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食品別糖質量ハンドブック、で「食と健康」を正しく! [食べもの]

「食品別糖質量ハンドブック」(洋泉社)という本がアマゾンのランキングで上位に食い込んでいます。

「食品別糖質量」というタイトルどおり、食材や食品など1001品目について、糖質・カロリー・塩分・たんぱく質量といった栄養成分を明らかにしています。穀物や肉・野菜だけでなく、調味料や市販食品、外食まで幅広く掲載しているのが特徴です。

書籍のランキングといえば、小説や漫画や啓蒙書など娯楽的な「読み物」が並ぶと普通は考えます。

が、調理師や栄養士の教材のようなタイトルと内容の「食品別糖質量ハンドブック」が上位にくるということは、それだけこんにちの消費者の「食と健康」に対する関心が高まっているということでしょうか。

「ダイエット・糖質制限に必携!」という帯の惹句も、購入の意欲をかきたてるのかもしれません。

私自身は、ダイエットは必要ない体格ですが、正しいデータを知りたいという欲求から、この分野の情報には関心があります。

あいまいな宣伝や健康情報ではなく、数字という客観的なもので、その食材・食品について認識を得ることは、合理的にものを見る第一歩だと思うからです。

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アマゾンで上位に食い込んでいるのは、多くの購入者の方々もそうした意識を持っているからかもしれません

ただ、その客観的な知識をいかなる価値に使うか、ということには、注意を払う必要があると思います。

もちろん、同書自体が何らかのミスリードを招く、という意味ではありません。

その逆で、せっかくの「正しい数字」を知ることを、読者が間違った方向へ努力する契機にならないように、という思いをもっているのです。

「フードファディズム」という言葉をご存知でしょうか?

食品に含まれる栄養素や、特定の食材が健康と病気に与える影響を過大に信じることです。

健康情報をうたうテレビ番組で、「○○を食べると健康にいい」「△△を食べると××になる」といった食材や食品の取り上げ方をするために、こうした考え方が流行することがあります。

先日も「大豆の話」で書いたように、人類の長い歴史を経て淘汰されずに私たちの食卓にのぼる食材や食品は、いろいろなものを食べることで、食材同士がそれらを補完したり相殺したり相乗したりして、バランス良く栄養を摂ることができると私は考えます。

たとえば、小豆はポリフェノールや食物繊維を多く含みますが、ビタミンAやビタミンCがほとんどないといわれています。逆に、ビタミンはあるけれどもカロリーがない野菜もあります。そこで、野菜サラダを食べる時は、小豆を加えることで栄養のバランスがとれるわけです。

ところが、特定の栄養素や食材の「いいところ」と「わるいところ」だけを取り沙汰すことで、ともすれば、「いいところ」だけを食べたり、「わるいところ」のある食材・食品を徹底的に回避したりする食生活の偏りがうまれ、そのバランスがくずれる可能性があります。

「ダイエット・糖質制限に必携!」という惹句がついていることはすでにご紹介しましたが、たとえば、病気の改善など、専門家の指導を必要とする目的がある場合は、第一義的に医師などの指示に従うべきであり、あくまでも「家庭でできる範囲の努力」として参考にすべきだと思います。

血糖値の高い方の方からはよく、「薬か食べ物(の改善)が必要なんだけど、だったら食べ物で頑張ってみる」という話を聞くのですが、これなどはフードファディズムの典型的な例で、それはおそらく「あれか、これか」と選択すべきものではなく、両方行わなければならないものだと思います。

この「食品別糖質量ハンドブック」は貴重なデータだけに、私自身もそういう使い方は避けたいなと思います。

食品別糖質量ハンドブック

食品別糖質量ハンドブック

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 洋泉社
  • 発売日: 2012/10/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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コメント 12

1stdmain

データとか統計って、使い方次第でキケンな所はありますね。
ニセ科学とかってみんなそうでしょう。全部デタラメじゃなくて、もっともな科学の話も散りばめられているから騙されちゃう。
by 1stdmain (2012-10-28 02:19) 

bamboo

お食事は美味しければいいと思ってました。
栄養素の本がそんな売れるなんて・・・・
みなさん、真面目なんですね。
by bamboo (2012-10-28 03:02) 

wattana

いっぷくさん、おはようございます。
フードファディズムといえば、高橋久仁子さんの講演を2回聞いたことがあります。とても興味深い内容のお話でしたが、それよりも話しぶりがとても印象に残りました。
by wattana (2012-10-28 04:31) 

rtfk

細かいことは気にしないのですが
なるべく多くの種類の食材を
食べるように心がけています(^m^)

by rtfk (2012-10-28 04:54) 

pandan

バランスが大事ですよね、
偏った食事は気をつけたいと思います。
by pandan (2012-10-28 05:44) 

beny

 カロリー計算などは、プロのアスリート家庭だけだと思っていました。高齢化が進むなか健康志向が強くなってきたんでしょうか。塩分が多かろう少なかろうと無頓着に食事をしていますが節酒だけは心がけたいと思っているのですが、なかなか。
by beny (2012-10-28 07:33) 

まー坊

nice!&コメントありがとうございました。
僕も40歳を超えてから、「健康」という言葉に敏感になりました^^;
by まー坊 (2012-10-28 13:47) 

しばちゃん2cv

健康、健康、健康命!
健康のためなら死んでもいい!
って人多いんじゃないでしょうか。
私も含めて。
by しばちゃん2cv (2012-10-28 17:20) 

繭

私は、糖分が多くても食事のデザート的なものはOKと聞いてました。
でも、細胞の糖化云々で控えるようになりました(笑)。
by 繭 (2012-10-28 18:07) 

這い上がるママ

結局は、偏らずにいろんなものを食べるのがいいのかな。
by 這い上がるママ (2012-10-28 19:41) 

ダミアン88

「うまいものを食べる事」が近年は悪い食事を摂る事になっている様な気がします。昔の人のいう「うまい飯を食う」は決して偏った食事を摂る事ではないと思いますが、食材が溢れて いくらでも手に入るからですかね~?
by ダミアン88 (2012-10-28 20:58) 

えのみ

なかなか30品目を摂ったりするのは難しいですが
バランスよく食べたいですね。
by えのみ (2012-10-29 02:33) 

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