『西部警察 全国縦断ロケコレクション -福島・宮城篇-』(ポニーキャニオン)というDVDが、発売日である今日、いきなり16位に入ってきました。ジャニーズやAKB48らの“1位当たり前”戦略に慣らされていると、「何だあ、大したことはない」と思われるかもしれませんが、これは34年も前のTVドラマです。
『西部警察』は、1時間ドラマのレギュラー番組として3回(1979年10月14日~1982年4月18日、1982年5月30日~1983年3月20日、1983年4月3日~1984年10月22日)、さらにスペシャル番組として2004年10月31日に放送されました。
このポスターよくできていますね。石原プロ制作の刑事ドラマです。刑事物に分類できる作品は他にたくさんありますが、このドラマはとにかく拳銃打ちっぱなし、家屋や車は本当に燃やす、壊す。中には市電を爆破させたことも。
平均視聴率14.5%では見合わないようなコストがかかっていました。
そして、事件は同情する余地のない悪いやつによる凶悪犯罪。
刑事ドラマでも、切った張ったのシーンがない「人情モノ」や、犯人の葛藤に焦点をあてた心理描写重視のものもありますが、そうした作りとは対極にあります。
理屈抜きでインパクトの有るわかりやすい勧善懲悪アクションドラマにしようということだったんでしょう。
出演は石原裕次郎、渡哲也、舘ひろし、寺尾聰、藤岡重慶、苅谷俊介、庄司永建、古手川祐子、佐原健二ほか。例の石原軍団ですね。ドラマの中では「大門軍団」と呼ばれています。
庄司永建の「ダーイモンくん」というカン高い声は物真似にも使われました。
CSでも放送始まる
『西部警察 全国縦断ロケコレクション -福島・宮城篇-』は、全236話の中から、福島・宮城でのカーチェイス、爆破シーンや、観光名所などを収録したものです。
他にも静岡・愛知篇、北海道・山形篇、広島・岡山・香川篇など、地域ごとにまとめられたものが発売されています。
今月から、ファミリー劇場で「PartII」が始まったこともDVD発売と相乗的な宣伝効果があるのでしょう。
私は、リアルタイムでは正直なところ、必ずしもファンというわけではありませんでした。
当時は派手で荒唐無稽だなあぐらいに思っていましたし、裏(日曜20時)には私好みのライトコメディなドラマもあったからです。
ただ、今見ると、そこまでするか、と思えるほど徹底する、こういう娯楽もありなのかな、という気もしています。
当時だからできたといえばそれまでかもしれませんが、事情や背景がどうであろうが、ちゃちな特撮でごまかさずに、本物の道路を封鎖する、本当に燃やす、本当に壊す、というお金も手間暇もかかるリスキーなことを毎週続ける姿勢は、クリエーターという視点から見ると深い敬意と信頼をおけるものです。
また、今見ると、PartIIについては、デビュー作の『シークレット部隊』(TBS)というドラマではぱっとしなかった三浦友和が、3番手ぐらいの重い役をきちんとこなしていることがわかります。
それが、2004年に同局の45周年記念特別企画として制作された『弟』で、晩年の石原裕次郎役を好演するきっかけになっているのだなあと考えると、作品に対する興趣はいっそう深まります。
DVDが今でも売れるのは、この作品にいろいろな車が登場したり各都市のロケがあったりするため、30年以上前のドラマであるにもかかわらずマニアが多いからです。
私のように、リアルタイムでは評価しきれなかった点を、CSの放送で改めて認識した人もいるでしょう。
このドラマをご存じない世代の方が記事をご覧になっているかもしれませんね。派手すぎて好き嫌いはあるかもしれませんか、当時はこういうドラマもあったのだ、ということを1度ご覧になっていただければと思います。
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