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がんばれ朋之!18歳、植物状態からの生還265日の記録 [遷延性意識障害]

ケンタロウ(小林健太郎、料理研究家)が、「高次脳機能障害」で両手足に麻痺、言語障害や記憶障害が出ていると報じられたのは8月21日に発売された雑誌『女性自身』でした。

今年の2月4日深夜、オートバイを運転中に、首都高速道路外苑出口のカーブを曲がりきれず、6メートル下に落下。「頭部骨折などの重傷を負った」と報じられて以来のこと。

6メートル下に落っこちてよく生きていられたなあ、「重傷」ではなく「重体」ではないかと私は事故当時思いましたが、その見立ては当たっていたのではないでしょうか。

週刊誌の記事を見る限り、ケンタロウは「高次脳機能障害」ではなく「遷延性意識障害」ではないかと思います。

自力移動ができない、自分で食事ができない、意思の疎通ができないといった要介護5、一級身障者の「植物症」状態が3ヶ月以上続くと、それは遷延性意識障害といいます。

2ちゃんねるでは、例のごとく「無理に生かしているのも酷だ」などという「安楽死のススメ」が書き込まれましたが、トンでもない。

遷延性意識障害は、脳幹が生きた状態なら呼吸や循環をつかさどる機能は問題ありませんから、少なくとも6ヶ月も経過していたら「命に別状はない」状態なのです。「安楽死」なんて何を抜かすか!です。

もちろん、「高次脳機能障害」なら状態次第で社会復帰できますが、「遷延性意識障害」は寝たきりなのですからそれは無理です。しかし、将来回復する可能性はあるので、家族は明日を信じて介護を続けているのです。ですから、ただ「生かしている」状態とも違うのです。

桑名正博のときも書きましたが、社会復帰できなければ死んだほうがマシという書き込みが、どれほどむごいことか。

無知というのは悪気のあるなしに関わらず残酷だなあと思いました。

私の妻子は一酸化炭素中毒だったのですが、実は私の長男も1年前はケンタロウと似たようなものだったので、小林家の苦悩はよくわかります。(と書きましたが、小林カツ代さんは知らされていないのですね)

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でも、気を落とさないでください。

一般にケンタロウのような交通事故の脳挫傷の方が、一酸化炭素中毒よりも回復の見込みは高いとされています。

私の長男は、要介護5、一級身障者の「植物症」認定をされたその月から急に歩き出し、その翌月には会話も回復していました。担当医は最初、「人工呼吸器をはずすところまでは頑張りましょう」と言っていたのですが。

私の妻のように、心肺停止になるまで一酸化酸素を吸っても、脳に全く異常がないこともあります。

ICUに入院していた私の次男に、小児脳神経内科の医師団が知能テストとしてボールペンを手渡し、次男がキャップをとろうとすると、医師団は「うオーッ」とどよめいていました。次男はボールペンの記憶も失ったと思ったんでしょうね。

ことほどさように、脳はまだまだ医学ではわかりません。医師は状態を見ることはできても回復の予想ができないのです。

ですから、根拠のないなぐさめではなく、実感をこめて、ケンタロウ一家も望みをもって欲しいなと思います。

……と、前置きが長すぎました。

今日は『がんばれ朋之!18歳、植物状態からの生還265日の記録』(宮城和男著、あけび書房)という書籍について書こうと思っていました。

かいつまんで書きますと、高専生が交通事故で植物症になったが、回復して自動車免許を取るまでになったという話です。

書籍になるということは、残念ながら、そこまで回復するケースは少数派です。結果的にずっと寝たきりになっている場合が少なくありません。

ただ、リハビリの時期や方法によって、回復できるものができなかったり、その逆だったりすることはあります。ですから、家族の方々は、明日を信じ、成功談は積極的に採り入れたほうがいい、と思います。

『がんばれ朋之!18歳、植物状態からの生還265日の記録』には、
・寝たきりにさせない(本人の意識に関係なく車椅子にのせて脳に刺激を与える)
・積極的に風呂に入れる
・理学療法士や作業療法士などとの関係を大切にする(治療者は医師だけではない)
・いわゆる老人病院(慢性疾患患者病院)には入れない
などが書かれています。

