『クレージーだよ天下無敵』(1967年1月、東宝)を収録した『東宝昭和の爆笑喜劇DVDマガジンVol.34』(講談社)が発売されました。植木等と谷啓のダブル主役で坪島孝監督の作品です。今回は、その舞台となった2人の勤務する会社のロケ地を47年ぶりに確認すべく、東京の八丁堀まで行ってきました。
『クレージーだよ天下無敵』は、「クレージー」と付いている通り、いわゆる東宝クレージー映画のひとつで、クレージーキャッツは全員出演していますが、植木等と谷啓のダブル主演作品になっています。
監督は坪島孝。谷啓が好きな人らしく、この作品の前には、谷啓を単独主演で『
クレージーだよ奇想天外』を、この後には植木等、ハナ肇、谷啓の3人が中心にストーリーが展開する『
クレージー黄金作戦』を撮っています。
ストーリーを簡単にご紹介すると、かつては全学連と機動隊で戦った植木等と谷啓が、今はライバル会社である、トヨトミ電気調査室と、徳川無線調査課という、ともにライバル会社の機密調査のセクションに勤務。しかもアパートも隣同士という設定です。
2人は、徳川無線の専務秘書(野川由美子)や谷啓の恋人(高橋紀子)も巻き込んでつばぜり合いをクリひろげます。
そして、ひょんなことから知り合った銀座のバーのマダム(北あけみ)に2人いいところを見せたくて、ともにデマカセで、自社の機密計画が「立体テレビ」であると口ばしリますが、マダムは産業スパイ団リーダー(田崎潤)と通じていたため、設計図と命を狙われることに。
そのピンチを脱してお互いの設計図を盗み合いますが、しょせんデタラメの設計図。おまけに両社が合併することになり2人は解雇。
しかし、2人はリベンジするため手を組み、立体テレビの開発で成功をおさめるというハッピーエンドです。
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隣合わせで実在していた「トヨトミ電気」と「徳川無線」
今回は、『クレージーだよ天下無敵』のロケ地を探訪しました。
『東宝昭和の爆笑喜劇DVDマガジンVol.34』の読み物ページでは、泉麻人氏がこの作品の最初のシーンに出てくる麻布十番について解説。あるマニアブログでは、小田急線が走るシーンに使われた世田谷区経堂を訪ねていました。
そこで私は、主役の2人が勤める会社に。
場所は、首都高速道路が下を走る八重洲通りの久安橋。千疋屋ビルから新大橋通りに向かう通りなのですが、住居表示で言うと中央区八丁堀1丁目になります。
まず、映画では、植木等と谷啓が競って会社に向かっています。これが47年前の久安橋。
そして、これが現在のほぼ同じ場所です。映画と全く同じには撮れませんが、こんな感じです。
植木等がつとめる「トヨトミ電気」は、橋を渡ったすぐの建物ということになっていますが
現在ここは、旅行企画販売会社の本社ビルになっています。一応中が見えないように斜めから撮りました。
一方、谷啓の勤める「徳川無線」は、その隣にある設定でしたが、
今は雑居ビルでシャッターが閉まっていました。
でもまあ、背景から見ても、実際に隣同士として実在したビルディングを使っていたことがわかりました。
映画やフィルムドラマでは、隣同士や近所という設定なのに、実は全く離れたところにある建物を使っていることがあるのです。
実際、この作品でも、冒頭のシーンは異なる場所をつなげて撮影しているのではないかと思えるところがあります。
晴海にも寄ってみました
このへんの近くには晴海があります。
すっかり変わってしまいました。
晴海客船ターミナルからは海の他にビルが見えました。
これからますます暑くなりますが、また近いうちにロケ地探訪に行ってみたいと思います。
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