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わいことヒトミさん(雪わいこ著)職場で出会ったわかりあいながらゴールイン [文学]

わいことヒトミさん(雪わいこ著)職場で出会ったわかりあいながらゴールイン

わいことヒトミさん(雪わいこ著)は、著者が同じ職場で出会ったヒトミさんと、わかりあいながらゴールインするエッセイ漫画です。実話であることや、ドロドロした三角関係などでなく、2人がいつもお互いを理解し合いながら関係を深める点が好評です。

わいことヒトミさんは、雪わいこさんが自らの体験を、エッセイ漫画としてまとめたKindle版です。

全然タイプじゃない職場のヒトミさんに恋して、どんどん思いが募って結婚まで突き進むわいこさんの話です。

恋の鞘当てだの、別れ寸前までいっしまうようなツンデレだの、三角四角関係だの、そういうあれこれのストーリーの紆余曲折はいっさいなくて、2人がお互いを見つめ、思いやり、距離を少しずつ短くして、心を許し信頼を深めていく日常を描く、シンプルな恋愛・結婚漫画です。

3巻で同棲、5巻で結婚するのですが、今回は1巻の、出会いと交際開始編をご紹介します。

変わり者同士のほんわかストーリー



「雪さん。絵描くのが好きなんでしょ。生産管理の人で、絵かきがいるんだよ」

新しい職場で、古株のおばちゃん従業員からヒトミさんを紹介してもらうことになったわいこさん。

ところが、手ぬぐいを頭に巻いて、不機嫌そうにベンチに座ってタバコを吹かしていたヒトミさんの第一印象は、怖そうでびっくり。

絵は繊細、仕事もテキパキでしたが、手ぬぐいをとると長髪だったヒトミさんは、わいこさんのタイプではなかったそうです。

でも、絵を教えてくれることがきっかけで、少し打ち解けるわいこさん。

そして、夢の中で、ヒトミさんにお姫様抱っこされて以来、ヒトミさんを意識し始めました。

まあ、夢というのは内在ですから、無意識の内に意識していたんですよ、わいこさんは。

ところが、非正規のわいこさんは、会社の業績が悪くなり、解雇されてしまいます。

「雪さん。社長から聞いたよ。今度飯でも行こうよ」と慰めてくれるヒトミさん。

解雇されたことも忘れて、わいこさんはうれしくなってしまいます。

わいこさんは、ヒトミさんの自宅にも行くようになり、お弁当なども作ってあげる関係になります。

「あの、俺の勘違いだったら申し訳ないけど、雪さん、俺のこと好きなの?」

2コマあって……

「……す、すっ、好きです……」

精一杯の力を振り絞って告り、ちらっとヒトミさんをみるわいこさん。

食べていた弁当の箸を落として、動揺しているヒトミさん。

つーか、ヒトミさんから聞いたことなんですけどね。

「俺のどこが」

「好きじゃなかったら、お弁当作って家に来ませんよ」

「……うーん。ごめん」

うっ

「今は妹にしか見えない」

それでも、平静を装うわいこさん。

「そ、そうですか。妹でいいんです。これからも仲良くしてもらえませんか」

「もちろん、これからもよろしくねー」

いやいや、ダメでしょう。

わいこさん、精一杯答えたんだし。

だったら、初めから聞くなよ。アンタから聞くなよ、ヒトミさん。

その時は頑張りましたが、親友キヨの前でワンワンと泣くわいこさん。

「でもさあ、今は妹にしか見えないっていわれたんでしょ」

「うん」

「だったら、脈あるよ。時間をかけていれば、絶対振り向いてもらえるよ。」

元気づけられたわいこさん。

めげすに、またヒトミさんを訪ねますが……。

「俺さ、結婚するつもり無いんだ。昔、絵ばっかり描いていたせいで失敗したことがあって、相手のこと全くかまってあげられなくてさ。だから、これからも一人がいいんだ」

「わ、私はマンガを描く人ですよ。その人と同じようにはなりません」

「雪さんも、いつかは結婚したいって思うでしょ。結婚する覚悟もないのに付き合うなんて俺にはできないよ。雪さんに無駄な時間使わせたくない。ここに来るべきじゃないよ」

「じ、時間の無駄になるかどうか、そんなの分からないじゃないですか。人の気持ちなんて変わるもんですよ。ていうか、私は好きでいてくれなくても一緒にいたいです。……帰ります」

