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「小鹿注意報!」はブログから書籍になった [スポーツ]

今日はブログの戦後史……というほどブログの歴史は古くありませんが、ブログの書籍化について書いて見ます。

ITmediaの調査報道によると、わが国のブログ人口は2000万人に到達したといいます。

日本人は約1億2500万人ですから、6人に1人がブログを持っていることになります。

2000万「人」ではなく2000万「ブログ」の間違いではないの?という気もしますが、それはともかくとして、それだけたくさんの人が利用するなら、いろいろな利用の仕方ができます。

たとえば、2ちゃんねるから「電車男」が出たように、おもしろいブログを書籍にすることもできます。「できます」というより、実際にブログから書籍になった例はあります。

たとえば、現在もライブドアブログで続いている「小鹿注意報!」もそのひとつです。

グレート小鹿という最年長プロレスラーが、自らのプロモーションや会社(大日本プロレス)の広報活動にはじめたブログが、あるときYahoo!に紹介されてからアクセス数が急に伸び、編集者の目に留まって同名の書籍が上梓されました。

グレート小鹿といえば、力道山時代に日本プロレス入りし、その後、ジャイアント馬場とアントニオ猪木が独立して日本プロレスが崩壊すると、ジャイアント馬場の全日本プロレスに合流。引退後は大日本プロレスを立ち上げました。

もちろん現役最古参で、力道山時代から現在までを語れる唯一の人として、ファンや業界関係者としては当然、その書籍に注目しました。

私のその一人でした。まさに、「戦後史としてのプロレス」を読んでみたかったのです

ですが、よく読むと、「これは違うだろう」という箇所がいくつもあります。意見の違いではなく、事実誤認という意味です。

とくに、ジャイアント馬場を誹謗する意図が強く感じられる「事実誤認」があるのですが、昭和プロレスに興味がない方は、何のことやら、という話なので、囲みとして手短にその部分を書いておきます。興味のない方はこの部分、読み飛ばしてください。。
ベテランレスラーのミツ・ヒライが引退するとき、出場選手がその日のギャラを持ち寄って慰労金として渡そうと提案。長州力らが賛成したのに、ジャイアント馬場社長が反対したというくだりがあります。
が、ミツ・ヒライが引退したのは1977年12月で、引退式は翌年8月の地元神戸大会でした。長州力らの新日本プロレス脱退組が合流するのは、そこからはるかに先の1984年12月です。
つまり、その事実はない、と第三者でも断言できる話です。
しかも、合流後まもなくグレート小鹿は頚椎を痛めて戦列を離れ、それがきっかけで結局全日本プロレスの契約を解除されました。
要するに、小鹿選手はそもそも長州力との接点自体ほとんどないはずです。
私は最初、ミツ・ヒライではなくロッキー羽田の間違いではないかと思って読んでいましたが、羽田の引退より前に長州力は全日本プロレスを離脱していますし、その頃はすでに小鹿は巡業からもはずされていました。
もうひとつ。日本プロレスがつぶれた時、社長として最後まで残った芳の里に給料を出すことを条件に、日本プロレスの資産(タイトルやトロフィーなど)を買い取る話を新日本プロレスと進めていたのに、ジャイアント馬場が途中から入ってきて、同じ条件でウチにそれを回してくれといってきたと書かれています。
交渉を任されていたグレート小鹿は、日本プロレスの選手残党が全日本プロレスの世話になっているからジャイアント馬場の頼みを断れなかったが、ジャイアント馬場は嘘をついてそれより実際には安い条件で買い叩いた、という話も出ています。
お金の交渉は、当事者しか知りえないことなので何ともいえませんが、世間体を人一倍気にするジャイアント馬場が、グレート小鹿がいうようなことをするのかは懐疑的です。「騙す」のなら、もっと上手にするような気がします。
少なくとも芳の里はその後、6年間、日本プロレスはとっくに崩壊しているのにNWAの会員として名前が残っています。馬場としては自分の味方を残す意味もあったとは思いますが、芳の里を実態もないのにプロレス会社のオーナーとして顔を立て続けたということもいえるわけです。

