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親の過干渉、バブル世代の“就活” [社会]

親の過干渉か愛情に基づいた適切なアドバイスか。『女性セブン』(4月25日号)には、「親がバブル世代だから失敗するんです」という記事があります。就職氷河期は世の中が悪いのか、企業が悪いのか、実は親も悪い、という主旨の記事です。

親がバブル世代だから失敗するんです

最近のニュースを見て驚いたのですが、今は大学の入学式や卒業式まで親が顔を出すのですね。幼稚園や小学校ならまだしも、大学卒業式といえばはやくて22歳。本人は成人しているし、同級生の半分は就職して社会人として働いているんですよ。

私は大学のモラトリアム生活自体を否定しませんが、この件に限って言えば、いいかげん、親離れ・子離れした方がいいんじゃないの、と思います。

そういう親世代は、子供の就活にも口を出すのだとか。私には大学生の子供はいないので、改めて驚きました。

企業によってはそれを支持する声があるものの、反対意見は当然あります。
法政大学キャリアデザイン学部教授で、『「親活」の非ススメ』(徳間書店)の著者、児美川孝一郎さんはこう話す。
「将来の進路について、本来はゆとりのある大学1~2年生の問に親子でじっくり話せばいいこと。就活の時期になって親がしゃしゃり出てくるから、親子関係までおかしくなったという家も多いんです」(中略)
今の大学生は“同世代の過半数を占める大衆”で、大学生の数自体も、バブル世代を上回っています。グローバル化による社会構造の変化や、就職活動スタイルの変貌など、社会変化が急速すぎて、バブル時代の常識はもはや一切通用しません。それなのにバブル世代の価値観で子供の就活に介入するから、失敗するのです。子供と二人三脚で過ごすのは、例えば20才までなどと決めるべき。そうしないと、次は婚活などとエンドレスです」 (児美川さん)。
親の干渉賛成派も、「バブル世代の親の経験だけをもとに子供にアドバイスすれば子供を追い詰めるだけ」と警告する談話が出ています。

今の生活に手いっぱいだったら、干渉する余裕はないと思うのですが、要するに干渉する親というのは、「ヒマ」なんでしょうか。うらやましい限りですね。

同誌は「まとめ」として、次の5か条を枚挙しています。

親がすべきこと5か条
1.とにかく正社員として就職させる
2.就活のための資金を提供
3.親の仕事や職種の内容を話す
4.企業や就活のことを正しく理解する
5.教えるのではなく精神的な支えになる

親がすべきでないこと5か条
1.子供の代わりに親が就活する
2.傷つけたり、負担になることを言う
3.先回りして子供の成長の機会を奪う
4.見栄や世間体など親の価値観を押し付ける
5.短視眼的になり短いスパンで考える

う~ん。

私の意見としては、「すべきでないこと」はこれでいいと思いますが、「すべきこと」は否定すべきことや留保すべきことも含まれていると思いますね。

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たとえば、「1.とにかく正社員として就職させる」。

私は反対です。これはむしろ「すべきでないこと」だと思います

そんなことは子供自身が判断すべきことだと思うからです。

私の経験からもいえるのですが、就職するつもりだったけれども、卒業したら大学院に行きたくなったとか、出身学部とは異なる分野に興味を持つということだってあります。

分野が違う仕事を志せば、大学に再入学したり、専門学校に入りなおしたりしなければならないかもしれません。

でもそのときは、多少回り道しても、そうした方がいいと思います。

また、仕事によっては、結果としてアルバイトから入った方がいい場合だってあります。

川竹文夫さんという、担がん(腎臓がん)の講演などを行っている方は、NHKの集金人からディレクターに採用された経歴を持ちますが、ディレクターになりたいからNHKの「正社員」を目指す、という融通の利かない考えを持っていたら、生涯なれなかったかもしれません。

弱小制作会社のアルバイトだろうが、集金人だろうが、「NHKのディレクター」につながっている道を選択するというのもひとつの生き方だと思います。少なくとも本人は後悔しないでしょう。

とにかく、心に思うことと違うことで「正社員」で就職しても、その仕事に全力投球できず後悔の気持ちが残るかもしれないし、年を取ってから結局退職してやり直し、なんてことにもなりかねません。

そうなっても、親に責任はとれないでしょう。親子は別人格なのですから。

要は、親の過干渉は善意だの愛情だのという根拠があっても否定すべきだと私は思います。

子は親の背中を見て育つといいます。つまり、もともと、親の影響を良くも悪くも受けるものなのです。

親はむしろ、子は子の人生を自由に歩めるように、自分が邪魔しないようにすることを心がけるべきです。

私の母親は教育熱心、というより学歴熱心(苦笑)で、私はたいして裕福な家でもないのに塾に行かされお受験も経験させられました。何ひとつ自分が得心したものはないけれど、それに代わる価値観も自分の中で確立できず、結局新卒で入った日本一大きい広告代理店系の会社はすぐに(なんとたった1日)やめてしまい、25歳で大学に入り直し、30歳で大学院受験⇒失敗と、回り道というより迷走しまくりのとっちらかった人生になってしまいました。

