戦後初の首相靖国参拝 1984,1,5
「戦没者に敬意と感謝の誠をささげたい思いは変わりなく、個人として参拝するつもりだ」(2002年5月9日、衆院本会議)というタンカをきった小泉純一郎首相の靖国神社参拝は記憶に新しい。
有事法制上程とともに、タカ派としてだけは指導力を発揮する同首相らしい唐突な参拝といえたが、同首相の首相就任後の靖国参拝自体は2度目であり、もともと首相就任者の参拝自体、実は戦後史上初めてではない。
靖国神社の閣僚参拝は、憲法の「政教分離」に抵触する行為ということで、過去の首相は参拝を見送るか「私人」としての参拝にとどめていた。
政府自体が「違憲ではないかとの疑い」を否定できないとしていた(80年11月)からである。
しかし、中曽根康弘はあえて首相として参拝したのがこの日であった。
しかもそれだけでなく、公式参拝合理化のために、官房長官の下に懇談会を設置して公式参拝の合憲性を検討させようとした(8月3日)。改めてそのタカ派ぶりが国会の内外で問題になった。
ただし、当時の中曽根康弘首相と、以後の、たとえば小泉純一郎元首相とを「自由民主党タカ派政治の流れが続く」と、単純に一本の直線で結ぶのは現象論にすぎないだろう。
冷戦構造といわれた米ソの対立を軍事的テーマとしていた当時と、現在とでは客観的に見て社会情勢は異なっているからだ。
小泉純一郎首相の「タカ派」ぶりは、中曽根康弘首相時代とは別の視点や性格ーたんなる右翼的反動ではなく、新自由主義的な必然性をもった戦略ーを見ておくことも戦後史として、もしくは政治分析上必要な試みといえるだろう。
2010-12-13 13:00
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微妙な違いですね
by utamaroco (2020-06-17 23:59)