして加わる見込みという(時事通信)

選挙制度改革が言われるようになったのは、一票の格差が問題になっていることが背景にあるが、少数野党は選挙制度の矛盾をいい、民主、自民両党は現行制度下での「1票の格差」是正を優先して対立していた。

そこで、超党派の議員連盟ができたことに意義がある、というわけだが、そのメンバーが「代表世話人」では、マッチポンプのそしりを免れないだろう。

衆議院の小選挙区制は、93年に「二大政党」制と一体になって企図されたものである。参議院で否決されたにもかかわらず、土井たか子議長がわざわざ蒸し返し、当時の河野洋平・自民党総裁、細川護煕・日本新党代表との三者で無理やり決めた。

今回の中心メンバーである渡部恒三議員は、当時の自民党・梶山静六幹事長が(絶対に与野党合意できない)単純小選挙区制を総務会で決めた際(要するに自民党は小選挙区制に賛成ではなかった)、宮沢喜一内閣の不信任案に賛成して自民党を離党。つまり、こんにちの小選挙区比例代表並立制を押し通した張本人の一人である。

加藤紘一議員は、「(小選挙区制で)1、2回やらせてみよう」と、消極的に渡部恒三らの立場を認めた事実がある。

オブザーバー参加の、たちあがれ日本・園田博之議員だって、「政治改革」を名目に離党して新党さきがけを結党。細川護煕や渡部恒三らの勢力とともに小選挙区比例代表並立制導入に賛成している。

小選挙区比例代表並立制が、「死票が多い」「議席占有率と得票率に乖離がある」などといわれている。

小選挙区比例代表並立制の矛盾は、「見直し」論者の意図や自覚に関わらず、いわれているとおりである。中選挙区制が、よりましであることも確かだ。

が、それは当時から言われていたことで、彼らはそれを承知で同制度を推し進めてきた。

今更それを反対する音頭とりをするといっても、有権者は彼らの「変わり身」に戸惑うばかりである。


民主党の背信と小選挙区制の罪

民主党の背信と小選挙区制の罪

  • 作者: 佐高 信
  • 出版社/メーカー: 七つ森書館
  • 発売日: 2011/03/02
  • メディア: 単行本



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