妻は逆に教育否定、学歴否定の無原則な家庭で育ったために、自分が望む進学も果たせず、やはり回り道して大学に入っています。

そんな経験から、子供の人生に干渉する親はいい親ではない! というのが私たち夫婦の共通した結論なのです。

異論・反論かまいません。でも、子供の意思や価値観や能力が全面開花できる人生、前向きに考えていただきたいですね。

「親活」の非ススメ  “親というキャリア

「親活」の非ススメ “親というキャリア"の危うさ (徳間ポケット)

  • 作者: 児美川 孝一郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2013/03/23
  • メディア: 単行本


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コメント 30

ハマコウ

「親がすべきでないこと5か条」には納得するのですが
「親がすべきこと5か条」は⑤以外はそうかなあと思ってしまいます
by ハマコウ (2013-04-28 16:36) 

motosoft

いったん、親が過干渉してしまうと、子どもは、親を頼るようになりますし、うまくいって当たり前、うまくいかないと、親のせいにします。
干渉の度合いなんでしょうけれども、度合いのさじ加減など、誰にもわかるものではないと思いますので、結論として、親がなすべきことは、ない、と考えてたほうがよいように思います。
精神的な支えになる、というのは、何もせずとも、子どもから親を見れば、暗黙で、そうなっていると思います。
by motosoft (2013-04-28 17:24) 

heroherosr

就職活動までで終わらずに、今は入社後も社員の親が口を出してくることがあって面倒くさいことになっています。
私もさっぱり理解できませんよ。
by heroherosr (2013-04-28 17:37) 

isoshijimi

この手の話は、初めて聞いたときは、正直自分たちの世代でもない話だったのでびっくりしました。
世代が変わると色々変わるものですね。

何が正しいとかはわからないですけれども、自分のこれまでは、色々な転機においては自分で判断させてきてくれて、またそれで自分は良かったと思っています。
もちろん歯がゆい思いをしたり、いらいらしながら、親はきっと見ていたこともあると思うのですが、黙っていてくれました。

by isoshijimi (2013-04-28 17:41) 

iruka

人それぞれ
自分で道を切り開くしか
ないでしょうね。
by iruka (2013-04-28 17:52) 

K

自分の子供たちはまだ小学生なので、
今は「まだ就職のことは・・・」と思っていても
すぐその時が来ちゃうんでしょうね
by K (2013-04-28 18:06) 

うつ夫

「ゆとり」とか「バブル」とかの世代って
社会のお荷物化していませんか。
by うつ夫 (2013-04-28 18:16) 

moto_mach

私は賛ですね
最終的に無責任になってしまうであろう
干渉はすべきではないと思いますよ
by moto_mach (2013-04-28 19:54) 

ikamasa

こんにちは。子供に干渉できたらいいのか、しないのがいいのか、どちらも環境によってだと思いますが、ゆとりの世代でよい思いをした両親の子供は、ゆとりの外にはじかれる可能性が多いでしょうね。本人次第でしょうが。伝統的なしつけが身についているか、いないか、そのあたりが独立していけるかどうかの境目ではないでしょうか。
by ikamasa (2013-04-28 20:47) 

藤並 海

高校に入ったら時々真剣に進路の話をして
あとは本人に任せるのが一番だと思います
進学したいと言ったときの為に
学費だけはちゃんと貯めておいてあげれば
他は口出しすべきじゃないと僕は思ってます
by 藤並 海 (2013-04-28 21:45) 

繭

過干渉の親も自分の生きがいになるような趣味とかを充実させたら良いんですよ。
多分、さしてやりたいことがなく、同じ努力するなら自分の興味のあることってなると子どもになっちゃうんじゃないですか?
親が一人の個人として大人として、自分を確立出来れば変わってくるんじゃないかと思ったりします。
by 繭 (2013-04-28 21:48) 

昆野誠吾

正社員にすること、笑っちゃいますね!
30年前の日本ならばそれもアリだったかも
しれませんが、時代錯誤も甚だしいと思います。
いつまでも子に関わろうとする心理には
自分がしっかりと教育できなかったという
不安もあるのではないかと思います。
15歳位までにしっかり教えこんだという自負があれば
我が子を信頼できるはずです。
とはいえ私はまだ親になって1年、何がわかるんだと
言われてしまいそうですが^^;
ただ、「バブル世代だから」といった枠でくくるのは
あまりにも稚拙じゃないかと思いました。
星占いなんかと同じですね(笑
by 昆野誠吾 (2013-04-28 22:34) 

只野親父

ご訪問&NICE ありがとうございます。
実は我が家の息子もニート予備軍?
親父は黙って見守っているだけです。
by 只野親父 (2013-04-28 23:13) 

ナベちはる

子供たち自身の方が「就活でやるべきこと」は解っているはずなのに、それをとやかくああしろこうしろって言うのは子供たち自身の就活の邪魔になるように思います。
by ナベちはる (2013-04-29 01:14) 