私の体験では、それに加えて
・意識が戻ったらさっそく普通の人のように扱う(病人のように扱うとそうなってしまう)
・意識回復直後は嚥下ができないので、布キレの中にガムを入れて咀嚼と嚥下の訓練を行うと食事と会話の回復に役立つ
・意識回復途上にはipodに好きな番組の動画や音楽を入れて見聞きさせると意識清明に有用である
・昏睡状態でも反応するツボがあるのでそこを刺激していると覚醒する可能性がある
・気管切開はなるべくしないほうがいい

まあ、私ごときが偉そうなことを書かなくても、家族の方々はいろいろな情報をお持ちだと思いますので、家族会なども積極的に入るといいと思います。

ケンタロウ一家にも見て欲しい。『がんばれ朋之!18歳、植物状態からの生還265日の記録』です。

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がんばれ朋之!18歳―植物状態からの生還「265日の記録」

がんばれ朋之!18歳―植物状態からの生還「265日の記録」

  • 作者: 宮城 和男
  • 出版社/メーカー: あけび書房
  • 発売日: 1996/12
  • メディア: 単行本


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えのみ

ケンタローさんのことはお母様にはないしょだとか・・・。
でも命がある限り可能性を信じたいですね。
by えのみ (2012-10-09 02:45) 

pandan

ケンタロウさんの料理番組が好きで
毎週楽しみにしていました。
人間の回復力って、
未知ですよね、応援することしか出来ないけど、
がんばって欲しいです。
by pandan (2012-10-09 05:40) 

chima

高次脳機能障害も遷延性意識障害も
あんまり聞かないので状態についてよくわかりませんでした
植物状態と聞くと諦めなくちゃいけないのかな…
と思ってしまうのですが
希望をもって接することが一番なんですね
by chima (2012-10-09 07:06) 

hatumi30331

ケンタロウさんの本持ってます。
人間の底力ってあると思うので・・・
あきらめない事ですね。
そんな話しを小学生にしている私・・・・
夢をあきらめないで・・・・自分をあきらめないで!
って・・・心から思っています。^^
ご自分のご家族のお話しまで聞かせて頂きました。
ありがとうございます。
益々、あきらめないこと!
強く思えるようになりました。^^
by hatumi30331 (2012-10-09 07:36) 

ハマコウ

防ぎようのない突然の事故
怖いです
可能性を信じて願うことのみです


by ハマコウ (2012-10-09 08:36) 

リキマルコ

息子さんも大変な状態だったのですね!元気になられて本当によかったです。
ケンタロウさんは大好きな料理研究家で彼にはいろいろ学ばせていただきました。私の料理が大胆なのは彼のおかけです(笑)
私も可能性を信じて待っていようと思います。

by リキマルコ (2012-10-09 09:09) 

銀狼

訳も判らない外野がとやかく言うのは、
ホント見苦しいですよね。
とにかく希望を持って、諦めることなく。。。
頑張って頂きたいものです。
by 銀狼 (2012-10-09 13:21) 

さうざんバー

貴重な体験談、ありがとうございました(^^)v 人の脳は、まだまだ未知数な所がタクサンあります!ケンタロウさんには、ゼヒとも回復してほしいですね(^^)v
by さうざんバー (2012-10-09 15:16) 

はる

ほんとに脳ってわからないものなのですね。私の妻の脳の血管がつまってしまったときは本当に心配しましたが、原因不明のまま治療がうまくいきホッとしています。希望を持って、いっぷくさんのご家族のように奇跡が起きるといいですね。
by はる (2012-10-10 00:48) 

カリメロ

望みを失った時が、終わりの時・・・
自ら終らせる事は無いですよ!
私の母は脳死宣告を受けて、残念ながら数ヵ月後亡くなったので、私もこういった状態での御家族の苦しみが分かります。
医学も日々進歩しているんですから、希望を持って、頑張って貰いたいと思います。
by カリメロ (2012-10-11 01:23) 

向日葵

遅ればせ。。
今、「朋之君」読んでいます。
あともう少し。

いつも勉強になります。
この書き込み、気が付いて下さるかな???
by 向日葵 (2015-02-05 03:01) 

いっぷく

向日葵さん、コメントありがとうございます。
朋之くんの主治医は転勤してしまいましたね。
東京ならお世話になれたのにと思います
by いっぷく (2015-02-05 04:56) 

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