『クレージーの大爆発』でダイナマイトを仕掛けた日比谷ロケを探訪 [東宝昭和喜劇]
『クレージーの大爆発』(1969年、東宝)という、例によって東宝クレージー映画について書きます。今日は、作品中のひとつのヤマであった日比谷有楽座(現在の日比谷シャンテ)のロケ地を見に行きました。かつては日比谷映画街といわれ、日比谷映画劇場や千代田劇場などでいろいろな映画が上映されていました。
『クレージーの大爆発』は、併映が『ドリフターズだよ!全員突撃』。
クレージーキャッツと、ザ・ドリフターズの併映というところが興味深い。
60年代もいよいよ終盤に入り、高度経済成長時代の象徴だった明るく楽しい「大人のジョーク」であるクレージーキャッツから、ちょっとマセた子どもを巻き込んだザ・ドリフターズの笑いへ、バトンタッチしつつあるのがまさにこの時期でした。
翌年には石橋エータローがクレージーキャッツを脱退。この作品は、クレージーキャッツのメンバーが劇中で歌って踊る最後の作品となります。
すでにこの時期斜陽といわれた映画界でしたが、1971年に東宝は、制作部門を分社化して、俳優専属契約制を解除しています。
東宝クレージー映画でも活躍した浜美枝、野川由美子、有島一郎、藤木悠など名のある俳優はテレビへ活躍の場を移し、大部屋俳優たちは芸能界を引退していきました。
映画会社が、制作部門を本体から切り離し、俳優を切り捨てたのですから、これは大変なことです。
その後もこんにちまで東宝を含め映画は作り続けられていますが、古きよき映画の時代は、71年で終わったのだろうと私は思っています。
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秘密結社GIBの日本支部幹部W(平田昭彦)は、諜報部員・毛利エリ子(松岡きっこ)に、3億円事件の犯人、大木健太郎(植木等)を使って、参一銀行地下に眠る3000億円の金塊を盗めと命令します。
毛利エリ子は、参一銀行行員(桜井センリ)、銀行の建物を設計した技師(石橋エータロー)、土木作業員(ハナ肇、犬塚弘)、掘削口の歯科医師(谷啓)、大木の秘書(安田伸)ら、クレージーの7人をスカウトして金庫破りをさせます。
苦労して金塊は盗みだしたものの、毛利エリ子は役目が終わったと結社の別の諜報部員(桐野洋雄)にあやうく消されそうに。クレージーの7人と毛利エリ子は金塊を奪い返しますが、結社が逃亡用に用意していたロケットに乗り込んだものの行く先がわからず、気がついたら金塊は宇宙圏で散らばり、クレージーの7人は月に漂着してしまいました。
「3億円事件」「(アポロの)月着陸」など、当時の話題をストーリーに取り入れたものの、ちょっと締まりの悪い結末という感じがします。10年近くクレージー映画が年平均3本公開され続け、手詰まりになっていたのかもしれません。
ということで今回のロケ地訪問です。
千代田線日比谷駅から日生劇場と帝国ホテルに挟まれた通りを5分ほど歩くと、旧日比谷映画街に到着します。
より大きな地図で 旧日比谷映画街 を表示
劇中では、金塊の眠る参一銀行の地下をダイナマイトで爆破しますが、映画の撮影を装った歌と打ち上げ花火で、ダイナマイトの音と振動を消そうとするシーンに登場する場所です。
いしだあゆみが、スクールメイツをしたがえて、『恋はそよ風』を歌います。
向かって右側が有楽座、左側がスカラ座でした。
作品のDVDを収録した『東宝昭和の爆笑喜劇Vol.10』には、このシーンを「大がかりなロケを敢行。いしだあゆみの歌う姿に思わずうっとり」と書かれていますが、まさにその通り。
東宝クレージー映画の中では、際立った傑作というわけでもないのですが、いしだあゆみが歌うシーン見たさに、この作品は何度も見てしまいました。
これが現在の旧日比谷映画街です。
右が日比谷シャンテ、左側はTOHOシネマズシャンテ、東京宝塚劇場、スカラ座、みゆき座などのビルがあります。
