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『ネット護身術入門』あなたはどこまで自分を消せるか? [パソコン・ネット]

『ネット護身術入門』(守屋英一著、朝日新聞出版)を読みました。ちょうどベネッセの個人情報漏えい事件が話題になっている時なので、大変興味深く読みました。SNSやネット掲示板など、便利な半面、炎上や個人情報の解析によるストーカー行為など、タダ事でない災難もありえます。同書は、これまで起こった個人情報漏えいに関する事件を振り返り、では個人情報をどうやって隠すかというアドバイスも行っています。

『ネット護身術入門』が、ネットのやりとりで重要視しているのが炎上です。



ツイッターなどで炎上してしまうと、もとの書き込みは削除しても、ネットには「まとめサイト」があるため、すぐに別サイトに更新されて永遠に残ってしまうからです。

「私のような平凡な一般人の書き込みがそんなふうになるはずがない」と思われますか。

でも、人間はいつどこで間違うかもしれませんし、ネットの向こう側の人間の価値観や人格や心境なんてわかるものではないのです。

ネットの向こう側の狙い

同書では、これまでのトラブルを振り返り、まずはそうならないことを強く訴えています。

が、やはり悪い奴に睨まれたら、そうした災難に絶対に合わないとはいえません。

その時守るべきは個人情報です。

同書は、ネットの被害のもうひとつ大きな問題として個人情報の漏えいもとりあげています。

今回のベネッセのようなことはわかりやすいですが、ネットにおける個人情報の漏えいといっても、みなさんはピンと来ないかもしれません。

ブログには住所も本名も書いてないから大丈夫、と思われているのではないでしょうか。

しかし、ブログにアップする画像から自宅を推理されたり、記事に書かれている学年や自治体や最寄り駅などから、お子さんの学校を見つけられたりすることは、その道で「活躍」する者にとってはぞうさもないことです。

もっとも怖いのがSNS。とくに実名で生活の様子を日々アップするfacebookは危ない。

たとえば、Facebook、ブログ、それぞれの情報だけではその人のことは特定できなくても、2つの情報を合わせることで、その人の確たる情報が完成してしまうこともあります。

著者の守屋英一氏は、自分の知らない間に、自分の健康保険証を悪用され、多重債務者になり、クレジットカートも作れなくなってしまったそうです。

しかも、ではいったい自分はどこからいくらの債務があるのかを確認しようにも、信用情報機関では同姓同名で同じ生年月日の人がいる可能性がある限り、教えてもらえないのだそうです。

そんな信じられないような話が、個人情報漏えいの被害として実在するのです。

では、個人情報漏えいを防ぐためにはどうしたらいいのでしょうか。

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自分の情報をどうやって消すか


シンプルです。自分の個人情報を消すことです。

と言っても、シンプル=簡単ということではないかもしれません。

同書では、そのときのポイントを説明しています。

SNSの位置情報


SNSからの個人特定を防ぐ基本はここです。いくら住所を書き込まなくても、自分で居場所を教えるようなものです。

ただ、世間で流行ってるからとなんとなく利用している人には、そういう設定がある事自体を知らなかった、なんてこともあるかもしれません。

私書箱


同書は原則として「住所」には、実際に住むところではなく、私書箱を使うことを勧めています。

ただし、著者が調べたところでも、郵便局の私書箱は「5年先まで空きがない」ため、有料のバーチャルオフィス、それもセキュリティがしっかりしたある程度の金額のところと契約した方がいいとしています。

私もバーチャルオフィスを契約しかけたことがあるのですが、結局契約には至らなかったにもかかわらず、契約の条件である個人情報(住民票など)を渡してしまい、逆に個人情報漏洩のリスクが増してしまいました。

民間のバーチャルオフイスと契約するなら、事前に慎重に内容を調べて検討した方がいいでしょう。

電気・ガス・水道


公共料金は、契約者の住所や名前で申し込みますから、まさに個人情報です。ネット上にそれを書くことはないかもしれませんが、ネットの情報と結ぶことで、その人の特定につながります。

では、それをどうやって防いだらいいのか。

同書は、仮名や親族の名前に契約者名を変更すればいいと勧めています。

親族名はともかく、仮名が通用するとは知りませんでした。

転居・転送サービス


引っ越しても、引越し前の住所から転送する手続きを取れば、現在の住所が知られなくて済む。

これはたしかに私も考えました。

実は私は現在、そのサービスを利用して、多くの郵便物は転居前の住所を使っています。

そして、年賀状は転居後の新しい知り合いでない限り、いまだに実家の住所を使っています。

ですからこの点は完璧!……と思ったら、同書によるとそれでもダメなのだそうです。

ゆうパックなどの追跡サービスを使うと、転送先の郵便番号までわかってしまうので、そこから最寄りの駅で待ち伏せされるなどして、現在の住まいもわかってしまう可能性があるというのです。

う~ん。なんで、転送先の郵便番号まで明かすんだ、なんて思わなくもありません。

が、そもそも郵便局の転居先転送サービスというのは、転居先の住所を隠してくれるためではなくて、「郵便物等を確実にお届けするため」のサービスですから、まあしかたないですね。

その他同書には、名前を変えられるか、ということにも触れていますが、判例がないからむずかしいという専門家の発言を紹介しています。

しかし、判例がなければ作らないと、いつまでたっても「むずかしい」ままです。

誰かネット被害にあった人が、名前を変える裁判でもして道を開いてくれるといいかも。

なんて書いたら、家名を粗末にしたと、このブログが炎上してしまうかな。

いずれにしても、ネット利用者にとってはトラブルシューティング的一冊といえるでしょう。

お金と個人情報を守れ!  ネット護身術入門 (朝日新書)

お金と個人情報を守れ! ネット護身術入門 (朝日新書)

  • 作者: 守屋英一
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2014/05/13
  • メディア: 新書



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