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荒井注、ドリフとサッポロ一番ブランドの土台を作った悠々自適男 [懐かし映画・ドラマ]

荒井注、ドリフとサッポロ一番ブランドの土台を作った悠々自適男

荒井注さん(1928年7月30日~2000年2月9日)の命日です。志村けんと交代した新生ザ・ドリフターズのメンバーで、脱退後は俳優として活躍しました。ネットでもほとんど触れられていませんが、インスタントラーメン『サッポロ一番』のCM初代出演者です。(画像は劇中より)



荒井注の『サッポロ一番』CMというと、1984年の『サッポロ一番ほたてラーメン』を紹介するサイトは多いのですが、実は1966年に、すでにサンヨー食品が『サッポロ一番』を発売したとき出演しています。

当時、日清食品は『日清焼そば』、エースコックは『ワンタンメン』、明星食品は『明星ラーメン』など、各社麺と粉末スープが別になっているインスタントラーメンの時代に入り、いよいよ競争が激しくなっていましたが、サンヨー食品が『長崎タンメン』に続き、醤油味の『サッポロ一番』を投入。

インスタントラーメンは一気に四強の時代に入ったのです。

その立役者こそが、当時CMに出ていた荒井注です。

長崎の次は札幌という地名を商品名に使い、ご当地ラーメンを装うという、当時としては考えたギミックです。

札幌時計台の前に立つ荒井注が、顔の横に『サッポロ一番』の袋を掲げ、商品について一言宣伝「サッポロ一番、私も食べてます」(不正確)を言った後、眉をピクピクっと上下に動かす、そんなCMでした。

この眉毛ピクピクのビビッドなCMには衝撃を受けました。

当時流れていた、CM史で必ず触れられる(たぶんYoutubeにありますが)、植木等の「なんである、アイデアル」、伴淳三郎の「一杯やっか」などと並び称せられる名CMだったとおもいます。

それによって、サッポロ一番も、荒井注⇒ドリフも注目された相乗効果はあったとおもいます。

現在まで続くブランド、サッポロ一番と、ザ・ドリフターズの土台を荒井注が作ったといっても過言ではないでしょう。

荒井注は、当時、逆ギレや開き直りの捨て台詞を売りにしていましたが、もしメンバーの中で誰か1人をCMに使うなら誰にするかと考えた場合、荒井注を選んだサンヨー食品の判断はうなずけます。

たぶん、いかりや長介が、あのゴリラ顔とだみ声で荒井注と同じことをやっても、失礼ながら商品のイメージはアップしなかったでしょう。

ハナ肇が、ルックスもよく、芝居もできて歌もうまい植木等を前面に押し立てたように、いかりや長介も、当時は荒井注を“表看板”にしていたフシがあります。

クレージーキャッツにしても、そして当初のザ・ドリフターズにしても、音楽と「大人の笑い」だったのは、当時のバンドをやっている人たちは育ちのいい人が多いからであり、荒井注も「育ちのいい」一人でした。

ガラの悪いキャラクターであっても、その育ちの良さが出ていました。

そもそも家が裕福だからこそ、音楽も出来たのでしょう。

彼らの多くが、当時行きもしない大学に入るどころか、中には途中で別の大学(私立)に入り直す人もいました。

入学金を2度払える経済力と、大学だけは出してやるという度量が実家にあったからです。

たとえば、寺内タケシ(明大⇒関東学院大)、谷啓(関東学院大⇒中央大)、そして荒井注(立教大⇒二松学舎大)などがそうです。

荒井注は二松学舎に転学したことで、国語と社会の教員免許を取得しています。

そして、実家は料亭で、ドリフターズを脱退しても、食べるには困らないといわれていました。

自分が土台を作って、やっと売れ始めたドリフをあっさりやめ、晩年は伊豆の伊東で38歳下の女性と結婚して悠々自適の生活を送ったのも、そうした境遇にあったからだとおもいます。
あんたもあれでねえ、よっぽど偉い人というか、変な人というか…。カラッケツでドリフを始めて、飛行機で言えば離陸する大変な時にいてくれて、それから何とか先が見えてきて、さあ、これから楽になるぞ、お金も儲かるぞという時に辞めちゃった。あの時はあんたの人生哲学が理解できなかった。『極力みんなに迷惑かけないようにする』って、辞めると言ってからも半年は続けてくれた。あの半年のあんたは凄かった。鬼気迫るというか、本当に面白かった。(荒井注の告別式でいかりや長介の弔辞)