参一銀行とされたビルは現在東京宝塚劇場です
映画と同じように、夜撮りに来ようかと思ったのですが、よく見えないと意味がないので、自然光でバッチリ撮れる昼間に撮影してみました。
『クレージーの大爆発』は、併映が『ドリフターズだよ!全員突撃』。
クレージーキャッツと、ザ・ドリフターズの併映というところが興味深い。
60年代もいよいよ終盤に入り、高度経済成長時代の象徴だった明るく楽しい「大人のジョーク」であるクレージーキャッツから、ちょっとマセた子どもを巻き込んだザ・ドリフターズの笑いへ、バトンタッチしつつあるのがまさにこの時期でした。
翌年には石橋エータローがクレージーキャッツを脱退。この作品は、クレージーキャッツのメンバーが劇中で歌って踊る最後の作品となります。
すでにこの時期斜陽といわれた映画界でしたが、1971年に東宝は、制作部門を分社化して、俳優専属契約制を解除しています。
東宝クレージー映画でも活躍した浜美枝、野川由美子、有島一郎、藤木悠など名のある俳優はテレビへ活躍の場を移し、大部屋俳優たちは芸能界を引退していきました。
映画会社が、制作部門を本体から切り離し、俳優を切り捨てたのですから、これは大変なことです。
その後もこんにちまで東宝を含め映画は作り続けられていますが、古きよき映画の時代は、71年で終わったのだろうと私は思っています。
ネタバレ御免のあらすじ
秘密結社GIBの日本支部幹部W(平田昭彦)は、諜報部員・毛利エリ子(松岡きっこ)に、3億円事件の犯人、大木健太郎(植木等)を使って、参一銀行地下に眠る3000億円の金塊を盗めと命令します。
毛利エリ子は、参一銀行行員(桜井センリ)、銀行の建物を設計した技師(石橋エータロー)、土木作業員(ハナ肇、犬塚弘)、掘削口の歯科医師(谷啓)、大木の秘書(安田伸)ら、クレージーの7人をスカウトして金庫破りをさせます。
苦労して金塊は盗みだしたものの、毛利エリ子は役目が終わったと結社の別の諜報部員(桐野洋雄)にあやうく消されそうに。クレージーの7人と毛利エリ子は金塊を奪い返しますが、結社が逃亡用に用意していたロケットに乗り込んだものの行く先がわからず、気がついたら金塊は宇宙圏で散らばり、クレージーの7人は月に漂着してしまいました。
「3億円事件」「(アポロの)月着陸」など、当時の話題をストーリーに取り入れたものの、ちょっと締まりの悪い結末という感じがします。10年近くクレージー映画が年平均3本公開され続け、手詰まりになっていたのかもしれません。
旧日比谷映画街で『恋はそよ風』
ということで今回のロケ地訪問です。
千代田線日比谷駅から日生劇場と帝国ホテルに挟まれた通りを5分ほど歩くと、旧日比谷映画街に到着します。
より大きな地図で 旧日比谷映画街 を表示
劇中では、金塊の眠る参一銀行の地下をダイナマイトで爆破しますが、映画の撮影を装った歌と打ち上げ花火で、ダイナマイトの音と振動を消そうとするシーンに登場する場所です。
いしだあゆみが、スクールメイツをしたがえて、『恋はそよ風』を歌います。
向かって右側が有楽座、左側がスカラ座でした。
作品のDVDを収録した『東宝昭和の爆笑喜劇Vol.10』には、このシーンを「大がかりなロケを敢行。いしだあゆみの歌う姿に思わずうっとり」と書かれていますが、まさにその通り。
東宝クレージー映画の中では、際立った傑作というわけでもないのですが、いしだあゆみが歌うシーン見たさに、この作品は何度も見てしまいました。
これが現在の旧日比谷映画街です。
右が日比谷シャンテ、左側はTOHOシネマズシャンテ、東京宝塚劇場、スカラ座、みゆき座などのビルがあります。
参一銀行とされたビルは現在東京宝塚劇場です
映画と同じように、夜撮りに来ようかと思ったのですが、よく見えないと意味がないので、自然光でバッチリ撮れる昼間に撮影してみました。
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