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ホリエモン「文春は結構敗訴している」発言の虚実 [芸能]

ホリエモン「文春は結構敗訴している」発言の虚実

ホリエモンこと堀江貴文さんが、今回の松本人志さんの一件で、反文春の立場から、「文春は結構敗訴している」とYouTube動画で発言しています。古い情報ではありますが、それについて私の知っていることを述べてみたいと思います。

ホリエモンこと堀江貴文さんは、もともと松本人志さんの笑いを評価していませんでした。

しかし、今回はそのことよりも文春憎しの感情のほうが強いようで、「文春は結構敗訴している」と、YouTubeの動画で発言しています。

ただし、「結構」とはどのくらいなのか、具体的には述べていません。

先日書いたように、かつて文藝春秋社の法務部の方を、初めて表舞台に引っ張り出してロングインタビューを実現したのは私です。

平成の芸能裁判大全 - 芸能裁判研究班
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その時点で、法務部は同社の名誉毀損訴訟の戦績を、「29勝15敗5分け」と答えています。

5分けというのは、どちらにとっても意味のない和解、つまり訴訟の争点には一切触れず、お互い喧嘩しないようにやりましょうみたいな抽象的な手打ちです。

名誉毀損裁判で、勝率.659というのは、「善戦」だと私は思います。

10割でなければおかしい、と思いますか。

そう思うのは、裁判、とりわけメディアの名誉毀損裁判というものをご存知ないからです。

取材源は秘匿するのが掟なのに……


誤解されている方もおられますが、民事裁判というのは、真実が明らかになり正しいものが勝つ、とは限りません。

あくまで、裁判官へのプレゼンの上手いほうが勝つものです。

この点が刑事裁判と違うのですが、そもそも刑事だって、冤罪に基づいた誤まった判決はありますよね。

なぜかといえば、ひとつの裁判所に10人の裁判官がいたとして、1人は明らかにおかしな判決を出すサイコパス(暴言多謝)、2~3人は、時々怪しい判決を出す人が含まれる、と、たいていの弁護士は言います。

つまり、争う内容以前に、どの裁判官にあたるかという、運不運の要素が入ってくるのです。

しょせん人間が裁く仕組みってそんなもんなんです。

逆に言えば、普通に判断したら負けるものでも、ワンチャンあるぞと濫訴するやつがいるのです。

そして、文藝春秋社の「15敗」の内訳は、おそらく次の2点だと思います。

1.話を盛ったところを争点にされた
2.ほんとうの話なのに、証人を出せなかったことで、真実相当性が立証できなかった

私も全部調べたわけではないですが、記事は取材やタレコミから始まりますから、100%創作することは考えにくいです。

ただ、学術論文ではなく大衆雑誌ですから、どうしても読み物としての色を付けることになり、相手からそこを争点にされてしまうことはあると思います。

たとえば、ジャニーズとの裁判も、主たる争点である、今風に言う「セイカガイ」は、100%文春の記事が認められ、ジャニーズ事務所の訴えは棄却されています。しかし、その記事の「書き方」の部分で、一部行き過ぎたところがあるとされ、それは名誉毀損として120万支払えと判決されています。

問題は「2」ですが、なぜ証人をだせないかというと、情報源の秘匿は、取材活動の掟だからです。

ジャニーズ裁判にしてもね、14.5歳の子どもを法廷に引っ張り出してきて、「ケツを貸したのか。全部正確に思い出せ」なんて尋問されるのです。

それに答えないと、メディアの側が負けてしまうんです。そんなばかなって話です。

よって勝敗は弁護士のテクニックと、裁判官の心証なんです。

そんな中で、.659の勝率というのは、善戦していると私は感じたわけです。

そりゃ、100%勝訴になるような、ガチガチ完全無欠の記事が望ましいですよ。

でも、そんな無難なものなんてそうないですよ。名誉毀損との衝突やリスクがあっても、風穴を開けなければならないときってあると思います。それで社会は前に進むのです。ジャニーズ事件がそうだったでしょう?

裁判は不毛な営みだと思います


余談ですが、本書はその他、過去に裁判ざたになった芸能人の事件をまとめているのですが、結構妻の筆が走りまくりまして、私がハラハラしたのを覚えています。

たとえば、美川憲一の金銭問題事件では、

武士に二言はないというが、オカマはその限りでないらしい

なんて、おちょくった書き出しで始まるんですよ(笑)。おもしろすぎますよ。

やめろぉー、美川憲一にネジコマれたらどうするって当時心配しました。

でも、美川憲一さんは、そんな方ではありません。

所属事務所から独立の際に、嫌がらせとも思える裁判で高裁までやらされている(2015年)ので、訴訟の不毛さをご存知だと思います。

私も当時、スラップ訴訟を抱えて同じ立場だったので、美川さんの存在は心強く、それ以来、美川さんのファンになりました、

松本事件もね、松本さんは訴訟するのかな。

仮に勝ったところで、もうスポンサーも戻ってこないでしょうし、会社が見放し、大崎洋さんですらかばっていない以上、裁判によって、松本さんはダメ押し的に傷つく可能性があるわけですが、松本信者はそのへんわかっているのかな。

いずれにしても、事件内容にもよりますが、私はなんでもかんでも裁判すりゃあいい、裁判で完璧に解決、とは思いません。

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赤面症

吉本にハメられたという説も(-_-)
by 赤面症 (2024-01-14 01:21) 

mm

おはようございます^^
芸能界のことには付いて行けない無知ですが、
裁判ってそんなもんなのー?と初めて知りました。
今まで全然縁がないもので。
by mm (2024-01-14 06:15) 

pn

そこなんですよ、なんて言ったら良いんだ?門外漢が裁く判決って感じかな?法の上っ面だけはしっかり覚えているんだろうけど現状把握してないからおかしな判決出してる気がする。
by pn (2024-01-14 09:24) 

Take-Zee

おはようございます!
ホリエモンさんは時代の寵児でしたね・・・
今は何をされているんでしょう、また新しいこと
考えているにかな!
by Take-Zee (2024-01-14 09:52) 

プー太の父

すっかり遅くなってしまいましたが
今年も宜しくお願いいたします。
by プー太の父 (2024-01-14 13:00) 

おっつぁん

"真実か否か"と"勝つか負けるか"は確かに別問題です。
by おっつぁん (2024-01-14 17:09) 

いっぷく

立花孝志さんも仰ってますね。
「裁判所は、真実を明らかにするところではないと、どこの弁護士サイトも言っている」
https://www.youtube.com/watch?v=p_FCeK1hvfQ

あ、でも私の記事のほうがタイムスタンプは先ですからね。
ということは、立花さんの方が私の記事を参考にして……
そんなことないか(笑)
by いっぷく (2024-01-14 17:24) 

コーヒーカップ

ホリエモンも話半分で見ることはあります。
最近ヒロユキとかああいう人たちの話ってあまりって思ってます。
裁判所ってどう印象付けるかですね。
お金のことで訴えられましたが、結局自分が勝ちました。
当時若干お金持ってましたが、いかにこっちがお金がないようにさらに困ってるように印象付けるかでした。
松本人志、まぁダウンタウンに関しては昔からよく思ってないんで、今回はたたかれた方がいいって思ってます。


by コーヒーカップ (2024-01-14 18:28) 

tai-yama

紳助さんみたいに一気に身を引いてしまった方が
いいのかもしれません。
バイク事故多発とポスターがあっても件数は書かれないと・・
by tai-yama (2024-01-14 22:46) 

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