それとともに、ドリフ自体が、子どもたちを対象にした笑いに方向性をかえたため、自分の時代ではないと悟り、志村けんに潔くバトンタッチしたこともあると思います。

志村けんは素晴らしいコメディアンですから、決していい悪いではなく、荒井注時代のザ・ドリフターズと、志村けん加入後のザ・ドリフターズというのは、やはり別物だと私はおもいます。

そして、志村けんに道を作った荒井注の判断は慧眼であったとおもいます。

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天地真理も活躍中


その、コミックバンドの「大人の笑い」から、『8時だョ!全員集合』の笑いに移りつつある頃のドリフの映画を、現在毎週水曜日のBS11が放送しているわけですが、先週放送したのが、『チョットだけョ 全員集合!!』(1973年、松竹)でした。

いかりや長介が医師免許すら怪しい医師で、あとの4人はそれぞれの事情から、不承不承いかりやのところで働いています。

チョットだけョ 全員集合!!

加藤茶の妹(小鹿みき)が、資産家の老人(益田喜頓)に気に入られ養女にという話がでましたが、老人にはヤクザになった息子(左とん平)がおり、その親分(玉川良一)とともに財産を狙っています。

小鹿みきに熱を上げるいかりや長介と、財産のおこぼれを頂戴したい他のドリフのメンバーが、玉川良一たちとドタバタとコミカルに争う話です。

荒井注は、玉川良一の一家を破門になって、いかりや長介のところに転がり込んできたという設定でした。

荒井注

劇中では、医師役の天地真理が、いきなり(封切り時)新曲の『恋する夏の日』を歌いだします。

天地真理

天地真理が当時、人気があった理由が改めてわかりました。

歌うことに脈絡はないのですが、天地真理の唄を聴いて、何となく楽しい、明るい気分になれるのです(笑)

『チョットだけョ 全員集合!!』も、先週がはじめての放送だったので、また放送されるかもしれません。

荒井注さんを覚えてますか?

その六 火ッ火ッ火ッ!はだか大王だぞー
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恋する夏の日
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末尾ルコ(アルベール)

わたしが子どもの頃、周囲でたまに、「加藤茶はよく見れば顔がえい(←顔がよい)とは語られておりました。荒井注にはそうした評価(笑)はなかったのですが、その点は子どもの浅知恵と言いましょうか、大人の顔のよさが分からなかったわけですね。こうしてお写真を見て、確かにとてもいい顔立ちなのがよく分かります。
荒井注の経歴は知りませんでした。これまた子ども時代の感覚では、ドリフの中で一番タフガイ風だと感じておりましたが、違っていたわけですね。しかし子どもにそう思わせていたのは、荒井注のキャラクター造形が成功していたことになりますね。
荒井注の『サッポロ一番』CMはよく覚えてないのですが、こうして見ると、当時のインスタントラーメン、焼きそばは美味しいものばかり。今すぐ食べたくなります(笑)。『日清焼きそば』・・・いいですよね~。あのソースのやや刺激的な美味しさに卵を絡めるのがわたしの定番でした。う~ん、近日中にやりたくてたまらなくなりました(笑)。先週も『サッポロ一番 塩らーめん』を食べましたが、美味しいのなんのって(笑)。
荒井注は、38歳年下の女生と結婚していたのですか!いいですね~。わたしの場合、38歳年下の女性と交際すると、まだ淫行になってしまいますから(笑)。そう言えば加藤茶もえらく年下の女性と結婚してましたね。いや、もちろん、魅力的であれば、年齢は問いませんが(笑)。
最近わたしもドリフの映画を観始めて、テレビで大人気だった頃との違いが理解できるようになりました。映画のドリフはジャズも似合う雰囲気ですが、特に志村けんが人気爆発してからは、Jポップなテイストになった感があります。
天地真理はテレビのドリフにもよく出ていましたね。確かにパーッと明るい雰囲気があります。それにしてもこのヘアスタイル、今見るとかなり謎です(笑)。


>生活につかれた、でも暗くしょぼくれているわけではない

これは素晴らしいご表現!この境地、味わいが出せる女優はなかなかいないですよね。「いかにも」な色香がないところが、逆に色香になっているような感もあります。話はややズレますが、「団地妻」という言葉に対するファンタジーも、「生活」あってのことですよね。「生活」あってこそ漂う色香だと思うのですが、現在はそこも忘れられようとしている感が。まあ女性の方も、「壁ドン」とかにファンタジーを抱くようではと思います。

