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『桃太郎侍』決めぜりふで悪人を斬る高橋英樹の“ライフワーク” [懐かし映画・ドラマ]

『桃太郎侍』といえば、高橋英樹の代表作ともいわれています。高橋英樹自身、織田信長とともに、桃太郎侍は自分のライフワークと明言しています。“365日時代劇だけを放送する唯一のチャンネル”を標榜する『時代劇専門チャンネル』で、決め台詞で悪人を斬る高橋英樹版『桃太郎侍』全258話の放送が6月10日から始まります。

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1年以上の長丁場の作品が多い高橋英樹時代劇は、大河ドラマは1年の長丁場。『遠山の金さん』(1982年~1986年、東映、テレビ朝日)が4年半、『三匹が斬る!』が6作で1987年~1995年のうち4年近く放送されていました。

『桃太郎侍』はそれらの上をいく5年間(1976年~1981年)、毎週日曜日の午後9時から日本テレビ系で休むことなく放送されました。

それだけ、数字もとれて、スポンサーからも信頼され、スタッフとの関係も良好だったんでしょうね。

すでに、1970年代には、『水戸黄門』や『遠山の金さん』といった古典的な時代劇の“ワンパターン”がお笑いのネタになりつつありましたが、この『桃太郎侍』も『旗本退屈男』あたりから続く“ワンパターン”タイプの作品です。

絵に描いたような勧善懲悪なのはもちろん、主人公が長々と啖呵を切ってから悪役を斬るというクライマックス。“桃さん”はいつも絶対的な正義で無敵に描かれています。

現代劇では物語を面白くするために、主人公がピンチになることがありますが、主役が絶対正義の古典的時代劇にそれはないので、まわりくどい葛藤なしで、わかりやすい勧善懲悪でスッキリしたい視聴者には安心してみていられる作品だとおもいます。

原作は、山手樹一郎氏の時代小説。……でしたが、作品自体は全くのオリジナルだそうです。

映画やドラマが、小説や漫画の人気作品の設定だけ借りて、ストーリーや登場人物のキャラクターなどは全く違う、というのはよくある話。

ただ、もとになるものがないと、矛盾とまではいえないかもしれませんが、放送期間がながければ長いほど、当初の設定と変わってしまうことがあります。

私は主演の高橋英樹さんに、2002年に『桃太郎侍』について話を伺ったことがありますが、こう話していました。
「桃太郎侍」は(原作とは違う)全くのオリジナルになってます。だから最初の桃太郎と後半の桃太郎はまるっきり違ってます。「ここがいいんじゃない」ということを強調するあまり、ドラマ性を重視しなくなってしまうということがあって、長いことやってるとそういうところが難しいんですね。
演じていた自分自身が評価すると、自分に一番あっていたものをあげるとすれば信長ですね。29歳の時に『国盗り物語』の信長、49歳の時に12時間ドラマでも信長を演じました。20年の年を経て同じ役柄を演じて、信長の持っているものを表現することにおいて、私は合っているな、と思っています。非常に好きな人物でもあるし。それと、自分のライフワークとしての桃太郎。何人か諸先輩が演じているのですが、ああいう形で、テレビで桃太郎というのを築き上げたのは、私の作品が長かったものですから。
258話のどのへんから「違って」くるのかを見極めるのも、今回放送の見どころになるのではないでしょうか。

いずれにしても、時代劇のエースと呼ばれた男の“ライフワーク”を改めて鑑賞するのが楽しみです。

桃太郎侍 第8巻 (キングシリーズ 小池一夫超時代劇デラックス)

桃太郎侍 第8巻 (キングシリーズ 小池一夫超時代劇デラックス)

  • 作者: 山手 樹一郎
  • 出版社/メーカー: 小池書院
  • 発売日: 2008/06/28
  • メディア: コミック


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