賢者の書(喜多川泰著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、人間は何度でも生まれ変われると確信できるファンタジー的自己啓発書です。ベストセラー『君と会えたから……』『手紙屋』の著者である喜多川泰さんのデビュー作です。
『賢者の書』は、喜多川泰さんがディスカヴァー・トゥエンティワンから上梓しているベストセラーです。
本書は、主人公の少年サイードが、おじいちゃんからもらった賢者の書を完成させるために、世界中を旅して、9人の賢者の教えをそこに書き記していく物語です。
毎日の生活が思うようにならないアレックスは、ある日、子供の頃遊んでいた公園で、14歳の少年サイードと出会います。
サイードは、9人の賢者と出会う冒険の旅を続けていて、この公園で最後の賢者と会うことになっているというのです。
旅を通じてまとめた『「賢者の書」』を最後の賢者が読んで、「人々を幸せに導くことができる」と認めてくれた時、修行の旅は終わるのだと言います。
アレックスは、サイードの許しを得て、サイードの旅の集大成である『賢者の書』を読ませてもらいました。
そこには、14歳の誕生日を機にスタートしたさまざまな冒険の物語と、8人の賢者からの学びがまとめられていました。
9人の賢者は、それそれ違った観点から人生を成功に導くために重要なことを教えてくれます。
本書は、そんな生きる気力が蘇ってくるようなファンタジー的自己啓発書籍なのです。
人生観を8回見直した末に……
出会う賢者ごとに、キーワードがあります。
1.第一の賢者の教え「行動」
行動の結果として我々が手に入れるものは、成功でもなければ、失敗でもない。 我々が手にするものは、一枚の絵を完成させるために必要不可欠な、パズルのひとピース。
大切なのは、必要なピースを集めるためにできるだけ多くの行動を起こすこと、そして、行動の結果返ってきたものをよく見て、どうやってこれを使うのかを考えることだ。
2.第二の賢者の教え「可能性」
人間には無限の可能性がある
不可能と思えるようなビジョンを実現する無限の可能性が自分にもあるということを正しく自覚することが、人生の成功につながる。
3.第三の賢者の教え「自尊心と他尊心」
自らの人生を素晴らしいものにするためには、これ以上ないほど自尊心を高めなければならない。
自分がかけがえのない存在であり、無限の可能性を持った唯一無二の存在であると、絶えず自らに言い聞かせる必要がある。
それと同時に、自尊心と同じ高さにまで、他者を尊ぶ他尊心も高める必要がある。
4.第四の賢者の教え「目標」
人生における成功を、何になるかに求める人は多いが、これになれたら成功、幸せなどという職業は存在しない。
なぜなら、成功は職業についてくるものではなく、人についてくるものだからだ。
まず真剣に考えなければならないのは、どんな人間になりたいのかである。
5.第五の賢者の教え「今」
人生というのは、一冊の伝記を完成させるようなものだ。そして、人生を成功に導くために今日一日のできることはただ一つ。
今日一日、成功者としてふさわしい過ごし方をするだけだ。
6.第六の賢者の教え「投資」
世の中の成功者と呼ばれる人のほとんどが、無一文からスタートして巨万の富を築き上げている。
ただし、彼らが投資したのは決して「金」ではない。 「自らの人生という貴重な財産」を、「時間という財産」を投資したのだ。
7.第七の賢者の教え「幸福」
人間は何を探して生きるかという点において、2つに大別される。
ひとつは、自分を幸せにすることを探す人々。 もうひとつは、他人を幸せにすることを探す人々。 どちらを考えるかによって、自分の所属するオアシスが決まる。
世の中の成功者はすべて他人を幸せにすることを探す人々。 ただし、頭ではいいことだとわかっていても、なかなか行動できるものではない。
8.第八の賢者の教え「言葉」
人生は、言葉によってつくられている。
その人に起こるすべての出来事は、その人が発したり、心の中で思い描いたりする言葉に起因する当然の結果に過ぎない。 そして人間が一番よく聞くのは、他の誰でもない自分の心の言葉である。
そして、最後の賢者からは、「感謝」「付与(利他)」「誕生(生まれ変わる)」などがキーワードになっています。
詳細を書いてしまうとネタバレになっしまうのですが、まあ、このキーワードをご覧になっただけでも、おおよそのことはわかるかもしれませんね。
「人間は何度でも生まれ変わる」ことのほんとうの意味
ファンタジーなストーリーなので、これこれこうしなさい、と押し付けているわけではないのですが、物語を通してポイントとなる「教え」は、
1.自らの人生の時間という財産を投資する
2.自尊と同じぐらい他尊の精神も必要である
3.何になりたいかよりもどうなりたいかだ
4.人生は自分の心の中の言葉を聞く、つまり自分の言葉で人生は作られる
5.人間は何度だって生まれ変わることができる
といったところだろうと思います。
まあこれは、私がいつも書いている仏教、とりわけ大乗仏教のお経に書かれている「利他の心」そのものですね。
そういう意味では、本書は仏教の教えを現代風の啓蒙書としたということだと思うのですが、ベストセラーになるということは、現代人はそれだけ生きることに悩んでいるのでしょう。
とはいっても、「人間は何度だって生まれ変わることができる」というのは、輪廻転生ではありません。
たとえばですよ、70歳の人が読んだとしましょう。
それまでの69年間が不遇だったとしても、その間のあれこれは、これからの新しい人生のためのピースにすぎない、というふうに発想を転換しましょう、と言っているのです。
70歳から仕切り直しではなく、これまでの人生の経験に加上する形で、全体としての人生を幸福に完成していけばいいと述べているのです。
もちろん、ではどうすればいいのか、というのは人によって違いますし、なかなか実践はむずかしいかもしれまん。
でもとにかく、「今まで不遇だったから、もう人生だめだ」ではなく、今までを生かした幸福な人生の構築を提唱しているのではないかと思います。
いずれにしても、人生が順風満帆で完全に満足できる、という人はたぶんいないと思います。
「自分の人生これで良かったのだろうか」「自分は一体なにをしているんだろうか」なんて考えることってありませんか。
そんなときに、心の整理と、これからの道筋を掃き清める意欲のために、本書は参考になるかもしれません。
ただ、第7の賢者も言っているように、行動しなければ、これらの学びは生きてこないでしょう。
仏教も、実践が全てだと言っています。
人生、ヤルかやらないかです。
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啓蒙書は買っただけで終わってしまうノウハウコレクターです(*^^*)
by 赤面症 (2023-07-14 01:07)
本に書いてるような
思慮深く生きていられたら
生きてこれたらなって思うのでした。
by コーヒーカップ (2023-07-14 02:19)
そーなんだよやるかやらないか、これに尽きる。
by pn (2023-07-14 06:26)
物語仕掛けの啓発本。
塾の先生だから高校生用に書いたらしいですね。
by おっつぁん (2023-07-14 21:24)