しょんぼり帰り、橋の上で、「ヒトミのバカやろぉー。めんどくさ野郎がぁぁぁ」と怒鳴ります。


いったんは、別の面倒くさくない人を選ぼうか、なんて考えても見ますが、ヒトミさんのことを思い出すと、やっぱり忘れられません。

その後、外にも出ないでふて寝の日々を続けていたわいこさんを心配して、キヨが訪ねてきます。

「これ私の直感だけど、ヒトミさんから連絡くるよ。遅くて1ヶ月以内」

「だって、あっちから、もう合わないって言われたんだもん」

「それは本心じゃないよ。まあ気長に待ってようか」

と言っていると、LINEにメッセージが入ります」

「えっ、うそ」

「わはは、意外と早かったね」

公園であった2人。

「もっと怒ってるかと思ってた。俺から会わないって言ったから」

「いや、会えるのが嬉しくてー。もうそんな事忘れましたー」

「渡したいものあって」と、ヒトミさんが取り出したのは、自分のアパートの鍵です。

「私のこと好きになってくれたんですね」

「いや、まだそこまで好きじゃない」

おいおい、この期に及んでまだ落とすカー(笑)

「私をからかっているんですか。激おこですよ」

「ごめん。まだ正直、妹くらいに思ってさ」

いちいち言うか。

家に帰ってきて、床に入っても、まだ現実を疑うわいこさん。

「なんだか興奮して眠れない。ほんとにこれ、現実?」

そのとき、またLINEがピロン。

「もう寝たかな?いい夢見ろよ!おやすみー」

ヒトミカズヤさんからのメッセージ

それを見てねわいこさんは、改めて夢ではないことを喜ぶのでした。

自己肯定感が低い片親育ちが確実に幸せになる話


ことほどさように、わいこさんは、ヒトミさんの一挙手一投足に感激し、ヒトミさんへの評価に感激で目をうるうるさせるだけの漫画です。

わいこさんの「ささやかな日常」を喜ぶ姿は、たぶん彼女が父子家庭だからではないかと思われます。

そういう人の場合、自己肯定感とか、自己判断能力が低いんです。

親がひとりいなくなるのは、子にとって大変な不幸です。

そういう不幸を経験することで、何か自分で「こうしよう」「こうしたい」と思うことがあっても、することで、また不幸が訪れるのではないかと、いつも自分の欲望を合理的な根拠もなく控えめにするのが、習性になってしまうのです。

いつも、自分の判断に自分が怯えているのです。

ビクビクしているのです。

これは、その人のせいではなく、みんな親のせいなんですけどね。

本人の意図や自覚はわかりませんが、そんな片親育ちの影は漫画に描かれています。

ですから、わいこさんの人生は、不遇で大変だった。

だけど、真面目に生きていたら、いいことがあった、という話です。

余計な試練や波風抜きに、地味でもお互いの信頼関係を着実に深めていく、不純物一切なしのラブコメを読んでみたい、という方にはおすすめです。

ラブコメ、お好きではありませんか?

わいことヒトミさん - 雪わいこ
わいことヒトミさん - 雪わいこ
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赤面症

純愛なら同棲しないで即結婚すれば?
by 赤面症 (2023-10-11 01:08) 

pn

ヒトミさん何気で鬼畜、思わせぶりな態度しすぎ(笑)
追われる側の言い草と追う側の熱情、良いですね(^-^)
by pn (2023-10-11 07:10) 

そらへい

ひとえにわいこさんの人柄が
この関係を成り立たせてくれたのでしょうね。
by そらへい (2023-10-11 20:33) 

tai-yama

昔、サッカー漫画なのに、二人が見つめ合って
終わるだけの漫画があった様な気が・・・
ラブコメは好き好んで読んでみたいとは思わないと(笑)。
by tai-yama (2023-10-11 23:09) 

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