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『MdN』休刊、紙媒体からWeb媒体への「流れ」で気になること [パソコン・ネット]

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1989年に創刊した月刊『MdN』が、4月号(3月6日売り)限りで休刊すると、発行元のエムディエヌコーポレーションから発表されました。今後はウェブメディアとして展開していくそうです。パソコン誌に限らず、紙媒体⇒Webへは時代の流れともいわれますが、紙媒体とWebは、それぞれ特徴があり、両立させていくものではないでしょうか。



パソコンを、ゲームやビジネスアプリで使われている方は、あまりピンとこないかもしれませんが、『MdN』というのは、デザイン系のパソコン雑誌です。

ソフトの使い方だけでなく、デジタルデザインが市場でどのような使われ方をしているのかを幅広く紹介していました。




以前は、パソコンは、ハードもソフトも極める楽しさがありました。

しかし、今はたとえば、Photoshopを使わなくても、ブログに発表する程度の加工なら、簡単操作でできるアプリやクラウドサービスがあるので、そうするとPhoroshopの図解や作例集も必要なくなってしまうわけです。

簡易なレベルで便利になりすぎて、「本格的なもの」の市場が狭くなってしまいました。

といっても、Webコンテンツとして発表すると閲覧する人はいるので、要するにPhotoshopは一応持っているけれど、金を出して本棚を埋めてまで本は必要ではなくなった、ということなのでしょう。

出版社としても、出版することによる手間と利益よりも、Webコンテンツとして低コストで公開して、アフィリエイトや自社商品広告などに利用しながら、反応を見て改めて出版化を考えるという「マーケティング」を行うほうがビジネスとしては手堅いと判断したのだろうとおもいます。

紙媒体⇒Webへの時代の流れと、ソフトの変化(平易化、機能限定化)によって、パソコン本はいよいよ市場が限られたものになってしまいました。

私の妻は、マック関係のライターで、デザイナーでもあったため、『MacUser日本版』で連載、『Yahoo! Internet Guide』『DOS/V Magazine』『PC USER』『月刊PC』(以上ソフトバンクパブリッシング)『MacPeople』(アスキー・メディアワークス)などで、特集記事の分担執筆などしていたのですが、それらはすでに10年前に休刊しており、『MdN』は仕事をした経験のあるものとしては最後の雑誌でした。

もっとも、紙媒体からWebに置き換わっていくのは、パソコン雑誌に限らないことです。

出版社も、採算という事情があるかもしれませんが、こうした「流れ」によって、人が物を知ることについて、間違った方向にいくのではないかということを私は心配します。

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安近単なネット検索


紙媒体が売れなくなったのは、スポーツ新聞がもっとも顕著と言われます。

プロ野球のどっちが勝ったか、監督や活躍した選手は何と言ってるか、といったことは、その新聞社が、記事をネットでも配信していますから、そりゃ、売れなくなります。

でまあ、それは仕方ないことなのかなと思いますね。

要するに、情報(どっちが勝ったか等)そのものが結論であるなら、紙媒体はネットにかなわないでしょう。

ただ、正確な事実を集め、そこから論考して創造的結論を提示するような場合、少なくともネット情報だけではなく、紙媒体による裏付けから逃げてはならないおもいます。

誰でも発信できることから、専門家の時間をかけて考察された見解よりも、浅学なネトウヨの単純な書きっぱなしのほうがウケるのがネットの日常ですから、世の中の話題の出来事について、ネット情報だけで完結するのは剣呑なことだとおもいます。

むしろ、「ネットでは〇〇という意見が目立つが、本当だろうか」とか、「どうしてそのような意見になるのだろうか」などと懐疑的に考えるきっかけにするぐらいで、ちょうどいいのではないでしょうか。

