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退行睡眠療法は記憶へ遡らせる催眠術、前世催眠療法ともいわれる [生活]

退行睡眠療法は記憶へ遡らせる催眠術、前世催眠療法ともいわれる

退行睡眠療法という、幼児期の感覚、感情、記憶へ遡らせる(年齢退行)催眠誘導の使い方をストーリー化したのは『飢餓の家(1)』です。なかのゆみさんが、ぶんか社から上梓しています。前世催眠療法ともいわれますが、その真偽と可能性はどうでしょうか。

退行催眠療法(ヒプノセラピー)を、ご存じですか。

現在抱えている原因や対策不明の悩みについて、本人も意識していないような、潜在的な昔の記憶を呼び覚まして、それを沈めたり消したりするなどの解決を試みることを標榜する催眠療法です。

昔の年齢(の記憶)に戻る、という意味で「退行催眠」なわけです。

で、確度はわかりませんが、一部には、それが幼少時の記憶にとどまらず、前世の記憶まで残っているという説もあり、前世療法、前世催眠療法、なんていう言い方もあるんですよ。

後半にも書きますが、こちらはどうなんでしょうね。

そもそも前世自体、科学的に証明されていないわけですから。

それはともかくとして、本書は、『恐怖の快楽』という雑誌に掲載されたなかのゆみさんの作品を全部で5本収録。

『ガラスの心』(2003年7月号)……過食症
『不快な日常』(2004年3月号)……若年性更年期障害
『壊れる体』(2002年3月号)……摂食障害
『痛い毎日』(2004年5月号)……若年性特発性関節炎 (リウマチ)
『私をコロさないで(元のタイトルは「許す勇気」)』(2003年4月号)……退行催眠(前世催眠)

その中で、『私をコロさないで』というストーリーをご紹介します。

親は許すべきものなのか


お腹の中の胎児のシーンから始まります。

「私、もうすぐ生まれるんだ。きっと楽しい世界が待っている。」

ところが、まだ28週でした。

帝王切開することになりました。

「経膣分娩よりリスクは最小限で止められますが、未熟児はその後、障碍が残る可能性があります。覚悟してください」と主治医

「はい」と母親。

帝王切開で取り出した赤ん坊は850gぐらい。

「この子を助けたって、どうせシぬだろう。適当に処置しておけ」と主治医。

しかし、未熟児は、「いやだ。私は生きるんだ」と心のなかで叫んでいます。

父親は、「ハズレの子だな。大凶を引いてしまった。どうせ長生きしない。障碍が残る可能性があるのなら、コロしちゃってください」と、200万円包んで主治医に安楽シを依頼します。

