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有名漫才師の孫による父親殺害事件、背景と判決を振り返る [トレンド]

有名漫才師の孫による父親殺害事件、背景と判決を振り返る

有名漫才師の孫による父親殺害事件を思い出しました。今日は東日本漫才界の一大勢力・青空一門の総帥であるコロンビア・トップライトのライトこと鳥屋二郎さん(1927年3月30日~2010年10月26日)の命日です。鳥屋二郎さんさんというと、昨年の孫による父親(鳥屋二郎さんさんの息子)殺害事件が記憶に新しい。



事件の経緯


コロンビア・ライトこと鳥屋二郎さんさんの息子は、慶応義塾大學卒業後、公益社団法人勤務、上田哲元衆院議員の秘書などを経て、不動産管理会社を起業しました。

そして息子の息子、すなわち鳥屋二郎さんさんの孫も付属校から慶應義塾大学に進学。

学歴だけを見れば華やかですが、それは父親の家族に対する暴力を伴う“恐怖政治”によって成り立っていた危ういものでした。

文系科目が苦手でいつも留年ギリギリだった孫は、父親と成績のことで殴り合いのけんかをしたと話したこともあったそうです。

ある時、孫の弟の服のことで、厳しく咎めだてた父親に対して、「いつも他人のことを考えているようなタイプだった」孫は、「感情的になって」父親を刺し、父親はそれが原因で亡くなりました。


要するに、毒親のDVや過干渉が破綻して殺害に至ったわけです。

それにしても、息子に殺されるほどの「毒」の背景とはどうなっているのでしょうか。

どうして毒親になったのか


コロンビア・トップライトというのは、もともと青空トップライトと名乗っていた漫才コンビで、といっても私自身はその時期の活躍は生まれていないのでわかりませんが、とにかく「青空」と名乗る多くの有名漫才師は、この方々の弟子です。


持ちネタは政治風刺が多く、コロンビア・トップはのちに参議院議員になりました。

しかし、どちらかというと政治的な見識はコロンビア・ライトこと鳥屋二郎さんさんの方が明確で、当時日本社会党を支持していたと記憶しています。

今回ご紹介する殺された息子さんを、地元の小中一貫の私立校に入れて、お子さんの教育も熱心でした。

ちなみに、私の妹が、学年は下ですが、息子さんとはその学校の同窓です。

左とん平さんの息子さんもいて、私は名簿を見て「ライトは鳥屋というのか、左とん平は肥田木というのか」と、スターの本名を知ると、Wikiのない時代ですから、秘密を握ったような気持ちになったものです。

それはともかく、当時の記事によると、殺された息子さんは自分の父親が漫才師であることにコンプレックスを抱き、それが我が子に対する度を越した厳しさにつながっていたと分析されています。

まあ私は身内が同窓だからよくわかるのですが、私立小学校に子どもを入れる家庭というのは、文化的にも経済的にも、今風に言えば上級国民です。

友達の家に遊びに行くときも、高価なお土産持参でした。

そんな環境ですから、自分の父親が芸人であるということにコンプレックスを抱くことは、けだし有り得る話だと思います。

そんな学校に入れてしまったのは、たとえ良かれと思ったことであっても、ライトさんは父親としてベストな選択ではなかったのではないかという疑念を私は抱きます。

我が家の場合、父親の浅はかな考えで鳥屋さん以上に分不相応ながら妹を入れてしまったのですが、妹は「お嬢さん的価値観」がその後も抜けずに、人生の選択やその時々のふるまいに矛盾や動揺が見られ、傍から見ていても決して幸福な人生とは言えず、さらにそのしわ寄せが兄である私のところにも及び、迷惑をこうむったことは多々あります。要するに妹本人も含めて、そのことでは誰も幸せになりませんでした。