そりゃ、いちいち本で探していたら、たとえば、調べたいことが書いてあるかどうかを確認するのに、1冊全部目を通さなければなりません。

ブログだったら、検索窓で文字列を検索したらすぐに答えが出ます。

「わー、ネットのほうが簡単だ」となってしまう。

でも、それでは、その“調べたいこと”自体の断片的な知識だけで、その成り立ちが全くわかりません。

やはり事の真実にアプローチするには、関連書籍でその“調べたいこと”のより広い全体像を知らなければなりません。

安近単はだめなんです。

安……コストをかけない
近……手っ取り早く「回答」を欲しがる
単……手間暇かけない

ああ、でもこれって、人生そのものにもいえるかもしれませんね。

『巨人の星』の星一徹や、萩本欽一ではありませんが、2つの道があったら常に遠回りを選べ。

課題に直面したら辛く苦しい遠回りを選んでこそ得られるものがある。

私も、エラソーなことを書きながら、楽をしたくなる気持ちはもっています。

ネットを使いときは、このことを忘れないようにしたいとおもいます。

MdN 2019年2月号(特集:ポップカルチャーはなぜ彼らの映像を必要とするのか? クリエイティブカンパニー「コエ」の仕事)
MdN 2019年2月号(特集:ポップカルチャーはなぜ彼らの映像を必要とするのか? クリエイティブカンパニー「コエ」の仕事)

月刊MdN 2018年12月号(特集:この曲はなぜこのアプローチで撮ったのか? 映像監督8人に聞いたMV43曲)[雑誌]

月刊MdN 2018年12月号(特集:この曲はなぜこのアプローチで撮ったのか? 映像監督8人に聞いたMV43曲)[雑誌]

  • 出版社/メーカー: エムディエヌコーポレーション(MdN)
  • 発売日: 2018/11/06
  • メディア: Kindle版


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犬眉母

ウエブは、フェイクニュースとかありますからね。
by 犬眉母 (2019-01-13 02:34) 

末尾ルコ(アルベール)

『MdN』休刊、紙媒体からWeb媒体への「流れ」で気になること・・・わたし、『MdN』という雑誌、知りませんでした(とほほ 笑)。なので同誌の休刊について何らかの鑑賞をお話することはできませんが、「紙媒体からWeb媒体」の現状に関しては、常にいろいろと思うところがあります。まあ原則、「紙の方が好き」ということは今後も変わらないですが、ネットの圧倒的便利さの利用を控えるつもりもありません。なにせ家にいながらにして、世界各国の生の情報が得られるなんて、紙媒体だけの頃にはあり得ませんでしたから。世界的にメジャーなジャーナリズムにも毎日アクセスできますし、芸能人のデータとかは、高知の図書館にそんな本そうそう置いてませんし、以前は調べたいものも調べようがないケースがほとんどでした。今では気になる芸能人も、即座に大まかなことは分かりますからね。まあ雑誌や新聞が今後さらにきつくなるのは仕方ありません。新聞なんか開いても、多くの記事が半日前にネットニュースで見たことだったという状況もよくあります。しかしもちろん「情報の正確性・深さ」などは紙媒体に大きく軍配が上がります。

>浅学なネトウヨの単純な書きっぱなしのほうがウケるのがネットの日常ですから

そうなのです。なにせ、「単純な書きっぱなし」は分かりやすいですから、無知な人たちには最適なのですね。しかし無知が無知のままで、大きな声だけ上げているような危険な世の中になっておりますから、今後は「無知な人たちに、自分たちが無知だと分かっていただく(笑)」活動も必要になると考えております。もちろんダイレクトに、「あんたは無知だ」とか表現すれば、相手は逆ギレしてしまうでしょうから、巧妙な方法論も必要となってきますが。
ただ、ネット検索についての一面としては、紙媒体には遠く及ばないにしても、検索のやり方によってはかなりおもしろい情報、深い情報も得られることがあります。ところが問題は、無知な人たちは有効な検索方法も知りませんし、そもそも「情報の真偽」もまったく判定できないところにあります。最もシンプルな結論としては、「無知が多い社会ではいけない」となるでしょうね。

