『ハレンチ学園』エッチから戦争バイオレンスに [懐かし映画・ドラマ]
『青春喜劇 ハレンチ学園』(1970年、日活)を観ました。たまにはバカバカしいものを観るのもいいかなと思いまして(笑)……。同作は、当時『少年ジャンプ』に連載されていた同名の永井豪原作のまんがを映画化したものです。教職をからかったり、スカートめくりや女子生徒の裸が出てきたりする描写について、PTAや教育委員会からだいぶ叩かれたことで、後半は質が変わってしまった作品です。(画像は作品から)
ストーリーは、私立聖ハレンチ学園の、タイトル通り破廉恥な学園生活を描いたナンセンスマンガが始まりです。
当時、流行したスカートめくり。流行させたのは、このマンガかもしれません。
そして、教職員が、奇妙奇天烈な人々ばかり。
口の周りにひげを生やし、虎の毛皮を着て、原始人のような風貌をしているヒゲゴジラ(吉永さゆり)
名前は女性のようでも、もちろん男です。映画では藤村俊二が演じています。
丸越デパートと表示されているエプロンをフンドシにして、その上には何もはかない(一応広告塔)丸ゴシ(荒木又五郎)。小松方正の役です。
小さなテントのような紅白のパラソルを身にまとうパラソル。由利徹が演じています。
そんな学校、あるわけないのですが、それが、教職という権威をからかったと思われたようです。
性的描写、そして教育現場の描き方という2つの「タブー」に触れたため、『ハレンチ学園』については、当時、賛否両論がありました。
どちらかというと、前者が問題にされていましたが、真実は潜るのが世の常です。
叩く者の本音は、教職を立派なものに描かなかったことに対する圧力だろうと思います。
当時、教員出身の教育評論家、カバゴンこと阿部進氏などは、それを感じていたので、同作を擁護していました。
カバゴンは、今で言うと尾木ママのようなポジションです。
作者も、反発がエスカレートしてしまい、最初は他愛無いエッチ学園マンガに過ぎなかったのに、後半は、ハレンチ学園を教育界の恥だと目の敵にする大日本教育センターを登場させ、ハレンチ学園と殺し合いの戦争になるというトンデモないストーリーになってしまいました。
そして、登場人物の子どもたちが首をはねられたり、胴体がまっぷたつに割れたりして死んでいくシーンが繰り返されました。
作者の『ハレンチ学園』叩きに対する抗議を、そのような残酷なストーリーで表現したのでしょう。
出演者は豪華でもストーリーは……
映画の方は、原作後半の戦慄ストーリーは一切含まれておらず、もっぱらぬるいエロとナンセンスです。
上記の出演者のほか、西部劇かぶれの教師・マカロニに宍戸錠、園長に上田吉二郎、赴任してきた新卒の若い女教師にうつみみどり(現うつみ宮土理)、ベレー帽を被った教師・木戸に大泉滉、職員に左卜全、PTA会長に三遊亭歌奴時代の三遊亭圓歌が出ています。
生徒は、その後、テレビ版でも同じ役を務めた柳生みつ子の児島みゆき(現児島美ゆき)、その父親がなべおさみ、母親(父親ではない)がミッキー安川、祖父が十朱久雄……。
男子生徒の中心的存在の山岸八十八に雷門ケン坊、精肉店を営む八十八の父親が石井均、母親が小桜京子、その他、小松政夫も出ています。
考えてみると、出演者は当時の売れっ子喜劇人を揃えています。
でもストーリーは大したことありません(笑)
学園旅行と称して、生徒から多めに金を巻き上げ、盗んだ移動スーパーマーケット車両で目的地につき、先生たちは芸者遊びに明け暮れるという滅茶苦茶なストーリーです。
でもまあ、原作のナンセンスを実写化したらそんなものかもしれません。
そして、何かというと、先生と生徒が争っています。
当時、学生運動が盛んだったので、その影響、というかパロディでしょうね。
昔の映画の楽しみといえば、女優の若いころを拝めること。
一般社団法人・日本喜劇人協会副会長の小桜京子は女ざかり……という表現はセクハラでしょうか?
うつみみどりは、私が子供の頃のロンパールームのお姉さんなので、愛川欽也夫人になってからしかご存じない方とは、多少異なる思いがあるかもしれません。
本作では、かなり露出していました。若かったんですね。
児島みゆきは、このとき18歳ですから、そりゃ、はつらつとしてますよね。
とくに深い感慨も持ちようがありませんが、懐かしさもあり、気分転換にはなりました。
Facebook コメント