そういったやりとりは、全部赤ちゃんに聞こえています。

「ひどすぎるよ。お腹の中にいた頃は、2人で明るく笑っていたじゃないか」

主治医は、カネに目がくらんで、酸素吸入の管を抜こうとしますが、赤ちゃんは自らそれを拔き、自力呼吸を始めます。

「この子すごいよ。呼吸している」と感動する研修医。

父親は、男の子を欲しがっていたので、赤ちゃんが女の子だったこともがっかりしたようです。

母親は、密かに「かすみ」という名前を考えていました。

そして10年後。

かすみは成長して、成績もよく、ピアノも上手。

でも、心の隅にモヤモヤしている嫌な部分がある。

だから、人より頑張って勉強する。

いい子でいようとする。

母に褒められるよう努力する。

母は父の言いなり。

父は銀行マンで偉そうにしていて、あまり好きじゃない。

ストレスで、過食になったり拒食症になったりしたけど、父が躾のことで母に辛く当たるので、がまんしていい子になっている。

そして、かすみは27歳。

財務省のキャリア組に入った。

父より偉くなりたかったからだそうです。

そんなとき、父親が縁談を持ってきます。

「相手は婿に入ってもいいと言っている。スポーツマンだし、丈夫な子どもができると思うよ」

「丈夫な子ども」という言葉を聞いて、かすみは気分が悪くなりました。

いてもたってもいられないような気持ちになって、かすみ自身もパニック障害を疑います。

仕事を休み、生まれたときの病院に行きます。

心療内科の医師は、NICUのときの研修医でした。

もちろん、その時点で彼女は気が付きませんが、研修医の方は気がつきました。

「先生。私とても自分に自信が持てないんです。どんなに勉強しても、どんなに働いても、貯金しても、まるで心の中に黒い澱でもすみついているようなんです」

「退行催眠でその原因を探ってみましょうか」

医師は、退行催眠をかけ、かすみは、だんだん過去の記憶を話し出します。

「かすみちゃんは、今5歳です。なにをしていますか?」

「ピアノの練習とお受験の勉強。お父さん、『やっぱりこの子はバカなんだ』と言ってる。お母さんも私を叩いて勉強させるの。痛いよ、お母さん」

そして、問題の0歳時に……

「お父さんが、私をコロしてくれって言ってる。人工呼吸器を先生が抜いても、私生きてやる。私、お父さんとお母さんと会いたかったのに、コロさないでよ」

「そうだったのか。丘先生がそんなことを……。よく頑張って、自力呼吸をして大きくなってくれたね。赤ちゃんなのに、大変なショックを受けていたんだ」

かすみは退行催眠で、当時の研修医が、今の医師であることにも気が付きます。

「先生、父は自分の子供なのに『大凶』なんて許せない。親の資格ができてないわ」

「そうだね。泣いていいよ、思いっきり」

かすみは家に帰ると、身の回りのものをまとめ、家を出ました。

以来5年、父親が電話しても出ないかすみ。

というか、一応電話番号は教えたんですね。

メッセージには、「母親が胃がんで、あと半年の命」と吹き込まれています。

病院に面会に行くと、ご都合主義の父親は、「戻ってきてくれ。昔のことなんて気にもしていなかった。医者には口止め料50万円わたしたのに」と言います。

この父親も大概ですね。

「めんどうな子はいらないという、そんな親は私もいらないわ。さよなら」

しかし、母親はその後、2年たっても生き、父親が長々と謝罪の手紙を送ってきたことで、かすみは両親を許してしまいます。

憎しみからは何も生まれない、というのですが、うーん、最後だけちょっと白けた(笑)

だって、水に流すだけでも、何も生まれないと思いますよ。

同じことを繰り返すだけじゃないのかな。

何らかの「けじめ」がないと、なにかあるたびに、昔を思い出すということだってないとは限りません。

手紙一本とは、ずいぶん安い「憎しみ」だったんですね。

ま、いいか(笑)

退行催眠は前世もわかる?


さて、退行催眠は前世もわかるとネットで宣伝している人もいますが、どうなんでしょうか。

たとえば、以前、『輪廻転生について、仏教関係者などのYouTube動画から確認する』の記事でご紹介した、『ヨガ・シャラ細江たかゆき』チャンネルの細江たかゆきさんは、「里紗さん(仮名)という女性について、退行催眠によってネパール人の前世を呼び覚ました」とする動画を紹介しています。


これについては、信じる人もいる一方で、否定的な批評もありますが、どうなんでしょうね。

「生まれ変わりがある」と思えたメリットとして、細江たかゆきさんは次の点を枚挙しています。

人生に対する幸福度が高まる…… 現在の苦労や立場は、次に繋がる「意味のあるもの」という思いが生じる
死への恐怖が減少……次の人生がある
自己や自分の人生への価値増大……生きる価値を儚む自殺・無差別殺人等が減る
苦難を乗り越える力が高まる……ここで人生が終わるわけではないから、投げやりになるのはやめようと思う
他人に優しくなれる …… 色んな人に生まれ変われることがわかることで、他人を理解し寛容になれる
地球に優しくなれる……自分がまた生まれ変わる場所を大切にしようという気持ちになる

もちろん、これらは「もし輪廻転生があったら」という話で、本当に「ある」か「ない」かはまた別の話です。

ちなみに、前世という考え方は、輪廻転生という概念を仏教が持ち込んだから登場したように思われがちですが、輪廻転生は当時のインドにもともとあった民間信仰で、釈迦仏教が輪廻転生の立場に立っていたかどうかは、学界でも意見は分かれています。

みなさんは、前世は信じますか。

飢餓の家 (1) (ストーリーな女たち) - なかのゆみ
飢餓の家 (1) (ストーリーな女たち) - なかのゆみ
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コメント 6

赤面症

自分が覚えてなければ、前世があってもなくても意味がない\(^o^)/
by 赤面症 (2023-10-19 01:06) 

pn

胎児の頃の記憶の話はよく聞きますが素直にすげえなあと。
5歳10歳の記憶ですら曖昧なのでf^_^;
by pn (2023-10-19 06:17) 

Take-Zee

おはようございます!
帝王切開の場面の会話恐ろしいですね!
聞いていた胎児も・・
by Take-Zee (2023-10-19 08:00) 

starwars2015

人間の脳には覚えていないような記憶がギッシリ詰まって
いそうですね。
by starwars2015 (2023-10-19 08:05) 

扶侶夢

前世…。幻想を「有る」とする人にはあり、幻想を「無い」とする人には言葉のみがあると思います。
by 扶侶夢 (2023-10-19 09:27) 

tai-yama

財務省に入る様な子だから戻って欲しい。と言う
父親の見栄ですね〜。口止め料50万は効果が
なかったと(笑)。
by tai-yama (2023-10-19 23:15) 

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