足立sunny

親になったことがないので、この問題の答えは永遠にわかリませんが、親にあれこれ強制されて進路がめちゃくちゃになった兄と、自分で好きに選べて思うことの出来た自分では、自分の方がはるかに恵まれていたとは思っています。
手を差し伸べるのは、いいと思うのですが、親の価値観を押し付けても、事はうまく運ばないのでは?と思ってしまいます。
by 足立sunny (2013-04-29 01:30) 

みど

自分がバブル後半世代なので、こどもがいなくて良かったって思いました(;´∀`)
こども向けのダンス等のお教室でも、自分と同世代の親たちの出しゃばりは凄いです。こどもが自分で選択するっていうこと学ばずに成長するのは怖いですね。
by みど (2013-04-29 02:59) 

おっつぁん

今の親御さんは、お子さんが小さい時から行事をビデオ撮影するとかしてきたので、そのままずるずる大学まできちゃったんでしょうね。でも就活は本人の問題なので口出しはいけませんね。
by おっつぁん (2013-04-29 04:28) 

pandan

うちも口出ししない方です〜
by pandan (2013-04-29 04:37) 

muk

つながっている道を目指す。というのは良いですね。
最近講演会で「天命追求」という言葉を良く効きます。
目標に向かって突っ走るのは欧米型で、日本人は目の前にあることを一生懸命やっている中で、自分に向いたステージに上がっていくのが向いていると教えてもらいました。
それにつながる言葉だと思います。
by muk (2013-04-29 04:51) 

cheese999

正社員でもね。。ブラック企業もあるし。。
(^_0)ノ
by cheese999 (2013-04-29 05:55) 

なんだかなぁ〜。横 濱男です。

線引きは、必要ですね。

by なんだかなぁ〜。横 濱男です。 (2013-04-29 08:50) 

はなぶく宇宙人

なんとも言えないところだと思います。
こんなことを言ったら、元も子もないですが、その親にもよるし、子にもよるでしょうね。
基本的に、子の意思を尊重すべきだと考えますが、必ずしも干渉することがいけないとも考えません。場合によっては、それも親のつとめの一つのように思います。
「1.とにかく正社員として就職させる」は、ほとんど的外れなんじゃないかと感じますね。
わたしもバブル世代ですが、確かに今の世の中と感覚とのズレを感じもしますが、あまり関係ないでしょう。
by はなぶく宇宙人 (2013-04-29 09:06) 

ponnta1351

親の無関心も目に余ることが有りますが、過干渉も問題ですね。
孫(男)が就職決まり決まったそうです。息子の場合も私は何もタッチしませんでした。自分で全て決めました。もう、50のおっさんですけどちゃんとやって居ます。
by ponnta1351 (2013-04-29 09:39) 

雪花

親がバブル世代で子供がゆとり世代!!
我が家にピッタリ当てはまっちゃってます
親向けの企業説明会があったりで
ビックリでした!(◎_◎;)
誰の為の就活なんだろうね〜って感じです
自主性は、幼児期から育んであげたいと思いましたよ

by 雪花 (2013-04-29 10:50) 

PATA

私の就活時代は丁度バブル期の頃で
職業はたくさんあったのですが
なりたい職につけず、違う職種の会社に就職しました。
親は相談には乗ってくれましたが、干渉は一切しませんでした。
親の過干渉は今の恵まれすぎた子供に
百害あって一利なしです。
プレッシャーが強すぎて可哀想とは思いますけどね・・・。
by PATA (2013-04-29 12:38) 

まめ

就職時に親が話をしにくるとかいうことを聞いたことがあります。
まぁ、我が両親はどちらかと言うと放置でしたから、その点は
楽でしたw
今の子も親もどっちもどっちなんでしょうね。
肝に銘じておきます。
by まめ (2013-04-29 13:59) 

さうざんバー

就活中の娘を抱えているので、ホント身につまされます(^^;)が、すべき事は②と⑤以外はやってません(^^;)ゞってか、する気もありません(^^;)自分の人生ですから、自分でどうにかしなきゃ、親は先に逝きますから(^^;)ゞ
ウチは、18歳でお家を出てもらってます(^^)v独り立ちは、親の居るトコロから出る!事から始まると考えたので(^^;)ゞこれが正解かどうかは、これからですね(^^;)ゞ
by さうざんバー (2013-04-29 14:36) 

風船かずら

両親とも教育とか子育てとか、本当に大切なことをわからないで子育てをしてしまって、子供にはすまなかったと思っています。しかし今の時代簡単ではないように思います。
by 風船かずら (2013-04-29 17:05) 

ももっち

親がしっかりしてなかったんで(^^;
幼い頃から自分のことは自分でやる、決めるというのが
当たり前だったんで”親がやるべき5か条”自体が
うらやましいというかなんと言うか・・・。
でも自分の人生なんで自分で選択することをさせないとね。


by ももっち (2013-04-30 04:18) 

CROSTON

正社員になれず家に閉じこもる子が増えてしまい、
また、それを認めていなくても、家にいることを結局は
容認してしまっている親たちがいるからこそ
『正社員として就職させる』が項目に入ったんでしょうね。
そんなことが項目に入ってしまうなんて、日本って
大丈夫かなと心配になります。。。
by CROSTON (2013-04-30 14:30) 

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