>2つの道があったら常に遠回りを選べ。

いいお言葉です。力が湧いてきます。

>幻灯機についていたフイルム

この時点で既に乱歩の世界ですね。憧れます!わたしの家にはそういうのはなかったです。わたしの父は高校の古文教員で、当然ながら自分が教える範囲の古典文学については詳しかったですが、現代文学をさほど熱心に読んでいたとは思えませんでした。まして探偵小説などはまったく興味なかったようです。わたしが勝手に乱歩などから猟奇の世界愛好家になっただけで(笑)。
イーデス・ハンソンは全日本プロレスの後楽園大会にいつも陣取っていましたね。『映画千一夜』の中のおもしろいやり取りで、淀川長治さんがハンソンに「あんた、デボラ・カーに似てるよ」と言うとハンソンが、「あら、そうですか」的に喜んでたというエピソードを語ったら、山田宏一が、「いや、似てないと思いますけど」と言ったのに対し淀川さんは、「いや、ハンソン、若い頃かきれいだったよ」と返していました。「きれいなイーデス・ハンソン」というのが想像つかなかったので、おもしろいエピソードだなと感じたものです。新日には野末陳平が来てましたね。そう言えば、二階堂進をコミッショナーにしたり、猪木はもともと政治家との付き合いも大好きだったですね。

>自分を相対評価できるのはその分野のことをある程度知っていなければなりませんから。

そうなのですよね。この段階で論外の人がやたらと多くて、しかもネット時代ですから無知な書き込みをしまくるという状況です。そして世の中には無知の方々(笑)の方が多いですから、無知な書き込みにどんどん「いいね」とかが集まるという・・・これは怖い状況ですよね。 RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2019-01-13 03:12) 

pn

確かにいつでもどこでもスマホでポンと観られるからなぁ、かなり前から新聞取ってないけど支障無いし。
by pn (2019-01-13 06:20) 

Take-Zee

おはようございます!
今朝は今季最高に寒い気がします。
でも雪は免れました!

by Take-Zee (2019-01-13 07:05) 

レインボーゴブリンズ

おっしゃる通りだと思います。
人間、楽して得るモノはあまりないと思います。努力して得たものは、自分の宝となります。
by レインボーゴブリンズ (2019-01-13 14:55) 

ピンキィモモ

こんにちは。
MdNは4・5年前に、よく買っていた雑誌です。
デザインの参考にしていました。
私はぱっと見ることができる紙媒体のほうがいいのですが、これも時代の流れですね。
by ピンキィモモ (2019-01-13 17:04) 

ヨッシーパパ

雑誌も、本屋から消えてしまっているようですね。
by ヨッシーパパ (2019-01-13 19:08) 

KOME

2018年12月号、おもしろそうです。

各方面で、休刊になるところ増えてます。
紙でないと、必要なところパッと見れないのです。

by KOME (2019-01-13 20:48) 

ヤマカゼ

自作pcを使っているのですが、最近パフォマンス落ちたな思いDOS/V Magazineを探したのですが売ってなくて、ないはずですね。
by ヤマカゼ (2019-01-13 20:56) 

チナリ

こんばんは。

以前、キンドルという紙媒体ではない本を見せてもらったことがあるのですが、紙の本をパラパラとめくることに慣れている私としては違和感しかなく、使いづらそうな感想を持ちました。

私はゲームをプレイするので、できるだけ紙媒体での攻略本が発売されるときは購入をしているのですが、最近ではゲームの攻略本も、攻略サイトさんなどによって売り上げが落ちてしまい、いろいろなオマケを付けることで何とか売ろうとしています。

私のような紙媒体のほうが好きな方は、これからますます減っていくのかもしれませんね。

by チナリ (2019-01-13 23:56) 

ナベちはる

インターネットができる環境があればニュースはどこでも閲覧できるようになりましたが、ネットは嘘のものも意外と多いので、紙媒体の方が良いとも思います(決して、紙媒体に嘘のものがあるというわけではないのですが…)
by ナベちはる (2019-01-14 01:20) 

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