風見章子、“日本一上品で綺麗な95歳”といわれた「日本のお母さん」 [懐かし映画・ドラマ]
今日は風見章子さん(1921年7月23日~2016年9月28日)の生まれた日です。『おやじ太鼓』『ケンちゃんシリーズ』『刑事くん』『特捜最前線』『パラマウントベッドCM』など、齢をとっても一貫してチャーミングで上品なおばあさん役として活躍しました。(上の画像は以下のOGPより)
風見章子とは誰だ
風見章子さんについては、訃報の記事で、「歳を取るほどチャーミングになった女優」とご紹介しました。
⇒風見章子さん、歳を取るほどチャーミングになった女優
しかし、そういう書き方をしてしまうと、若い頃はよくなかったのに……、というニュアンスにとられかねないので、今回「齢をとってもチャーミング」と訂正させていただきます。
1938年(昭和13年)。日本のお母さん的女優だった風見章子(1921-2016)の若い頃です。
— 戦前~戦後のレトロ写真 (@oldpicture1900) March 19, 2018
この翌年内田吐夢監督の「土」で主演に抜擢され、90歳を過ぎるまで現役女優として活躍しました。
「ケンちゃんシリーズ」のおばあちゃんと言えば分かる人もいるでしょう。
それではおやすみなさい。 pic.twitter.com/eixF8LMQMo
風見章子は、エノケン一座に入団して女優生活をスタート。
1937年に、日活のオーディションに合格後は映画に出演。
日活、松竹、新東宝などの映画を経験し、1970年代以降はテレビドラマでも活躍しました。
有名な『おやじ太鼓』(1968年1月16日~10月8日、1969年4月22日~10月14日、松竹/TBS)が47歳のときでしたが、この時点で1899年(つまり19世紀)生まれの進藤英太郎と22歳差あっても夫婦役で、一方11歳しか違わない園井啓介が長男役ですから、老け役を早いうちから演じていました。
おやじ太鼓
昭和なテレビ(241)。
— オダブツのジョー (@odanii0414) January 12, 2018
「木下恵介アワー・おやじ太鼓」
(TBS・68.1.16?69.10.14)
建築会社社長の鶴亀次郎(進藤英太郎)は、昔気質のワンマン体質。やたらと怒り怒鳴る亀次郎を子供たちは、「おやじ太鼓」と恐れている。主演の進藤英太郎は当時68歳。 pic.twitter.com/yJLTnVah4S
『おやじ太鼓』は、木下恵介自身の原作(破れ太鼓)によるドラマ化で、映画化もされています。
東映の悪役であった進藤英太郎が、裸一貫から努力と度胸と知恵で、一代で建設会社を作り上げたブルドーザー社長を演じています。
とにかく気が短い、すぐ雷を落とす。いばる。カレーライスが好物。
でも人間的には完璧ではなくツッコミどころに満ちていて、夫人役の風見章子が笑顔でハンドリングしていました。
子供は7人。園井啓介、西川宏、香山美子、津坂匡章(秋野太作)、高梨木聖、あおい輝彦、沢田雅美です。
大家族なのでお手伝いさんがいて、菅井きんが演じています。
家制度の名残りとしての家父長的ふるまいと、一方で誰でも頑張れば可能性がある右肩上がりの高度経済成長という時代から、このようなキャラクターがウケたのでしょう。
刑事くん
「刑事くん」のお母さん役が強く印象に残ってます。心から御冥福を御祈り致します。
— 田中真士 (@hamanobaramon) October 7, 2016
☆風見章子さん死去 おばあさん役で晩年まで活躍 -朝日新聞 https://t.co/0K4LCm6jUO pic.twitter.com/SQ1jKKoUAq
訃報時に思い出されたのは、『刑事くん』(1971年9月6日~1976年11月29日、東映/TBS)です。
殉職した刑事の息子(桜木健一)が刑事になり、「人々を信じ様々な現実に直面しながらも事件解決にあたり、成長していく様を描いた熱血根性物」(Wikiより)で、風見章子は美容室をひらいているその母親役です。
第1部のオープニングでは、桜木健一が「母さん!辞令だ!刑事になったよ!」と叫び、第2部からは「母さん、行って来ます!」と話しかけるところから始まります。
風見章子の役どころは、非常に重要だったわけです。
特捜最前線
#特捜最前線 #大滝秀治
— 大田黒所長 (@Tokusou1977) April 17, 2018
127話「裸の街1・首のない男!」
船村一平最初の退職エピソード。
船村の妻が倒れ、病院に運ばれた。病名は癌。余命1年を宣告される。
わずかな望みに賭けて手術を選択する船村。妻は病名を知らず、手術台に上がる。
その頃船村は、人質を取り立て籠もる犯人と対峙していた… pic.twitter.com/QjJvNEl5lM
このブログでも何度かご紹介している『特捜最前線』では、おやじさんこと船村刑事(大滝秀治)の妻・加代役でセミレギュラー出演していました。
『裸の街』という前後編では、加代夫人が胃がんで余命1年となり、本人には知らせず手術をしたものの、状態は予想以上に悪く、腹水を抜いただけに終わってしまいます。
そのため、船村刑事は職を辞して、妻の残りの日々をともに過ごすことにします。
永遠の“お母さん”
享年95歳でしたが、『おやじ太鼓』の47歳から、ほぼ人生の半分は、お母さん、おばあちゃん役を演じてきました。
ご紹介した作品以外には、ケンちゃんシリーズのおばあちゃん役、パラマウントベッドのCMなどが知られています。
Wikiには、風見章子さんを「1960年代から1970年代にかけては「日本のお母さん」と認知されていた」と記載されていますが、孫がいる「おばあちゃん」の設定になっても、その上品さとチャーミングな佇まいは変わることなく90歳過ぎまで現役で活躍しました。
風見章子の思い出を、あげて、もらって - 風見 章子
刑事くん 第1部 コレクターズDVD VOL.1 <デジタルリマスター版> - 桜木健一, 風見章子, 名古屋章, 仲雅美
木下恵介生誕100年 木下恵介アワー「おやじ太鼓」DVD-BOX<8枚組> - 進藤英太郎, 風見章子, 西川 宏, あおい輝彦, 香山美子, 高梨木聖, 沢田雅美, 新田勝江, 菅井きん, 小夜福子, 竹脇無我, 園井啓介, 津坂匡章, 川頭義郎, 桜井秀雄
人生のほぼ半分を「お母さん」として生きてきた風見さんが、たくさんの人にその名を知られたというのが分かるようです
by ナベちはる (2020-07-23 01:42)
22歳差だけど夫婦役・・・進藤英太郎はそれはそれで嬉しかったんだろうなぁ(笑)
by pn (2020-07-23 06:11)
90歳まで現役とは凄いかただったのですね。
昭和のテレビ時代は必ずどこかで見かけた記憶があります。
by ヤマカゼ (2020-07-23 06:24)
名前はさっぱり知りませんでしたが、顔はよく覚えています。
by ヨッシーパパ (2020-07-23 19:11)
品の良い演技に好感が持てました。
お若い頃ははじめて拝見しました。
by 犬眉母 (2020-07-23 20:45)