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まんが根本仏教(古谷三敏/ファミリー企画著、地人館編集、佼成出版社) [仏教]

まんが根本仏教(古谷三敏/ファミリー企画著、地人館編集、佼成出版社)

まんが根本仏教(古谷三敏/ファミリー企画著、地人館編集)は、三法印、縁起観、四諦、八正道、六波羅蜜などの教えを解説しています。専門の仏教書では敷居が高いと思う人でも、マンガで親しみやすくストーリーとして理解を助けてもらいます。



『まんが根本仏教』は、うんちくの漫画や『ダメおやじ』などの作品でおなじみの古谷三敏さん、ファミリー企画が作画し、地人館が編集。

立正佼成会教務局が監修し、佼成出版社から上梓しています。

出版者としての佼成出版社は、必ずしも立正佼成会や法華経の宣伝機関というわけではなく、幅広く仏教書について扱うので、私も勉強させていただいています。

そのひとつが、仏教用語入門をマンガで描いた本書です。

タイトルに有る根本仏教というのは、お釈迦さまの悟りや直説とされています。

諸行無常、諸法無我、涅槃寂静など……


本書『まんが根本仏教』は、文字通り仏教の根本にあたる教えを漫画で解説しています。

各話のキーワードを簡単にご紹介します。

簡単すぎて意味不明かもしれませんが、まあ日常的に聞くこともある言葉だと思いますので、それらについてマンガで説明している本だとご理解いただければ幸甚です。

諸行無常というと、私たちは、栄えているものが没落したときに使いますが、決してそれだけではなく、この世のものはどんなものでもたえまなく変化し続けているという事実を、ありのままに述べたもので、仏教の真理の一つなのです。

西洋では、ヘラクレイトスが「万物は流転する」と言っています。

洋の東西を問わず言われている、この世の真実(真理)ということですね。

諸法無我は、世の中のすべてのものごとは、つながりあっていて、個として独立しているものは一つもない、という意味です。

つながりあっている状態は、因果関係によるもので、それを因縁と言います。

これもヘーゲルが、「諸事物が相互連関の内にありお互いに繋がりあって生成し消滅する」と言っていますね。

涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)は、諸行無常や諸法無我と並んで、大切な教えをまとめた三法印のひとつと呼ばれています。

仏教は、他の宗教と違い、絶対創造主に差配されているわけではなく、自分の心の有り様や因縁で生き様が変わります。

しかし、どう生きても人生は「一切皆苦」といって、悩みや苦しみからは逃れられません。

その原因となる煩悩を棄てて、心が安らかに落ちついた、至福の状態になることを仏教は目指しています。

それが涅槃寂静です。

昔、俳優の沖雅也が、「涅槃で待つ」という遺言を残したことで話題になりましたが、涅槃寂静は「解脱」とも「悟りの境地」ともいわれるものです。

十二因縁とは、人間の苦の発生の原因とそれを滅する方法を説いたものです。

四諦(したい) とは、苦諦、集諦、滅諦、道諦とあり、人生が思い通りいかない苦しみについて、なぜどのように悩んでいるのかを明らかにして、どう解決すべきかを示すその段階の名称です。

そして、そのプロセスで問題解決するための「正しい修行」が、 八正道といいます。

八正道の「八」とは、

正見(正しい見解)
正思惟(正しい決意)
正語(正しい言葉)
正業(正しい行為)
正命 (正しい生活)
正精進(正しい努力)
正念(正しい思念)
正定(正しい瞑想)

の修行のことです。

六波羅蜜(ろくはらみつ)とは、日本の仏教の主流である大乗仏教の教えで、6つの善のことです。

この善行に励むと成仏できるという話です。

布施ふせ……親切
持戒じかい……言行一致
忍辱にんにく……忍耐
精進しょうじん……努力
禅定ぜんじょう……反省
智慧ちえ……修養

中には、日常的に異なる意味で使われている言葉もありますね。

そのへんは、いずれまた記事にしたいと思います。

立正佼成会と本書


版元の運営団体である立正佼成会というのは、法華系の在家団体です。

古谷三敏さんご自身は、立正佼成会の会員のようですね。

私は詳しくはないのですが、YouTubeチャンネル『大人の教養TV』によると、お布施(会費)をガツガツ徴収しないことで、財政的にあまりいい状態ではないとのこと。


どことは書きませんが、新宗教の教団も色々ですね。

余談ですが、立正佼成会で思い出すのは、佼成学園を舞台にしたドラマ『これが青春だ』(東宝/テアトル・プロ、日本テレビ、1966年11月20日~1967年10月22日)です。

青春学園ドラマが、佳境に入ると突然、走り出したり、喧嘩したりして、スッキリしたところで仲良くなる、というパターンは定番ですが、その始まりは、第2回のクライマックスでした。

教室に入らないで校庭で寝そべっている劣等生(土屋靖雄)を、大岩先生(竜雷太)が迎えに来ると、劣等生は先生から逃げるように突然走り出し、先生が追いかけるのですが、2人は校庭を何周か回っているうちに、いつのまにか所期の目的を忘れて楽しいマラソンごっこになり(笑)、いい加減疲れてきたら生徒の機嫌が治って教室に戻ってしまう「なんじゃそりゃー」の展開。なんか理屈抜きに楽しくなる話でした。


まだ当時は、校舎は木造でした。

OBの方は、なつかしいんじゃないかな。

話を戻せば、仏教とはなにか、という導入をどこにしたらと悩んでおられる方には、根本仏教を漫画化した本書は読みやすいのではないかと思います。

まんが根本仏教 - 古谷 三敏, ファミリー企画, 地人館
まんが根本仏教 - 古谷 三敏, ファミリー企画, 地人館
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赤面症

ダメおやじの作者が仏教マンガとは意外・ω・
by 赤面症 (2023-12-03 01:10) 

Take-Zee

おはようございます!
失礼なコメントになってしまいますが・・・
漫画でもこれだけの知識を得られるんですね!
食わず嫌いしないで買ってみようかしら (^∧^)!
by Take-Zee (2023-12-03 08:01) 

pn

いやホント諸行は無常なんだけど認めたくないんだろうね、変わる流れ、変われない自分(^_^;)
by pn (2023-12-03 09:54) 

ムサシママ

簡単すぎて意味不明? 難しすぎて意味不明です
何となく流れに逆らわず生きている私は仏教ではどの位置に属すのかな~?
仏教の範囲外でしょう
by ムサシママ (2023-12-03 16:43) 

tai-yama

「大事な話がある」と女の子に喫茶店にさそわれたら
立正佼成会への勧誘だったと言う(笑)。
by tai-yama (2023-12-03 23:08) 

itomaki

仏教用語って、説明してもらえればわかるような。。でもわからないような・・です。
by itomaki (2023-12-04 00:21) 

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