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山田スミ子訃報に『虹をつかむ男』『家政婦は見た!』を思い出す [懐かし映画・ドラマ]

山田スミ子

山田スミ子さん(やまだすみこ、公称1951年5月25日~2019年2月12日)の訃報で持ちきりです。山田スミ子は吉本新喜劇出身で座長も勤めた後、テレビや映画にも数多く出演。『家政婦は見た!』ではレギュラーで家政婦役を、『虹をつかむ男』ではお遍路のおばさん役を演じていました。(上の画像は左上のみGoogle検索画面より、それ以外は劇中から)



訃報では、長年介護をして、看取ってから自分の直腸がんがわかった、という書き方ですね。

介護にエネルギーを取られていなければ、早期発見できたかもしれないのか……などと憶測で語るのは、数行の報道だけではわからないという私がいつも書いていることと矛盾してしまいますが、73歳というのは今の平均寿命と医学では若かったのではないか、という思いがあるのです。




山田スミ子は吉本新喜劇時代は切れ役でしたが、岡八郎や花紀京時代の掛け値なし正真正銘のマドンナでもあり、外見のイメージよりもデフォルメしたようなキャラクターだったように思います。

吉本新喜劇の場合、必ずしもそう見えない人が、ブスだのハチノアタマだのと罵られる役になることがあります。

まあその意外性が面白いのかもしれませんが、そこから新しいものを求めたかったのか、吉本新喜劇を退団して、その後はテレビドラマや映画に出演しました。

Wikiに記載されている出演歴の中では、私が覚えているのは『虹をつかむ男』です。

『虹をつかむ男』




虹をつかむ男』(1996年、松竹)は以前もご紹介しましたが。西田敏行が、地方(徳島)の美馬というところでオデオン座という映画館主を演じています。

それを支えるメンバーが、田中邦衛、すまけい、松金よね子、鶴田忍、柳沢慎吾、神戸浩ら。

『男はつらいよ』のレギュラーメンバーも出演しています。

公開されたのが1996年ですから、もう20年以上前になります。

ああもうそんなになるかなあという思いがします。

『虹をつかむ男』は、1996年暮れに『男はつらいよ 寅次郎花遍路』が企画されていたものの、渥美清が亡くなったために実現不可能となり、出演予定だった俳優で急遽作られたそうです。

道理で、『男はつらいよ』のレギュラー総出演。

前田吟と倍賞千恵子の夫婦に、吉岡秀隆の息子という設定もそのままです。

そして、ヒロインの田中裕子の『毒』も山田洋次監督らしい展開です。

以前ご紹介した時も書きましたが、『虹をつかむ男』シリーズが、本作含めて2作で打ち切られ、『男はつらいよ』の後継シリーズになれなかったところから、本作のレビューには、西田敏行は渥美清になれなかった、というような書き方が多いように見受けられます。

しかし、30年間育てられたキャラクターと、急遽の代作を比較したら、それはちょっと西田敏行に気の毒な気がします。

ましてや、当時の西田敏行は、『釣りバカ日誌』があるわけですから、それとは全く別の新しいキャラクターを、観客に印象づけるのは時間のかかることだったのではないでしょうか。

山田スミ子は、冒頭のシーン、お遍路のおばさん役で出演しています。

山田スミ子

吉岡秀隆に、泊まるとこがないんだったら、一緒の宿で一緒に風呂に入ろう背中流すからと誘い吉岡秀隆が困るシーンです。

しかし、お遍路のおばさんにしては、髪の染め方など“おぐし”も、吉岡秀隆をさわる手も奇麗なのです。

まあ当時はまだ50歳ぐらいなのですが、初の女座長の挟持かもしれません。

ただ、ここで微妙に美魔女の気配を出してしまうと映画の展開としては複雑になってしまうので、もっとわかりやすく“小汚い”年配に徹して吉岡秀隆が嫌がることをわかりやすくしたほうがよかったかもという気がしました。

余談ですが、現代は美魔女傾向です。

倍賞美津子のように、大病後のシワのある素顔を隠さず表現する役者は大事にしてほしいですね。

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第8作目から最後まで演じきった『家政婦は見た!』


私は、テレビドラマで山田スミ子が最も自然に見られたのが、『家政婦は見た!』です。

『家政婦は見た!』は、テレビ朝日の『土曜ワイド劇場』枠で全26作放送されましたが、第8作目で市原悦子と野村昭子以外のレギュラー家政婦がなぜか入れ替わりました。

山田スミ子は、今井和子や白石まるみらとともに、その入れ替わった1人を演じています。

家政婦は見た!の山田スミ子

ここでは、最終作までレギュラーでしたが、「おばさん」をうまく演じられていたように思います。

ネットのニュースを見ると、『吉本新喜劇』以外では、この『家政婦は見た!』を紹介していますが、私もそれで良いと思いました。

山田スミ子さんの生前のご遺徳をお偲び申し上げます。

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末尾ルコ(アルベール)