>同じ空気を吸うのも嫌だとか言い合ってましたね。

これは巷の多くのご夫婦も似たような状態に陥っているのではないでしょうか。もちろんいつまでも睦まじいご夫婦も多くおりますが、進学塾に勤めていた時期に、もうどうしようもなくなっている人たちを少なからず見かけました。まあ、そこまで憎み合うようになる前にどうにかすべきなのでしょうけれど。そのようなことも基本的には、「しっかりしたコミュニケーションができてない」ことから来るのではと思います。

>嘘くさい円満離婚会見なんかより

いや~まったくその通りで、「嘘くさい円満離婚会見」はわたしも大嫌いなんです。ああいうのをちらとでも見かけただけで、気色悪い味の液体(笑)を飲ませらた気分になりますし、(よく白々しいことが堂々とできるなあ)と、その感覚に唖然としてしまいます。芸能人としての価値をできるだけ損ねたくないとか、事務所やスポンサーなどと兼ね合いとかいろいろあるのでしょうが、究極的には当人らの人間性が大きく影響しているのではと感じます。   RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2019-02-09 03:00) 

☆ミルキーウェイ☆

荒井注さん、懐かしいですね^^
当時、『8時だョ!全員集合』の公開録画を見に行くために何枚もハガキを書いた覚えがあります。
でも、見に行けたのは1回だけでしたが…^^;
by ☆ミルキーウェイ☆ (2019-02-09 03:37) 

pn

なんだバカヤローでしたっけ?持ちネタありましたよね?

by pn (2019-02-09 06:18) 

ヤマカゼ

命日とはしりませんでした。
懐かしいですね。
by ヤマカゼ (2019-02-09 08:27) 

Take-Zee

こんにちは(^-^*)/
荒井注さんが没してもう20年なんですね!

by Take-Zee (2019-02-09 09:20) 

えくりぷす

荒井注さん、なんとなく三遊亭小遊三師匠と似ていると思っておりましたが、「育ちのいい」人だったのですね。
最近ラジオ番組で「ドリフのズンドコ節」を聞きましたが、傑作ではないでしょうか。とくに4番は荒井注さんしか歌えないように思えますね(;^_^A
by えくりぷす (2019-02-09 10:20) 

nicolas

私も荒井注っていうと、なんだばかやろーっていう
きまり文句を思い出してしまいました。
でも、育ちは良かったんですねー
by nicolas (2019-02-09 12:28) 

hana2019

荒井注と言えば、「なんだばかやろーっ」の台詞。
晩年になって年若い白雉美人的な方との結婚くらいしか覚えておりません。
>医師役の天地真理が、いきなり(封切り時)新曲の『恋する夏の日』を歌いだします。
破天荒なストーリーも、娯楽映画ならではと言った感想が(笑)
天地真理も、今や別人へと変貌をとげた一人。どこがどう間違って、そうなってしまったのか?
by hana2019 (2019-02-09 13:31) 

gardenwalker

こんにちは
荒井注さんのサッポロ一番
記憶にないですねー
私は鉛筆のCMの
首チョンパですかね
by gardenwalker (2019-02-09 16:55) 

なかちゃん

荒井注さんのいた頃のドリフは、というか、荒井注は当時子供だったボクにはさほど面白くはありませんでした。
結局それはボクがガキだったってことなんでしょうね。
今度改めて何か観る機会があれば、観てみたいと思います。

by なかちゃん (2019-02-09 21:25) 

ナベちはる

荒井注さんは、「志村けんさんより前にドリフにいた人」ぐらいしか知りませんでしたが、先を見通す力がある、育ちがいい方なのですね。

先を見通す力も、羨ましいところがあります。
by ナベちはる (2019-02-10 01:44) 

Rinko

新井注さん、覚えていますよ。
良いイメージを持っています^^

by Rinko (2019-02-11 07:45) 

うりくま

「This is a pen」もありましたね。
脱退前の荒井注の面白さは格別で、
志村けんに替ると知った時は子供心に
かなりショックでした。そういう背景
があったのですね。有難うございます。

by うりくま (2019-02-11 15:05) 

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