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『家政婦は見た!』を山口組分裂報道の日に鑑賞する [懐かし映画・ドラマ]

家政婦は見たタイトル

『家政婦は見た!いのちを張った好奇心、秋子が惚れた極道の危険な秘密』(1992年、テレビ朝日)を、山口組分裂報道でもちきりの今日、観ました。昨日のこのブログの記事は山本小鉄について書きましたが、昨日以来のニュースは、同じ「山本」でも、下は「小鉄」ではなく「健一」、すなわち山健組系の山口組脱退について報じています。(画像は劇中より)



安原会の流れをくむ山健組、そして宅見組といえば、三代目若頭の安原会会長、そして初代山健組組長、四代目若頭補佐と五代目組長、五代目若頭など、長年山口組を支えてきた保守本流という認識がありました。

ですから、山一抗争の時とは反対の立場(脱退する側)にたっているとの今回の報道に、門外漢ながら時のうつろいを感じています。

初代山健組組長というと、鶴田浩二殴打事件、美空ひばり名指し慰問エピソード、テレビカメラを初めて山口組本部に入れた抗争終結記者会見など、一般の社会でも取り沙汰されることが多い人でした。

神戸芸能社は芸能界と暴力団の関係を語るキーワード

『仁義なき戦い』広島代理戦争のきっかけとなった、市内タクシー会社社長を、自分のもとの親分だった安原会会長との兄弟盃につなげたともいわれています。

加藤武、訃報で『仁義なき戦い代理戦争』を思い出す

仁義なき戦い・代理戦争タイトル

今回の「分裂」といわれる報道が注目を集めているのは、ひとつには、一般の人を巻き込む抗争になっては困るということがあると思うのですが、それとともに、裏社会で普段は見えない人たちだからいっそう興味深い、ということもあるのだろうと思います。

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ヒューマンインタレストやピカレスクロマンだけでいいのか?


たとえば、大阪にあった山口組直系団体を密着取材した昔の番組がYoutubeにアップされています。

閲覧回数の多さとともに、web掲示板のスレッドがいくつもたって、いまだに更新されている“人気コンテンツ”です。

ヤサ男の若頭が、物静かに、でも小指のないのを見せながら、「ヤられる前にヤる」と言い

舎弟団体の幹部が「ヤクザは社会の排気ガス」と自嘲気味に語り、

カメラに緊張していると思われる人の良さそうな組長からは、「堅気さんが一生働いても家は建たんです。でもヤクザやって一発バチッと当てたら……」「運の悪い者は何をやっても捕まる。運のええ者は何をやっても捕まらん」

など、名語録が次々出てきます。

私も、それ自体は面白い(interested in)なあと何度も観直してしまいました。

でも、それら「名語録」や、放免祝い、杯事などは、暴力団の「一般人に見せても構わない」一面でしかありません。

決して、抗争や行動原理に鋭く迫った、というものではありませんでした。

戦争の悲惨さを見せずに、美談仕立てにするのと同じで、一面的な報道は問題があるようにも思います。

抗争以外にも、実際のヤクザの世界は、「政治」もあれば「裏切り」もあるといいます。

それも含めて、「知りたい」という気持ちが多くの人にはあるのだと思います。

人はなぜヤクザになるのか
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今回の分裂報道では、興味本位や、無難な一面だけでなく、そうしたところまで踏み込み論考するメディアがはたしてあるでしょうか。

任侠ヤクザ対経済ヤクザ、盃を交わしても裏切りあり


『家政婦は見た!いのちを張った好奇心、秋子が惚れた極道の危険な秘密』は、放送されたのが1992年。

同年、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、いわゆる「暴力団新法」「暴対法」「暴力団対策法」とよばれるものができました。

ストーリーは、石崎秋子(市原悦子)が、新宿都庁の近くに本部を構える、法人登記はしているものの実態は暴力団の家政婦に行きます。

先代組長(浜村純)の娘(金沢碧)と結婚した現組長(荻島真一)ですが、先代は昔気質の武闘派、現組長は盃外交の経済ヤクザでウマが合いません。

そこへ、昔気質の若衆(中条きよし)が出所します。

中条きよしは、関西の団体から体を張って縄張りを守った勲章としておつとめをはたしてきており、先代組長(浜村純)や娘(金沢碧)のお気に入りのため、現組長(荻島真一)にとっては、舎弟盃は交わしているものの目障りな存在です。

そこで、その関西団体と裏で手を握っている現組長(荻島真一)は、舎弟(中条きよし)のタマを関西にとらせようとします。

秋子(市原悦子)は、当初、任侠の美学を持つ若衆(中条きよし)に入れあげ、太ももにニセのイレズミまで描いて若衆(中条きよし)に協力します。

が、若衆(中条きよし)が、先代組長(浜村純)の娘(金沢碧)と関係しながら、その娘(小高恵美)とも関係していることに失望。また、タマを取ることを当たり前と考えるヤクザの論理にはついていけないと目が覚める展開です。

あくまでも娯楽性を重視したドラマですが、任侠ヤクザ対経済ヤクザ、盃を交わしても裏切りありなど、一部で言われる暴力団のエピソードを描いているので、興味深く見ることができます。

今、おすすめの一作です。

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