なぜ、こんなことを書いたのだろう、と考えると、ちょうどこの頃は、ジャイアント馬場が亡くなって神格扱いされる時期がひと段落して、その反動でアンチが盛り返す時期だったのですね。

ブログも、ジャイアント馬場の悪口を書いたほうがトレンドというか、より注目されやすい状況にあったのだと思います。

2012年のライブドアブログ「小鹿注意報」を見ましたが、今はジャイアント馬場の悪口は陰を潜め、プロレス史上に残る選手として敬意を払いながら、思い出話を書いています。同じブログなのに、180度違う書き方です。

個人ブログだからそういうこともあっていいのですが、商品(書籍)としてみた場合、単行本と連載中の趣旨が180度違うとやはり読者は戸惑うのではないでしょうか。

自分のブログがいずれは本になるかもしれない。

それは、多くのブロガーにとっての夢であり、目標かもしれません。

出版界にとっても、コストをかけずに有力な作家や作品を発掘できる機会でもあると思います。

それだけに、実際に書籍化する場合には、編集者がついて、きちんと手直しをして欲しいと思います。

そうでないと、「所詮ブログからできた書籍は信用ならない」という評価が巷間で固まってしまうかもしれません。

もちろん、ブログ記事そのものが、表現者としてのルールを守って書かれていることが前提であり、私のように「一発勝負」で書いていると、誤字や脱線やうろ覚えも少なくありません。

が、まあ私の場合はそういう野心よりも、個人ブログとしての気楽さでやっておりますので、そういうことになったらまた考えることにします(笑)

グレート小鹿の「小鹿注意報!」―黄金のプロレス伝説、ここにあり!!

グレート小鹿の「小鹿注意報!」―黄金のプロレス伝説、ここにあり!!

  • 作者: グレート小鹿
  • 出版社/メーカー: 五月書房
  • 発売日: 2006/12
  • メディア: 単行本


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コメント 10

1stdmain

私も毎日こうやってコメントまわりしてるんですけど、コメントは書籍化されませんかねえ。
by 1stdmain (2012-10-11 01:38) 

pandan

書籍化されて微分で読み返すのも
良いかもしれませんね。
by pandan (2012-10-11 06:26) 

beny

いっぷくさんは、プロレスがお好きみたいですね。私は、北斗やアジャの女子プロと馬場、タイガーマスク、ラッシャー木村の全日を見に行きました。
WWEのリックフレーヤーはテレビで見てました今は熱が覚めました。
by beny (2012-10-11 08:15) 

ダミアン88

いっぷくさん、凄くお詳しいですね(驚)
馬場さん(というより元子さん)は
興業能力(永源・天龍etc)かノベルティー(ジャイアントサービス・TVetc)で選手を判断するところが強かったんでは?
よく売り子やっててブツブツ言ってた選手はすぐ引退してますね(折原や井上はまだいますか?)
小鹿さんはちょうど東の永源、西のマイティーと2大興業ラインが入ってきて随分煮え湯を飲んだ事と思います。
by ダミアン88 (2012-10-11 10:38) 

chima

編集者にも意識の高いヒトと低いヒトがいると思います…
きちんと仕事してほしいですね
by chima (2012-10-11 15:57) 

リキマルコ

長州力という言葉が何度も出てきて、とても心地よい気持ちになりました( *´艸`)リキー♪
by リキマルコ (2012-10-11 16:19) 

PATA

ブログを本にしたいと思ったことは何度かありますが
色々問題もあるのですね。
by PATA (2012-10-11 18:13) 

uryyyyyy

いっぷく さん、こんばんは。

ブログには個性がとても現れますね。
そこがまたブログの良いところかな。
by uryyyyyy (2012-10-11 21:08) 

銀狼

流石にお詳しくていらっしゃいますね^^
私も少し読んだ事がありますが、
同じような印象を持っておりました。
一時期は馬場さんに対する誹謗中傷を書く
レスラー・元レスラーが確かに多かったですよねぇ。

by 銀狼 (2012-10-11 22:47) 

若

初めまして 若と申します!

これから ちょくちょく ブログ 見させてもらいますね。

よろしくお願いします!
by (2012-10-13 00:16) 

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