山田スミ子訃報に『虹をつかむ男』『家政婦は見た!』を思い出す・・・『虹をつかむ男』は豪華なキャストなのですね。この作品についてはまったく知りませんでしたが、観てみたいものです。山田スミ子については、プロフィールを調べてみると、何本か出演作を観ておりますが、残念ながらご本人の気憶はないのです。またしてもわたしの注意力不足が露呈してしまいました(とほほ)。吉本新喜劇は安定したおもしろさがあるのですが、外見をことさらあげつらうギャグとか、エグいのを延々と見せられると辟易することもあります。禿げた人の頭頂を観客へ向けて何度も曝すとか、どこがおもしろいのかなと感じますね。笑うに笑えません。それと、始まって15分くらいはとても笑えるのですが、わたしの場合は20分くらいで飽きてくることが多いです。もちろん長きに渡って大人気を博しているのですから、わたしのように感じるのが少数派なのかもしれませんが。

『虹をつかむ男』は観どころ満載のようで、シリーズ物としては続かなかったということですが、逆に映画ファンにとっては強く惹かれる要素が多い作品のように思えます。わたしはまず、当時の田中裕子がどんな感じだったか、とても興味があります。『天城越え』などで、大女優・大スターの雰囲気十分だった田中裕子なのですが、ジュリーと結婚後は妙に地味になってしまった印象があります。華やかさが薄れたという気憶なんですが、ただつぶさに田中裕子の作品を追っていたわけではないので、はっきりとしたことは言えません。この作品は結婚後のようなので、いろいろ発見できそうな気がします。

>西田敏行は渥美清になれなかった、というような書き方

失礼なこと書く人間がいるものですね。『釣りバカ日誌』だけでも見事な映画シリーズなのに。そもそも『男はつらいよ』シリーズは、大袈裟でも何でもなく、「世界映画界の奇跡」と言えるレベルだと思います。日本どころか、世界中探しても比肩できる映画シリーズは存在しません。


>本来の作品の価値以上に「孤独のグルメ」は心に残るドラマです。

これはとても深いお話です。どのような作品でも、自分の人生の中で「いつ、どのような時に鑑賞したか」が大きなポイントとなるのですよね。前にも書かせていただいたかと思いますが、一部映画ファンで人が「好き」と言っている作品を小馬鹿にするような態度を取る人も少なくないのですが、わたしはそういうことはしないよう心掛けております。それぞれの人生にとってどのように重要であるかは当人にしか分からないところもあるでしょうから。ブログなどで作品批判はしますけれど、それは表現活動の一環ということで。

わたしの母は、入浴は一人でできるのですが、万一風呂場で滑ったりとかいう可能性も考慮して、入浴中は必ずリビングで待機するようにしております。一昨日もそれをやったのですが、お湯を入れるところから始まって、入浴中はけっこう緊迫しながら待機しております。あと、若い人なら「ちょっと頭痛が」と訴えてもあまり気にしませんが、80を越えておりますから、ちょっとした異変でも緊迫しますね。まあそれを言うなら、食事時に喉に詰まらせないかとか、家の中でも歩いている時に転倒しないかだとか、全時間ある程度以上は緊迫せざるを得ないですが。
でもご高齢の方を一人暮らしさせる家族も多いですけれど、それぞれの家庭の事情があるとはいえ、どうかと思いますね。せめて電話を度々するくらい何でもないのに、それもしない人たちが多いようですからね。この前高齢の婦人が犠牲になった「アポ電」がらみの殺人事件など、心が痛むと同時に、強い怒りを感じます。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2019-03-06 03:10) 

犬眉母

むしろ山田スミ子さんが美熟女だから、
若い満男君が困ったというシーンに
したかったのかもしれません。
by 犬眉母 (2019-03-06 06:03) 

ヤマカゼ

ご冥福をお祈りします。
by ヤマカゼ (2019-03-06 06:13) 

Rinko

73歳はまだ若いですよね。
ご冥福をお祈りいたします。
by Rinko (2019-03-06 07:36) 

かずのこ

子供の頃から見ていた
新喜劇のイメージが強烈すぎて
『家政婦は見た!』を見たときは
別人のように見えたのを覚えています。
by かずのこ (2019-03-06 10:05) 

えくりぷす

私はあまり見ていないのですが、Wikiを見てNHK朝ドラ『カーネーション』の厳しいけど温かみのある婦長さん役を思い出しました。夏木マリ演ずる小原糸子と対立しながらも、患者さんを勇気づけるファッションショーを開催するまでは、涙モノでした。
by えくりぷす (2019-03-06 10:58) 

なかちゃん

昔々、あっちこっち丁稚という番組が入っていた時の御寮人さんの役が好きでした。
『おいなはれ言うたらとっととおいなはったらどないやねんなぁ〜』と言って怒り狂う役ですが、毎回あったネタでしたね。
ご冥福をお祈りします>

by なかちゃん (2019-03-06 12:41) 

pn

そう言えば男はつらいよまたやるとか聞いたけど寅さんCG出演でしたっけ?白髪の寅さんなのかな?
by pn (2019-03-06 13:49) 

Take-Zee

こんにちは!
少し先輩ですが年の近い方の訃報は
とても悲しく、さみしいですね!
by Take-Zee (2019-03-06 15:47) 

ヨッシーパパ

坂本スミ子さんは、よく知っていますが、この方は・・・。
by ヨッシーパパ (2019-03-06 19:33) 

そらへい

山田スミ子さん、私は吉本新喜劇の方がよく見ましたね。
吉本では貴重な女優さんだったと思います。
退団されて俳優されていたとは知りませんでした。
ご冥福をお祈りしたいと思います。

by そらへい (2019-03-06 20:53) 

ナベちはる

73歳で逝くには、今の時代だと早いのではと思います…
by ナベちはる (2019-03-07 01:02) 

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