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『生き方の手本』柳澤愼一の「我が身を削るかつお節人生」 [懐かし映画・ドラマ]

『生き方の手本ー「勇気」と「やる気」が涌いてくる! 』(渡部昇一監修、近代出版社)を読みました。新刊書籍ではありませんが、今読んでも面白いと思います。普通の人が、壮絶な努力や想像だにできない生き方をしている。そんな話を集めています。同書には俳優の柳澤愼一や藤岡弘(現藤岡弘、)についても取り上げられています。



『生き方の手本ー「勇気」と「やる気」が涌いてくる! 』に登場するのは、偉人伝に出てくるような人びとではない“普通の人たち”。

それがあるとき、普通でない逆境に陥ったにもかかわらず、驚くべき気力や努力で社会復帰した人。もしくは、世間には明らかにしていないけれどひっそりと普通ではない尊敬すべき生き方をしていた、といった実話29篇を収録しています。

要するに、普通の人の普通ではない(立派な)生き方、という話です。

監修者は渡部昇一。29篇について一言ずつコメントを述べています。

目次から主な話をご紹介します。
余暇を使ってベストセラーを生んだ会社員……地図研究家
すべてを福祉に捧げたジャズ・シンガー……ジャズ歌手
仮面ライダーの、身命を賭した「世界ボランティア」……俳優
出前「無料床やさん」の19年……理容師
鉄道員から東京国立博物館美術課長へ……古筆学研究家
お医者さんは元サラリーマンー67歳の決断……医師
医学博士になった主婦。その努力の軌跡……医師
銀行マンが一転、世界的アーティストになった!……デザイナー
炎熱地獄から奇跡の生還。堅牢なるプラス思考……元オリンピック選手
「私には指が3本もある!」重度障害を完全克服……講演家
視覚障害者向けソフト開発、雑誌発行。全盲の辣腕社長……ソフト会社社長
両足切断、手の指10本喪失!そして今日も山に!?……登山家
行動と自立を呼びかける障害者のリーダー……福祉活動家
感動や奇跡をことさら強調する話は、うさんくさいと感じてしまうかもしれません。

懐疑

が、同書に登場する人物には、芸能人やオリンピック選手など、メディアで知られている人たちも含まれており、彼らの「普通でない逆境」はこれまでマスコミでも取り上げられたことも少なくないので、その主たる記述において嘘はないと思います。

読んでみると、かなりすさまじい生き方をしている人もいます。

私も、自分自身の人生、詰んじゃってると思ってますが、まだまだもっとすさまじい人がいるな、ということを知りました。

書かれている限りについては、自分の生き方に対して励ましや参考になるでしょう。

こういう生き方、考え方もあるんだな、と前向きに生きるよすがにもなると思います。

渡部昇一氏監修の書籍は、市場にずいぶん出ていますが、私も若い頃、1冊書いたことがあります。

今回と似たような書籍で、私が書いたのはグリコの創業者の話でした。

重篤な病気の長男が、牡蠣の煮汁のグリコーゲンを口に含んだら健康を回復。それをヒントにグリコのお菓子が誕生したという話です。『奇跡体験!アンビリバボー』のような展開ですね。

私は渡部昇一氏について、失礼ながら反共文化人ぐらいの認識しかないのですが、市場では“そういう本”の監修者として認知されているのですね。

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社会福祉活動が本分


ところで、なぜこの書籍を読んだのかというと、私の好きな俳優のことが書かれていると、ネットの情報で知ったからです。

それは、柳澤愼一。ジャズ歌手として売り出し、俳優や声優としてテレビや映画で活躍しました。

『奥さまは魔女』のダーリン役、覚えていますか。

奥さまは魔女

倉本聰がメイン脚本家に入った、今や伝説の時代劇『ぶらり信兵衛道場破り』(1974年、東映、フジ)の駕籠かき・金太役も柳澤愼一でした。

ぶらり信兵衛

柳沢真一
ともに『ぶらり信兵衛道場破り』第2話より

私が気になっていたのは、その人柄です。

柳澤愼一の“清潔なエピソード”は枚挙に暇がありません。

青年時代はある左翼政党の青年組織に入ったものの、男女関係が乱れた実態に失望して転向した。

女優の池内淳子は引退までして結婚したのに87日のスピード離婚。しかも柳澤愼一から言い出した。

芸達者なのに「テレビはつまらないから」と、バラエティで老醜を晒さず潔く撤退。

福祉活動のために家屋敷を売却した。

交通事故で後遺症もあるのに、故意ではなかったからと相手から慰謝料を全く取らない。……etc

同書によると、そもそも芸能人になったこと自体、社会福祉活動のためだそうです。

芸能人として多額のギャラを得て、それを慰問費用等につぎ込んだそうです。

社会的に名を成した人が、還元という意味で社会福祉やボランティアを行うことはあります。

刑務所の慰問をプロモーションとして行っている人もいます。

が、柳澤愼一はそういう人たちとは全く立場が異なります。

柳澤愼一は社会福祉活動が本分であって、芸能の仕事はそのために行っているのです。

そもそも、仕事であっても、意義を感じたらギャラは受け取らないそうです。

こうした活動では、自己犠牲は評価されません。

自分を幸福にできない人が、社会をよく出来るはずがない、というかんがえかたがあるからです。

しかし、柳澤愼一の場合には、社会福祉活動が自己実現なので、家屋敷を売却しても、ノーギャラでも、それは十分自分の幸福に資する行為というわけです。

同書では柳澤愼一を、「我が身を削るかつお節人生」「地の塩」とまとめています。

渡部昇一氏は、どうしてそのような生き方になったのか、「その精神の成長の過程を知りたい」とコメントしていますが、私もそう思います。

上記の目次の抜粋には、「俳優」もいましたが、これは藤岡弘、です。

こちらはボランテイア活動です。無政府状態の地域に物資を運ぶため、遺書を書いて現地に赴くと書かれています。

命あっての物種だと思うのですが、そこまでしてボランティア活動に駆り立てる藤岡弘、の覚悟も興味深いものがあります。

興味ある方は、『生き方の手本ー「勇気」と「やる気」が涌いてくる! 』をご覧ください。

生き方の手本―「勇気」と「やる気」が涌いてくる!

生き方の手本―「勇気」と「やる気」が涌いてくる!

  • 作者: 渡部 昇一
  • 出版社/メーカー: 近代出版社
  • 発売日: 2000/10
  • メディア: 単行本


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