有名人は、見栄もあるし、お子さんを守る意味からも私立を選択することがありますが、子には子の人生がありますから、スポーツや芸能活動を行うなど特別な事情がないのなら、普通に公立でスタートさせたほうがいいのではないかと私は思います。

結局判決はどうなったのか


気になる事件の判決はどうなったのでしょうか。

『俊のブログ』(https://ameblo.jp/042179/entry-12446355378.html)の傍聴記事によると、未決勾留170日を差し引かない懲役3年で、執行猶予が5年付いた模様です。

つまり、実刑ではなかったのです。

殺人としては最大限の情状酌量といえるでしょう。

事件は計画的ではない「もののはずみ」という面はありますが、毒親に対する長年の鬱積が暴発したことは間違いないことです。

週刊新潮WEB(https://www.dailyshincho.jp/article/2018/01220601/?all=1&page=3)によると、殺人事件は昭和30年代を境に減少を続け、現在は横ばいですが、家族間の殺人は減少せず、結果として比率を高め、2016年には55%が親族間の殺人だと警察庁が発表しています。

なんと、殺人事件の過半数が肉親や親類のトラブルとは……。

ともすれば、親を悪く言うことは間違っているような道徳観が我が国にはあります。

が、別に誹謗中傷ではなく、自分の親や先祖について、情とは区別して、事実と道理で是々非々の評価を行う冷静な目を持たないと、自分の人生、そして子孫への影響に責任を持てない、というのが揺るぎない私の意見です。

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コメント 9

Take-Zee

こんにちは!
トップライトはよく知る芸人ですが・・
ライトさんにこんな不幸な出来事があったなんて
知りませんでした。

by Take-Zee (2019-10-26 11:26) 

扶侶夢

>ともすれば、親を悪く言うことは間違っているような道徳観が我が国にはあります。
>自分の親や先祖について、情とは区別して、事実と道理で是々非々の評価を行う冷静な目を持たないと

まったくその通りですね。どこの国でも親子の確執とかありますが、“社会の正論であるかのような物言いでそのことを断罪する”というのは我が国の“意識の遅れ”のひとつですね。お隣の韓国もそんなところがあるかも知れません、儒教教育を受けた国のなごりでしょうか?

by 扶侶夢 (2019-10-26 12:09) 

pn

親は子を見ず子はそんな親を切り離す、殺しちまう位なんだから命の危険感じたんだろうなぁ。積年の恨みって爆発する時は血の雨降るか見捨てられるかか。
by pn (2019-10-26 12:17) 

えくりぷす

東MAXも学校でよく揶揄われていたという話をしていましたね。「その代わりお前んちより金持ちだ」と反論していたそうですが、コロンビア・ライトの息子さんの場合は言えなかったのだろうな、と思います。
by えくりぷす (2019-10-26 12:24) 

starwars2015

子育てって、ほんとに難しい大仕事ですね。
ただ厳しく育てればいいってものでもないし。
親子であっても、共に育つという気持ちで接することですかね。
by starwars2015 (2019-10-26 13:29) 

ヨッシーパパ

有名人の家族は、事件を起こすと、必要以上に注目されてしまうのですね。
by ヨッシーパパ (2019-10-26 17:01) 

coco030705

まことにおっしゃる通りだと思います。
小さい子も学生や若者に成長した人でも、毒親のせいで不幸になってしまうのは、本当に見るに堪えません。なんとかならないものでしょうか。
アメリカなどは毒親は、法律的に縁を切れるそうですが、日本はそこまで進んでいなくて、子供が不幸になっている事件が多いですね。残念なことです。
by coco030705 (2019-10-26 22:16) 

ナベちはる

厳しすぎてもダメで甘すぎてもダメ。子育ては非常に難しいですね…
by ナベちはる (2019-10-27 00:58) 

そらへい

トップさんの方が個性的で目立ってましたね。
一見地味でおとなしそうなのライトさんの一家にそんなことがあったとは知りませんでした。
by そらへい (2019-10-29 21:08) 

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